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リーグオブ情シス スーパーリーグ第一回(20/7/22)に登壇しました(後編)

本記事は、2020/7/22 に開催された「リーグオブ情シス - 僕がかんがえたさいつよの情報システム」というイベントの発表者視点のレポートの後編です。本番当日から後日談にかけて記載しています。

エントリーから準備までを記した前編を未読の方は一読されることをおすすめします。

リーグオブ情シス スーパーリーグ第一回(20/7/22)に登壇しました(前編)

発表編⓪:会場へ移動

当日、18:00 から Zoom でのリハーサルが開催されました。17:30 に仕事をあがり、急ぎ足で会社から5分ほどの快活クラブへ。鍵付きの個室が売りで、テレカンをするときによくつかっています。本当は自宅で参戦したかったのですが、移動が間に合わないうえ、子供が小さいので乱入されるリスクがあります。

しかし、ここでアクシデント。いつもと別の店舗を選択したところ、鍵付き個室が一切ないことが判明。自席での通話はNGで、スタッフの方から共用の電話ブースを紹介されます。丸椅子がひとつあるものの、とても2時間のイベントに耐えれるものではありません。

店を変えようか迷いましたが、リハーサル開始直前だったので、仕方なく電話ブースから参加します。途中で見知らぬお姉さんが乱入し、電話の相手と別れ話を始める始末。ぶっちゃけ会話内容が気になり、まったく集中できません。リハーサル完了後、いつもの店舗に移動することを固く決意しました。

発表編①:リハーサル

Zoom にアクセスすると、ホスト役の@okash1nさんはじめ、発表者のみなさん勢ぞろい。「こ、こんばんは~?」と恐る恐る挨拶するも「…おつかれさまです…」とゴルゴ13ばりに重苦しい返事。初めてみる生 okash1n さんは、スキンヘッドにヤギのような長いひげでどうみてもあっち側の人感にあふれてます。あれ?俺、間違えちゃった?とたんに不安になります。

しばらくしてもうひとりの主催者である「あどみんさん」登場。前日まで今日のイベントを忘れていたとか、ルールも事前の連絡と大幅に変わってみたり(後述)「とっても緩いなこの人-」という印象。個人的に好きなタイプです。

ルールの主要な変更内容は以下のとおりです。

・企業の詳しい設定は開始直後の質問タイム(30 分)で小出し。
・価格は質問タイムに各自があどみんさんに問合せ。
・プレゼン中の質問は基本ない。最後に社長からフィードバック。

この時点で発表者一同、聞いてないよー!という雰囲気。あどみんさんのゆるーい雰囲気と相まって、私の心の内には「準備した資料、全然つかえないやんけ…こんな、、やってられるかー!」という感情が沸き上がりました。なお、結局これらのルールも、発表中にどんどん変わっていき、場のカオス指数はますます増加するのでした。

リハーサル終了後、開催まで 30 分ほど自由時間となります。この間に私はネカフェ店舗を移動し鍵付き個室を確保。その後、近くのコンビニでビールとストロングゼロを購入。自席に戻りさっそくビールをあおります。もう、アルコールでもいれないと、どうにかなっちゃいそうな気分でした。この後も、イベント終了までアルコールが入った状態で運行します。

発表編②:本番(質疑応答と資料修正)

とにもかくにも本番が始まりました。主催者から本日の主旨やチーム紹介があり、競技スタート。専用の Slack チャンネルに発表者から質問が書き込まれ、モデレータである @okash1nさんやあどみんさんがリアルタイムに拾い、回答していきます。そのスピード感は大したもので、回答者がボトルネックになることはありませんでした。素直に関心したところです。

発表者からの質問と並行して、どんどん追加設定が提供されていきます。個人的に困った!と思ったのは、Marketing Automation(MA)ツールベンダーであることと、社内端末の大半が Mac という縛り。前者は、事前に組んだ構成に MA ツールを入れていたこと。後者は、Microsoft 信者であるという設定がくずれてしまうこと。事前段階では、この辺の設定は各発表者で縛っていいよーと聞いてたので、まさか当日変更になるとは…

チームメンバーの「つの」や資料レビューに協力してくれた「けびん」さんからも心配の声があがりました。どうする?今から構成直す?

