団 遊

だん・あそぶ。本名。編集者・経営者・人材育成家・小噺家。昭和49年生まれ。「団遊ヨノナ…

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だん・あそぶ。本名。編集者・経営者・人材育成家・小噺家。昭和49年生まれ。「団遊ヨノナカ編集舎」を主宰し、新しい試みのほか、時々頼まれて原稿を書いたり講演をしたりしています。月初に「先月の日記」を、時々「番外編」も更新します。 https://www.danasobu.net/

最近の記事

2023年10月の日記~「メルカリでは値段が付かない貴重品を見つけました」号~

10月*日 あまり感慨はないけれど、それでも節目の日。 今日からまた、アソブロックの社長になった。三代目である。 二代目経営陣は卒業し、気付いたらメンバーはぼくと、長年一緒している総務のやまちゃんと、あと数人。と聞くと寂しい感じもするけれど、会社を「人の成長支援プラットホーム」と定義し、卒業を応援してきた身からすると、それぞれがそれぞれの場所で活躍するのは望んでいたことであって、また新しいメンバーを迎え入れればいいだけのことだ。 でもせっかくなら、初代の頃と違うことをしたい。

    • 2023年9月の日記~「世継ぎは早いに限ると言い張っていたのに49歳で社長に復帰」号~

      9月*日 新潟県加茂市にある小柳建設さんのオフィスを訪ねた。 小柳建設は、建築業界の革命児的に取り上げられることが多い会社なのだが、タクシーで社屋前に到着した瞬間から、訪ねた4人で驚嘆した。オフィスが素敵過ぎた。 3代目の社長で改革の牽引者でもある小柳さんに色々な話を聞いたけれど、特に印象に残ったのは、「119億円あった売上を、生産性を上げるために65億円まで下げた」という話。「でも、利益額は一緒か伸ばしたので、仕事が楽になって収入は増えたんです」と。 成功体験は、年齢を問

      • 【第二弾】忙し過ぎた2023年8月の日記に変えて

        過日投稿した「忙し過ぎた2023年8月の日記に変えて」が思った以上にたくさんの人に読んでいただけたので、もうひとつ、「常にイノベーションが起こる組織をどう担保したか」についても、記しておこうと思う。 アソブロックは「事業を持たない」会社であることを志向してきた。普通は「利益を生む仕組み」をみんなで作ろうとするので、逆張りである。 それを可能にしたのは、自分で自分の給与を決める「報酬宣言制度」(下記エントリー参照)も一因だったが、より広く言えば「会社が続くことを必ずしも是とし

        • 忙し過ぎた2023年8月の日記に変えて

          振り返りも兼ねて日記を綴り、noteに積み重ねているが、2023年8月は忙し過ぎて、何も書けなかった。どのくらい忙しかったかというと、8月のNETFLEXの視聴時間が、なんと0分! これはもう、相当慌ただしくしていたという証左である。   そんな忙しい中でも、連載を落とすわけにはいかないと使命感で書いたのが、所属する対人援助学会の季刊誌「対人援助マガジン」の原稿。そこでは、「団遊の脱線的経営言論」と題し、20年以上の経営者人生で考えてきたことを綴っている。この8月の入稿分で、

        2023年10月の日記~「メルカリでは値段が付かない貴重品を見つけました」号~

          2023年7月の日記~「名優たちの演技で大盛り上がり」号~

          7月*日 昨年の11月以来、久しぶりに石見銀山にある他郷阿部家を訪ねた。 約半年で2回なのでこれが「久しぶり」なのかどうか微妙なところだけれど、久しぶりと思うということは、ここが第二の故郷化していることの証であり、他郷(もうひとつの故郷の意味)戦略にはまっているとも言える。 朝、散歩していると、中村ブレイズの中村さんに出会った。中村ブレイズは義肢装具製作の日本のトップ企業で、メディアにも度々取り上げられているので、ご存じの方も多いと思うが、本社が石見銀山にある。 中村さんご自

