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21. パレルモの空港へ

パレルモの空港までバスで移動、7500リラ。切符は路線が変わっても、日にちに穴を開ける方式は同じ。

空港はそれほど大きくない。でも、国際空港だ。急斜面の小さな山が見えるのがシチリアらしい感じがする。

イタリアの空港には、名前が複数ある。パレルモ空港で通じるが、正確には所在地名でプンタライジ空港。別名はファルコーネ・エ・ボルセリーノ空港。シチリアの誇り、ファルコーネとボルセリーノはマフィアと戦った2人の裁判官の名前がつけられている。カターニャはヴィンツェンツォ・ベッリーニ空港と、カターニャ出身の作曲家の名前でも呼ばれる。

トイレに行くと、掃除中の立て看板。デザインがかわいい。

Stiamo Lavorando 作業中

バラッロ広場で名物のモツバーガーを食べようと思っていたが、通った場所に見つからず。お腹が空いた。空港内のカフェレストランに入ると、アリタリアの制服の人ばかり。社員食堂みたいだ。相席は確実。なんだか気後れしてしまい、バールで昼食を買う。

糖を補給

丸いのはアランチーノ(単arancino/複arancini)というライスコロッケ。名前は小さなオレンジという意味。お米はトマトソースで味がついていた。中身はお店によって違う。タオルミーナで食べたものは、形はとんがり帽子(冒頭の写真、左側)。中身は白いお米で、トマト味のミートソースが入っていた。調べると、島の西側は中央のボール型、東側がとんがり帽子型のよう。また、ローマにもライスコロッケがあるのを知った。スップリ(suppli)といい、俵型。中にモッツァレラが入ったものらしい(冒頭写真の右)。


左の貝殻の形のお菓子は、スフォリアテッラ(単sfoghiatella/複sfoghiatelle)というクロワッサンのようなもの。ただ、パイ生地は結構硬めで、かぶりつくのは難しい。剥がして食べると、中はリコッタチーズの詰め物。リコッタとセモリナ粉などで作られたクリームが定番らしい。アマルフィ海岸のリマの聖ローサ修道院で17世紀に生まれて評判になり、その後貝殻の形になって広まっていったとのこと。この郷土菓子は今は他の地域でも食べられる。

右下はカンノーロ(単cannolo/複cannoli)。揚げた生地に甘いリコッタチーズを詰めたもの。これはオレンジピールとチョコチップも入っていた。生地はパリッと、何とか噛み切れる固さ。反対側から中身が出てしまわないように注意!これは、映画ゴッドファーザーのシリーズのどこかにも出てきたような気がする。

たいてい脳天にガツンと来るけれど、ここのものは甘さが控えめだった。生クリームやカスタードクリームと違って、リコッタチーズは乳清から作るチーズなので淡白。意外にあっさりとしていて、胃にもたれない。これらは香りから牛乳リコッタだったと思うが、シチリアでは本来リコッタは羊乳なので、もっとあっさり目かもしれない。どこかでまだ羊乳リコッタのカンノーロを作っているのだろうか。食べてみたい。

搭乗時間にゲートに行けば、目の前には、ちっちゃいプロペラ機!機内持ち込みサイズでも、スーツケースは預かります、と運ばれていった。中の座席は3列だったか。棚はなかった気がする。全員バッグを膝の上に乗せ、きゅっと小さく座る。自分は問題ないが、ビッグなおじさんの頑張る姿はほほえましい。こんなに小さな飛行機に乗れるのは最初で最後かもしれない。飛行高度が低いので、窓の外には、ブーツの土踏まずやヒールの部分が見えてきた。地図で見る岬の形、林や畑、放牧されている牛や羊が見える。飛行機は雲の上もいいが、こんな風に生きているものを、生活が見える距離で眺められるとは。とても心躍る時間だった。

今はなきMinerva航空


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プンタライジ空港のサイトから

Partenzeは離陸ゲート、Stato Voloはフライト状況です。Dellocatoは離陸、Imbarcoは搭乗中です。ITAがアリタリアの国営化された航空会社Italia Transporto Aereo。AZの部分は変わっていないので、間違えにくいかもしれません。

レストランやカフェは当時よりも増えて、きれいになっています。が、社員食堂に紛れ込んだような経験はもうできそうにありません。

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EATALYの東京駅にある店舗でカンノーロを食べたことがあるのですが、今は提供されていないようです。残念。でも、Bicerinのカフェの一部店舗では食べられるようです。メニューは変更される可能性があるので、以下よりお問い合わせくださいね。

スフォリアテッラは今や専門店があるみたいですね!スフォリアテッラは作るのが大変。名前は「生地を何枚も重ねた」という意味で、その生地がとても薄いのです。郷土菓子研究社の林さんの作られる動画をどうぞ!本当に薄く伸ばすのが大変そう。自分では作りたくないと確信。郷土菓子研究社のSNSはYouTubeからどうぞ!

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