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12. パネッレ

日本でイタリア料理というと、パスタ、ピッツァなどがイメージできると思うけれど、細かく見てみるとかなり違っている。統一されて生まれた国は、ざっくり南北に長く伸びた半島と大小の島が点在する。各地域の気候や風土によって、その土地で育てられる植物も動物も違うため、食事の内容がさまざま。

シチリアは他にも交易が盛んだったり、侵略されたりで、色々な食材があるらしい。フェニキア、古代ギリシャ、古代ローマ、アラブ、スペイン、フランスなどの影響を受けているそう。

トップの写真、夕食で食べたこのパンケーキ風のものは、パネッレ(単数panella、複数panelle)というシチリアの郷土料理で、ひよこ豆の粉で作る。調べるうち、海を隔てた北の州リグーリアにもパニッサ(panissa)というものがあるのを知った。こちらは元はキビ(単数panico)だったが、のちにひよこ豆で作るようになったらしい。ひよこ豆はcece/ceci。名前の由来はどうなっているのだろう。

材料はシンプルで、分量や作り方が人によって若干違う。使ったレシピでは、ひよこ豆の粉300g、冷水1リットルを混ぜ合わせた後、塩ひとつまみを入れて火にかけ、最後にイタリアンパセリを適宜投入する。出来上がったペーストをバットなどに広げて平らに伸ばし、冷えたらカットまたは型抜きして、オイルで揚げる。

それだけ。でも、これがなかなか大変。ひよこ豆をダマにならないように混ぜて火にかけ、温度が上がると、急に粘度が出てグッと重くなる。かき混ぜるのに、力が要る。コツが掴めたら、簡単にできそう。

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粘度とうまく折り合えず、綺麗に伸ばせなかったので、表面のざらつきが残ったまま揚げた。端っこで味見をして、最後に塩を振った。粉には独特の香りがあるので、イタリアンパセリが必要な感じ。なければ、柔らかめの香草を刻んで入れたらいいかもしれない。揚げたてで食べたら、とてもおいしい!

ストリートフードだそう。材料費がかからなくて、簡単でおいしい。そのまま、またはパンに挟んで売っているそうだ。

ひよこ豆はエジプト豆という名前でも呼ばれているそうだから、アラブ系の人々の住んでいたシチリア辺りからイタリアの他の地域に広がっていったのか?

脱線。アラブ料理にも、ひよこ豆(またはそら豆)の揚げ物がある。ファラフェルという。レシピを検索すると、こちらは、たいてい乾燥した豆をふやかして潰して作り、玉ねぎと他のスパイスが入っている。かなり違うのだろうなと想像。そら豆バージョンのものはファラフェルともターメイヤともいうらしく、こちらなら食べたことがあるが、豆が違うし、スパイスが効いていて全く違う感じ。

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パネッレをパンで挟んだもの(Panino con panelle)。

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ちなみに、脱線のファラフェル。

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ひよこ豆の粉はこのメーカーのものを使いました。
https://item.rakuten.co.jp/bonraspail/9313958005821/
掲載時点では品切れですが、フランスのビオスーパーのビオセボンにもあります。
https://www.bio-c-bon.jp/item/362327312001712900.html

粉よりも、自分で乾燥豆をふやかして、フープロでペーストにするとおいしそうです!


一緒に旅をしているような気持ちになっていただけたら、うれしいです。 または、次の旅の計画のご参考になれば。