          2023年7月の日記~「名優たちの演技で大盛り上がり」号~

          2023年6月の日記~「1時間15分待って噂のお化け屋敷に行ってきました」号~

          6月*日 小さな広場の仲間たちと一緒に伊根(京都北部)の當間さんを訪ねた。 當間さんとのご縁は友人の建築家・アタケンがくれたもので、アタケンと當間さんは大学時代の友人だった。ともに建築学生だったので、仕事柄今も付き合いが深いらしい。 建築家のみならず、専門職の人は学生時代の友人と仕事で繋がっていることが多く、うらやましい。よくある大学の、よくある法学部出身の私には、そのような仕事仲間がいないのだが、多くの人が同じようなものではないかと思う。 そんな當間さんは、仕事で訪れた伊根

          2023年6月の日記~「1時間15分待って噂のお化け屋敷に行ってきました」号~

          2023年5月の日記~「STOP THE 個人主義のなれの果て国・ニッポン」号~

          5月*日 アソブロックの社長を辞めて1年半が経過した。 今、アソブロックの経営会議には、何人かのアソブロック卒業生が参加してくれている(私は出ていない)。現経営陣が、会社自体の価値変容を試みる中で、何人かの卒業生に声をかけ、有識者メンバー的な立ち位置で関わってもらっているらしい。そんな風に関わってくれているメンバーには、機会があれば「ありがとう」と声をかけているが、返事はいつも「団さんや安井さんや南木さん、アソブロックにはお世話になりましたからね」というもの。しかし不思議なこ

          2023年5月の日記~「STOP THE 個人主義のなれの果て国・ニッポン」号~

          2023年4月の日記~「高校生のお小遣いいくらにする問題」号~

          4月*日 息子が高校生になった。 なんとなく曖昧にしてきた「お小遣い」の額について、いよいよ決めなければならない。ぼくが高校生の時のそれは、5,000円だった(と思う)。妻が「私もそうだった気がする」と言うので、「じゃあ、5,000円でいいっか!」となりかけたが、「待て待て、当時とは物価が違うぞ」とも思う。失われた20年だから、さほど変わらないのかもしれないが、最近の物価高は、ぼくも身を持って感じている。 カラオケ、ボウリング、買い食いあたりが使い道だろうと思い、高校生の行き

          2023年4月の日記~「高校生のお小遣いいくらにする問題」号~

          2023年3月の日記~「受検失敗。春はまだ来ず、雪上に落涙」号~

          3月*日 冬は仕事とスキーを両立している。 スキーと仕事の両立かもしれないが、とにもかくにも、滑る、ZOOM、滑る、企画書、プレゼン、滑る、と慌ただしい。おっと、プレゼン、滑る、は縁起が悪い。書く順番を間違えた。 実は弟も根っからのスキー好き。お互いに大学卒業後は仕事を覚えたり、子育てをしているつもりになったりで忙しかったので、交流も少なかったのだが、数年前からスキー熱が再燃したぼくに触発されて、弟も去年から俄然、滑り始めた。 そんな弟は、去年の春先から「冬に向けた身体づ

          2023年3月の日記~「受検失敗。春はまだ来ず、雪上に落涙」号~

          2023年1月と2月の日記~「今の大学生は上世代に何も期待していませんよ」って言われているようではダメだろう号~

          1月*日 年末に単独でスキーに出かけ、意気揚々と帰宅したら妻、長男、長女が揃ってコロナになっていた。申し訳ないやら、置いて行かれた感やらで、とりあえず隔離した。隔離と言っても、4人家族で3人がコロナだから、無事な自分が隔離される立場で、我が家全体としてはコロナ罹患者が主流となった。 とはいえ、3人とも辛そうだし、買い物はもちろん、食事などは当然準備させてもらいたい。念のため何度も検査をしたけれど、ぼくは無事のようなので毎日駅前に買い出しに出掛けて、「今日はおでん」「明日はピザ

          2023年1月と2月の日記~「今の大学生は上世代に何も期待していませんよ」って言われているようではダメだろう号~

          2022年12月の日記~「理解」と「解釈」の間には「これまでの評価」が幅を利かせがちだという話~

          12月*日 去年は登壇者として参加した「どう?就活」(せたがや文化財団主催)というイベントに、今年は一般人として参加した。このイベントが楽しいのは、登壇者の話はもちろんなのだが、頻回にメンバーを変えてグループでの対話が行われることだ。 ファシリテーターは西村佳哲さん。 私は初日だけの参加だったが(イベントは二日間ある)、それでも10人以上の、「年齢も仕事もバラバラ」な、でも「仕事や就職・転職に関心が高い」はじめての人と話をした。「自己紹介はしない」がルールなので、余程のことが

