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2023年10月の日記~「メルカリでは値段が付かない貴重品を見つけました」号~

10月*日
あまり感慨はないけれど、それでも節目の日。
今日からまた、アソブロックの社長になった。三代目である。
二代目経営陣は卒業し、気付いたらメンバーはぼくと、長年一緒している総務のやまちゃんと、あと数人。と聞くと寂しい感じもするけれど、会社を「人の成長支援プラットホーム」と定義し、卒業を応援してきた身からすると、それぞれがそれぞれの場所で活躍するのは望んでいたことであって、また新しいメンバーを迎え入れればいいだけのことだ。
でもせっかくなら、初代の頃と違うことをしたい。二十数年前とは「働く」にまつわる世の中の状況も大きく変わってきている。不易流行で言えば、不易は「人の成長支援プラットホーム」であることで、流行はその実現手段。初代の頃に築き上げた、「アソブロックらしい」とされたアプローチ方法や制度は一旦ゼロに戻して、改めて「人の成長支援プラットホーム」に資する在り方を、探っていこうと思う。

10月*日
「メルカリで家の不用品を全部売る」というテレビの企画が好きで、いつか自分も滋賀県大津市にある実家でやってみたいと思っていたら、京都出張の翌日、比較的長い時間滞在ができそうなので、急行した。
早速捜索を開始。祖父母の寝室からは、古文書らしきものとか、大量の掛軸とか、古い着物とかが出てくる。一方、かつての子ども部屋からは、集めまくったキン肉マン消しゴム、ビックリマンシール、カードダスの類などが出てくる。
テレビ番組で学んだ通り、メルカリとヤフオクで同じものがいくらくらいで出品されているかをチェックする。けれど、なかなかお宝には出会えない。埃っぽいこともあって、一人でやっていると、すぐに気持ちが萎えてきた。
そのうち、亡き母の遺品を見ている方が楽しくなってきて、ファイルされた手紙類や、クローゼットなどを眺め始めた。アクセサリーの棚を見て「こんなネックレスしてたかな?」などと思ったが、ほかのどれにも覚えがないので、要は気にしていなかったということだと気付く。
亡き母は几帳面というか、モノを捨てない人だったので、とにかく色んなモノが残っている。モノに紐づく記憶も多いので、眺めていると忘れていたあれこれを思い出す。この記憶は、メルカリでは評価されないけれど、私たち家族にとっては大切なものだ。

10月*日
来春アソブロックに新卒入社するメンバーとやまちゃんの3人で、小さな入社祝いをした。
それにしても、よく入社を決断したものである。親御さんも、たいそう不安であろう――、なんて、他人事みたいに言っている場合ではない。ご安心ください、最高の成長支援環境ですよ。
振り替えれば2003年にアソブロックを創業した際も、創業と同時に「はしもっちゃん」というメンバーを迎え入れた。仕事は何もなかったのだけれど、自分の会社で人を雇ってみたかったし、個人が法人になり、最大の醍醐味は人を雇うことだと思っていた。その効果は絶大で、何としてもこの子を不幸にさせてはいけないと、必死に頑張る源になった。
「家族ができて強くなった」と語るボクサーに出会うことがある。ボクサーじゃなくても、どんな職業でもそんな気持ちなる人は、たくさんいると思う。会社で人を雇うことも、ぼくにとっては同義。なので、人を雇わない一人社長の会社なんかを見ると、醍醐味半減だなあ、などと思う(それでも全然いいんですけどね!)。
アソブロックの三代目になることになって、まず人を雇おうと思ったのはそんな理由からだ。歳を重ねれば重ねるほど、自分のためには頑張れない。20年前と少し違うのは、はしもっちゃんの初年度はアルバイト採用だったけれど、今回は最初から正社員にできたこと。20年経って、そこはちょっと成長できたところかもしれない。

10月*日
妹のこと葉ちゃんとHOPの畑さんと一緒に開発した、演劇メソッドを使ったビジネス研修「Theater」。トライアルコースの開催日だった。
興味を持ってくれた人事担当者や経営者、社内風土改革系のプロジェクトにアサインされた人など、6名が合羽坂テラスに集まった。最初に参加動機を聞くと「身体性」について話された方が多かった。
身体性とは、ぼくの考えで言えば、「考える前に身体が動く」ようなこと。例えば、「外に出る→寒いと感じる→服を着る」や、「エレベーターに乗る→なんか嫌な気がする→乗らずに外で待つ」のような。後者は「直観」とも呼ばれるが、これも実践を積み重ねた結果得た能力で、身体性の一部だと考えている。
ところが脳化社会になった現代では、可視化された情報のみを絶対化しすぎることで、知覚する能力が劣化する傾向があるとされている。これが過剰な可視化社会による「身体性の欠如」であり、この能力の欠如が、特に会社のマネジメントにおいて問題だと考えているということだった。
これはまさにその通りで、頭でっかちになればなるほど、人も組織も変化を楽しめなくなり、硬直化していく。「自分らしさ」という、分かるようで分からない自身の説明書きで自らを縛りつけてしまう。そこにメスを入れるのがTheaterであり、その際に有用なのが、演劇メソッドなのであります。
(身体性について一部出典/FIACS https://www.fiacs.jp/)

10月*日
年に一度、人間ドックの日。
次のドックで190を超えたら投薬治療を開始します、と言われていた悪玉コレステロールの値が下がっていた。やったやったのやった祭りである。
果たして何が効いたのかと考えた。
遡ること1年前。人間ドックで「半年後要精密検査」との診断を受け、

・納豆を2日に1回食べる
・ビールを控える
・ブロッコリーを食べまくる
・3食をバランスよく食べる
・パンの摂取量を減らす
・ランニングの月間キロ数を増やす

を自らに課したが、半年後の検査では数値は更に10も上がっていた(このときは絶望)。いよいよ190overが見えてきて(身長だったら良かったのに)、残り半年、藁にも掴む思いで加えて始めたのが

・オリーブのサプリを飲む
・ランニングをトレラン(山を走る)に変える

の二つ。そして迎えた1年後の今日、半年前の数値より見事に下がり、成人正常値にはほど遠いものの、投薬の危機は回避できたのである。
ということで、コレステロール値が気がかりな人は、オリーブ食べながらトレランするのがおススメです。被験者約1名。

10月*日
駒沢大学駅前の魅力化を掲げた「駒沢こもれびプロジェクト」に数カ月前から参加している。
準備室的なフロアが用意され(駒沢こもれびスタジオと呼称)、一応そこの室長を拝命した。桜新町に長く住んでいた身かしらしても親しみのある場所で、一人でも多くの地元の人にプロジェクトに関わってもらおうと、たくさんの人に会っている。
スタジオの内装を頼みたいとなったら、そういうことができる駒沢人を探す。壁画を描いてほしいとなったら、同じく駒沢人を探す。具体的なことは自分では何ひとつできないので(そこが編集者の強み)、知っていそうな友人・知人に「**ができる駒沢人知らない?」と連絡。すると、たいていの場合「住まい条件がピンポイント過ぎるやろ!」と突っ込みが入る。
それでも探せばいるもので、スタジオには日々色んな駒沢人が集まり、知り合い、駒沢の魅力化について課題や考えを話している。
多分これは駒沢に限った話ではなく、日本中のどこでも大概は「近くを探せばいる」のだと思う。情報化&高度専門化社会が、灯台下暗しを加速させているだけなのだと思う。
駒沢こもれびプロジェクト https://komazawa-comorevi.com/