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ケーキを焼く日

1月2日の午後、ケーキを焼いた。「辛党だから甘いものはあまり食べないでしょ?」いやいや、そうでもないんですよ。そりゃ生クリームどっさりのデコレーションケーキは不得手といえば不得手だけど、焼き菓子は昔から作っていたこともあって好きなのです(そりゃビールかコーヒーかどっちか選ぶならビールだけど)。

幼い頃三世代で住んでいたこともあって、何かと手作りのおやつを作ってくれたのが祖母。北側にある台所の入り口にあった冷蔵庫を開けると、必ず緑色のタッパーにコーヒーゼリーが用意されていて、夏はみかんの缶詰入りのババロアが定番だったり、一緒にフライパンでバウムクーヘンを作ってみたりだとか、今もお菓子を作るのを面倒に思わないのは祖母のおかげかもしれない。

小学2年になって隣の敷地に建てた家に暮らすことになってからは、焼きに焼いた。
料理全般得意な伯母直伝のベイクドチーズケーキにフルーツパウンド、カスタードクリームにレモン果汁を入れたシュークリーム。誕生日に買ってもらったお菓子の本を見ながら作ったバナナパウンドに焼きりんごを4つも入れた超絶カロリーのカントリーケーキ、レモンタルトに洋梨のタルト。クッキーも作ったが冷蔵庫で生地を寝かせる時間がもどかしく、もっぱら混ぜて焼けば出来上がるシンプルな焼き菓子が定番だ。

大人になってからはその情熱はお酒のアテへと移行したけれど、できたての温かいお菓子というのは猫を膝に抱くような幸福感があって、頻度こそ減ったものの、泡立て器とパウンド型ひとつだけは残していつでも作れるようにしている。

年始にはいつも実家へ挨拶へ行くのだが、年末に伯母からりんごをどっさりいただいたこともあって、りんごを使ったお菓子を手土産にしたいなと思って目についたのがこちら。

いがらしろみさんのお店には足を運んだことはないけれど素朴で風味の良い焼き菓子がとても好きで、たまに詰め合わせを取り寄せている(特に焙煎した国産小麦の全粒粉を使ったサブレが大好物)。

りんごは形が残っていた方が気分だったので、ジャムに関しては別途こちらのレシピから。

ところでカルトカールとパウンドケーキは何が違うのかしら、と調べたところ、どちらも小麦粉・バター・砂糖・卵を同量使って作ったケーキで生まれ故郷が違うだけのことらしい。カルトカールはフランス、パウンドケーキはイギリス。
パウンドケーキは本来は450gずつというから(1パウンド=聖書の重さとのこと)その1/4の分量であるカルトカールのほうが現実的。

参考にした、いがらしろみさんのりんごジャム入りのカルトカールは溶かしバターを使用するので室温に戻したバターをねりねりする手間もなく、卵と分離する不安もなく非常に楽。焼き時間を別としたらものの10分ほどで作れてしまうんじゃないだろか。

で、焼き上がりがこちら。

どうよ

じっくり焼いたのでバターの風味豊かで香ばしく、しっかりとりんごの存在感もあり、バニラの香りがふんわりと漂ってまぁこれが美味しいこと!

気泡がダダダダ、と駆け上がるようになるのがベーキングパウダーの特徴だそうで。縦に膨張するのがベーキングパウダー、重曹は横にも膨らむのですって。化学ですなぁ

粗熱が取れたらラップでしっかり巻いて、一晩おいて実家で改めて切り分けるとしっとりと生地が落ち着いてこれまた美味でした。ということで残りのりんごもジャムにすることが決定。いつでも温かな気持ちになれるように。

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