          2022年12月の日記~「理解」と「解釈」の間には「これまでの評価」が幅を利かせがちだという話~

          2022年11月の日記~人が「取り残されている」と感じるものの正体は何だろう~

          11月*日 友人に「引き合わせたい人がいる」と誘われて、島根県大田市にある群言堂に行った。 果たしてお会いした松葉大吉さん、登美さんは、廃れる一方だった石見銀山を、揺るがない信念と自分たちにできることを地道に積み重ねることで、回復させた張本人だった。二人の影響を受けて、何やらますますやる気になったのだから、我ながら分かりやすい。 でもそれ以上に心を動かされたのは、彼の地で働く山碕さんとの再会したことだった。遡ること3年前。人からの紹介で出会い、私が企画したイベントにゲストとし

          2022年11月の日記~人が「取り残されている」と感じるものの正体は何だろう~

          2022年10月の日記~公募案件1勝1敗。京都で勝ち、小田原で敗れるの巻~

          10月*日 「ねこから目線」で応募していた京都市の公募に通った。 ねこから目線は猫の殺処分を0(ゼロ)にするための会社。京都市は、猫に限ったわけではないのだが、高齢者とペットの共生に向けた事業を展開してくれる会社を探していた。公募はコレ。 詳細は見てもらうしかないのだが、そもそも与件をクリアできる事業者がいくつあるのかと思うくらい、ニッチである。もしかしたら、エントリーはうちだけだったのかもしれない。 何はともあれ、京都に拠点を出すことが決まった。さて、物件をどうしようかと悩

          2022年10月の日記~公募案件1勝1敗。京都で勝ち、小田原で敗れるの巻~

          2022年9月の日記~大好きな猫からウクライナ問題を考える視座を身につける~

          9月*日 ねこの会社でねこからキャンプというサービスをリリースした。 きっかけは、夏に軽井沢にある風越学園に行ったこと。複数の生徒に、猫のことを根掘り葉掘り聞かれ、いつか会社訪問をしたいと言われた。それならば受け入れ態勢を整えようと、たくさんの保護猫と暮らす代表・小池の家にホームステイするアイデアを形にした。 ねこの会社は「殺処分をゼロにする」ことをミッションとする社会企業だ。一方で、興味を持ってくれた生徒たちは、純粋に猫がとても大好きな子どもたち。そこから言えるのは、自分の

          2022年9月の日記~大好きな猫からウクライナ問題を考える視座を身につける~

          「アソブロックとは何だったのか?」発刊前夜

          連載をしている「対人援助学マガジン」の50号に、9月末に発刊する単行本「アソブロックとは何だったのか?」に関連する文章を書きました。「会社は人が育つ舞台である」と定義し、兼業必須、じゃんけん採用、コンビ採用、年俸宣言制、芸術支援制度など、それなりに独自性の高い取組みをしてきた20年の記録。マガジンに掲載した原稿を、ここにも載せます。 ***  アソブロックの社長を退任して約1年が経過した。退任した狙い通りになっていることもあれば、そうでないこともある。退任したことで自分自

          「アソブロックとは何だったのか?」発刊前夜

          日記番外編5~なんだか気になる黒いタートルネックの話~

          知り合いの編集者から、 「団さんのなんだか気になることを教えてください」 と言われました。 なんだか気になることを集めて何だかしてやろう、 ということだと思うのですが、 そんなこと、パッと言われて出てくるものではありません。 「めちゃめちゃ気になることではダメなんです」 「でも、なんだか気になることなんです」 と編集者の鼻息は荒くなる一方なのですが、 そもそも「なんだか気になるとは何なのか」と聞くと、 彼は、よくぞ聞いてくれました!という顔で、 「ずっと気になっている

          日記番外編5~なんだか気になる黒いタートルネックの話~