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インスタで映える死に方

マルボロの匂いは幻想的

今よりももっと幸せだった
地獄の時代を思い出させる

あの時はまだ若かった

缶酎ハイ一本も飲み干す前に
眠りにつけたぐらい

ダメ押しの白湯で薬を流し込んでも
朝にはすっかり二日酔いの
くそがきの出来上がり

それでもやっぱり歳をとった
何も失わないように
必死で生きて
何も得られなかった

ずっと前より増えた薬を
ウィスキーで流し込む
それでもやっぱり
気分が晴れない

それもそうだ
だってこれは朝に飲むやつだ


『やっぱ』は東京の方言らしい

そんなことを得意げに語っていたのは
何も話せることもなかった
貧困な学生時代

マルボロに火をつける
健康なうちは健康なんてくそくらえだ

それでもたまにはあいつの言葉が蘇る
「このまま酒を辞めないと一生管につながれるからね」

地べたに這いつくばる練習で忙しい

俺はいつかゴミ箱に
頭を突っ込んだまま死にたい
なんて映画的な自殺だろう

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