ここで私が決断したのは「資料を変えない。前提を覆す」です。ただでさえ引き出しの少ない我々は、ここでの方針変更は無謀。ならば、提案内容に矛盾が生じない=企業の現状を覆すようなシナリオを自ら作り上げよう、と決めました。

ポイントは以下の2点について納得感を演出することです。

1.MA ベンダーなのに、他社の MA ツールを使う理由
2.Mac を駆逐するくらい大胆な構造改革を進める必要性

布石として、以下の質問を経営者役のお二人に投げました。

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この質問は、私が経営者の方によく伺う質問です。今後、どのくらいのスピード感で成長していきたいかという想いを具体的な数値として引き出すことができます。結果「現在 50 億、3年後に 3 倍の150億」という回答を頂戴しました。これは私のシナリオを後押しするものでした。

発表でも触れたとおり MA ツールの市場規模は2020年時点で 670 億前後、3年後の 2023 年における市場規模は 880 億だそうです(参考:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2280)。
架空企業の売上は 50 億ということで現在の市場シェアは 7.5 %、3年後に 150 億を目指すということは 17 % を目指さねばならない。市場自体は順調に成長するもののパイは限られています。イケイケのスタートアップ企業だとしてもこれは厳しい。

この条件で売上拡大を果たすためには「①他社のシェアを奪う」「②他事業に手を出す」「③強力な協業者と手を組む」といった攻めの打ち手が必要です。これらを踏まえて「Microsoftという強力な協業者と手を組み」「他社のMAツールや SFA/CRMのような連携先プロダクトを研究して、シェアを奪ったり新たな事業をはじめる」ことで達成しよう、というストーリーを編み出しました。

現実的にはかなり無理がある設定ですが、もう時間的にどうしようもないし、お祭り的なイベントなので多少の悪ふざけは「てへぺろ」して許してもらおう、と腹をくくります。

この時点で残り 10 分程度だったので、資料の構成を大きく修正できません。よってタイトルスライドの次に上記のシナリオにつなげるリード文を挿入して終わりとしました。

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私が当日修正したのは、ほぼほぼここだけです。この1ページがあることで、前提を大きく覆す背景を説明し、強引な展開にもっていくことができました。(社員数やそれに紐づく予算をいじったりはしましたが、修正漏れも多々ありました。)

この時点でタイムアップとなりました。修正した資料を主催者に提出し、いよいよ本番です。

発表編③:本番(発表)

私はとりだったので、ドキドキしながら他の発表をみていました。以下に感想を述べます。

吉田航さん

世界の吉田」の称号に恥じない堂々たる発表でした(最近由来を教えていただきましたが、想像の斜め上でした。)。あれだけ無茶な設定をすべて吸収し、すみずみまで現実的な構成でした。多くのプロダクトを組み合わせてるのに破綻していない。説明も丁寧であり、まさにプロの情シス

私自身は現職で G Suite の導入を推進したこともあり、自身の考えに一番近い構成でした(何度も言いますが私は Google、AWS信者です)。1年前にこのイベントに出会っていたら、吉田さんの資料をマルっと稟議書に添えています

吉田さんの発表の最中に残りのストロングゼロ缶を開けました。すべてにおいて隙がなく「もうこの人優勝でよくない?」と心の底から思いました。こんな優秀なコーポレートエンジニアがいるなんて、世界は本当に広いと思うと同時に、コーポレートエンジニアというキャリアを選んでよかったなぁと思いました。

makishi さん

情シス専門のシェアードサービスを展開するユナイトアンドグロウ社の期待のホープが登場。makishi さんの声質はとても上品で安心感を得ます。私は趣味でアカペラを嗜んでおり、コーラスの一員として一緒に歌ってみたいと思わせました。

発表内容ですが「情シスが成長のボトルネックにならないように」という私と似たコンセプトでした。Microsoft スイートで固めるとか、負担軽減のためにヘルプデスク業務は社員全員で担おうとか、考えが似ています。コンサルとして情シスを支援してきた経験があると同じような発想に行き着くのかもしれません。

