恋人・夫婦が社交ダンスをはじめたほうがいい理由

一節によると、「夫婦仲がいいと (夫が妻にやさしいと) 子どもに反抗期がこない」というものがある。
社交ダンスは、パートナーにどのように接すればお互いが楽しくいられるかの教材でもある。恋人・夫婦では、「気をつけているつもりでも喧嘩してしまう」「接し方を工夫して円満な関係を築きたい」などと考えている方も多いだろう。

そのようなパートナー間および将来的な子どものことも考えた円満な家庭を築くために、社交ダンスはよい学びを与えてくれるだろう。

男性は女性をやさしくエスコートでき、コミュニケーションを大事にできるようになるだろう。女性は男性にやさしくされるのをただ待つのではなく、やさしくされるに足る自分を築き上げ、一方的にやさしくされるのではなく相手にもやさしくなれるだろう。

ただし、パートナー間の仲をよくしたいという目的において、競技ダンスはおすすめしない。競技は連帯責任の競い合いであり、優勝者だけがハッピーでそれ以外がアンハッピーな世界である。男性の責任が7〜8割ほどあり、パートナー間の責任度合いに平等さがないために男性が責められがちである。関係がよくなるよりも、破綻する可能性のほうが高いだろう。

デモンストレーション主体の教室もあまりおすすめしない。デモンストレーションというのは一組だけで、振り付けを決めて、優雅な衣装を着て、観客に向けて踊るダンスである。これは一時的に仲がよくなることが期待できるが、継続的なものではない。
デモンストレーションを踊ることと、パートナー間でのサプライズは似ている。男性と女性の間で考えられる加点方式が異なり、男性は大きないいことを女性に与えると「100点を稼げた」と考え、実際には女性にとっては1点にしかなっておらず、女性は「いいこと」の大きさではなく小さくてもいいから数を求める。この認識の違いによって女性は男性に「あなたは私になにもしてくれない」と言って男性が驚いてしまうことが多々起きている。男女間でいい関係を維持するには「小さないいこと」をたくさんする必要がある。
デモンストレーションは数ヶ月の準備期間と衣装代などをかけ、やっとの思いで1分30秒や3分などを踊るものであり、本番は一瞬でおわる。いい思い出にはなるが長続きはせず、多くの人は数回のデモンストレーションを踊ったら飽きてしまう。つまり、継続的にパートナーを喜ばせるには弱いと言える。

ではどのような社交ダンスがいいかと言えば、それはすなわちパーティダンスである。楽しい音楽が流れたら即興で自然にパートナーと楽しく踊れるようになるとよいだろう。
振り付けで踊ることのみを覚えてしまうと、それしかできないためにすぐ飽きて踊らなくなってしまうだろう。
そうではなく、どんな音楽でも音楽に合った踊り方で楽しく踊れれば、より長くパートナーと楽しくダンスライフを過ごすことができるだろう。

教室でも、試合に勝つためのダンスや、観客を魅了するかっこいいダンスではなく、「パートナーに楽しんでもらういろいろな方法が知りたい」や「この音楽のここをうまく踊れるようになりたいので、そういう技を教えてほしい」といった教わり方をすると、即興に強くなるだろう。
先生から課題として与えられるステップに対して、私はときどき先生にこう質問する。「これをやると相手は楽しんでくれるのでしょうか?」と。それに対する回答は必ずしもYESではない。「正直なところ、これをやると大半の女性は怖がるのであまりおすすめはしない。上級でがんがん踊りたいような女性と何曲も踊り続けてテンションが上がってきたらやるくらいがいい」のような回答がしばしばある。
たまに、「これは男性だけが楽しいのでは?」と疑問になる動きもある。それは場合にはよるが、男性を楽しませたい女性にとっては、「男性が楽しんでくれると女性もうれしい」ということもある。先生から課題として与えられる動きがどちらか一方にとって独りよがりに思えてしまうものである場合があるということだ。

パーティダンスというと、「かんたんな動きを覚えれば世界中の人と踊れる」ということを売りにしている教室・教え方が多いが、特定の相手と長く楽しむための教わり方もあるということをぜひ知ってほしい。先生に言われるがままに教わるのではなく、自分はこうなりたい、というのを持った上で教わったほうが得られるものが多くなる。

この記事では、パートナーや家族との円満な関係を築くためには社交ダンスがよいということ、社交ダンスのなかでもパーティダンスがよいということ、それを教わる際のうまい教わり方を紹介した。
この記事によって、一組でも多くの恋人・夫婦・家族がよりハッピーになってくれれば幸いである。

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