しかしながら、短時間で当日発表設定を吸収しようとした結果ちょっと無理がある点もあり、経営者役から鋭い突っ込みがはいります。makishi さんは誠実な人柄なのでしょう、正面から受け止め、時には非を認めるといった振る舞いを見せます。本当に好感度があがりました。私も機会があればmakishiさんはじめユナイトアンドグロウの皆さんとお仕事したいと思いました。

とはいえ、今回のような競技形式のプレゼンですと、誠実さは仇となります。間違っていると気づいても突き通す厚かましさが必要です。身に着けておくと生きていくのが楽になりますので、若い皆さんはぜひ覚えておいてください(多用すると信用なくすので諸刃の剣ですが)。

ういちさん

ういちさんは準備期間中 Slack チャネルでお見掛けし、にじみ出るバックボーンの太さと膨大な知識に、僭越ながら一目おいていました。発表資料をわずか4枚かつ最小限で挑まれていたことにびっくりしたものの、かえって尊敬の念を抱きました。発表慣れしていて、自身の知見に自信がないとできないことです。

Zoho CRM と Azure Sentinel を組み合わせるあたりにもこだわりが溢れています。私も Zoho はプライベートでお手伝いしている NPO 法人のバックオフィスで使っていたりするのですが、使い手の好み次第ですが、コスパがよくよいサービスと感じています。また Azure Sentinel はこの発表で初めて知ったのですが「システム管理者が死んだとしてもログから追うことができる」という、ひとり情シスであることの経営リスクを軽減する考えで、私と似た考えの人だと思いました。

ういちさんは結果的に視聴者投票は4位でしたが、終始、経営者役のあどみんさんにいじられ続けた結果だと思います。主催者と仲が良すぎて不利になることがあるとは、、また、私のような経験値の低い人には、構成内容のすごさが伝わらなかったのかもしれません。私も後日、しっかり資料を拝見して勉強したいと思います。

ハモリスタ(私)

自身の発表については、経営者役のお二人に丁寧に扱っていただいた印象です。コミュニティに参加したばかりの新人であること、長丁場のイベントのトリでみな疲れ気味だったせいもあるかもしれません。詳細は省きますが、こちらの意図したポイントを的確に突っ込んでくださり、エンタメとして盛り上げてくださったことに感謝しております。

自身の発表を振り返ってみると、実に内容がうすいこと。「構造改革だゴルァ!」と雰囲気だけで押し通してますね。やはり出自がプロダクト開発側ということもあり、コーポレートテクノロジーをよく知らないことが露呈しました。もっと勉強せねば…

SFA/CRM/MA にフォーカスしているのは、たまたま現職で営業領域のデジタル化推進のPMOをやっているから、比較的親しみがあったのでしょう。そういう意味では設定に助けられました。

結果発表

結果として視聴者投票2位、また審査員特別賞の位置づけである社長賞を頂戴したことは大変驚きました。弱者戦略からはじまり、こじつけで臨んだ内容で賞をいただいてしまい、他の発表者には申し訳ない気持ちなのですが、のちに配信アーカイブや Twitter のログをみてると、みなさんに楽しんでもらえたようなので、甘んじて受け入れることとしました。特に社長役の @okash1n さんのツボを突いたようで、よかったです。スタートアップの社長の気持ちになれるなんて、すごい人だなぁ。

まとめ

長くなりましたが、発表者視点でみたイベントの裏側をレポートしました。このように経験が不足していても、エンタメとしてワクワクするシナリオを作ることはできます。イベントの主旨に沿っているかは大変疑問ですが、経験豊富な方々からの愛のあるコメントをもらえるよい機会です。

私自身は本イベント後に、多くの情シス界隈のみなさんとつながることができたことが一番の収穫。こういったことを期待して、新しいコミュニティに参加したら、自己紹介がてら LT することにしています。みなさんもぜひ登壇してみてください。

最後になりましたが、イベントを企画・運営してくださったみなさま、素晴らしい機会を提供いただきありがとうございました!また情シス経験ゼロなのに快く参戦してくれた「つの」くん、イベントをきっかけに知り合ったばかりなのに事前の資料レビューをしてくれた「けびん」さんに感謝です。

今後もリーグオブ情シスは第二弾、第三弾と続いていくようです。次回は視聴者として、リラックスして参加したいと思います。機会があれば、別の設定で、発表してみたいと思います。


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