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フレコンバック

日本の農業従事者は2,000年で389万人、2,020年は136万人という統計が出ており、この20年の間に253万人減っています。この農業人口は毎年減少していて2030年には90万人を割るだろうとの予測が立てられています。農業従事者の平均年齢は「67歳」で65歳以上が7割を占めています。高齢化・後継者不足や人材確保の難易度が上がっているところが農業従事者減少の主な原因なのでしょう。

そのような中で、労働集約型農業からの脱却を目指した「スマート農業」を推進し、省力化を図る動きが各地で盛んになってきています。スマート農業はロボット、AI、Iot(インターネットに繋がっているもの)などの先端技術を活用する農業のことで、例えば農薬散布をドローンで行うことや、自動運転で田植えを行うなど様々な面で省力化が図れます。

正直なところ農業が自動化されればされるほど、人の手や汗など苦労した想いが伝わりにくいような気がして個人的にはちょっと寂しさを感じますが、従事している方々からすると「こっちの苦労も知らずに…」と言う話になるかなと思います(汗)

また先日世界初となる完全自動運転コンバイン「アグリロボコンバインDRH1200A-A」がクボタから発表されました。これで穀物農業の3種の神器トラクター・田植え機・コンバインと全てで無人自動運転が可能になりました。発売は2024年1月〜で価格が2,200万円〜2,300円くらいするようですので、かなりのお値段ですね。

スマート農業というと聞こえは良いですが、これだけ高いと導入コストとリターンを冷静に判断しないと省力化にはなっても見合わない投資になりかねないので、注意は必要かと思っています。

さて本題です。

このように省力化が叫ばれている農業なので、最近は大豆も30kg紙袋ではなくフレコンバック(※以下フレコン)で出荷する生産者の方が増えてきました。

フレコンはポリエチレンやポリプロピレンなどを中心とした合成繊維袋で、別名トンバックとも言われている通り容量は1トンです。

お米の出荷は1,020kgのようですが、大豆はかさばるので900kgでの出荷がメインになっています。


フレコン出荷を推奨している産地と30kg紙袋で出荷をしている産地と分かれますが、大きく言うと大規模産地は徐々にフレコン出荷に移行しているように感じます。

宮城県でも多くの産地がフレコン出荷を始めており、岩手県ではJAいわて花巻が岩手県内初のフレコン出荷を令和4年産からはじめました。

生産者の省力化(30kg袋に1つ1つ積めなくても良い)になることや大手メーカーの省力化(1袋ずつ開けなくて良い)、30kgの紙袋を1つ1つトラックにバラ積みするのは大変だという運送会社の省力化にもつながるので、みんな良くなるだろうということかと思います。


ところが中小規模のメーカーさんでは900kgのフレコンを受け入れられる体制が整っているところは少なく、当然ですがフレコンでは困るというメーカーさんもまだまだ多いと思います。弊社のお客様もフレコンでは困る方が多いので、フレコンで購入したものは自社で30kgの紙袋に入れ替えて皆様にお届けをしています。(全体的に見れば省力化になって良いことだと思いますが、30kg袋を買ったり、入れ替えしたりと、こちらは結構大変になりました…💦)

また、入れ替えの大変さだけではなく農産物検査も気になっています。

フレコンで検査したものには1等〜合格までの格付けが押印されますが、農産物検査法では入れ替えた袋に再度等級格付けのハンコは押してはいけないという仕組みになっています。袋もどんな袋に入れ替えしたら良いか気になったので、関係各所問い合わせをしましたところ「入れ替える袋は特に決まりがないので、どんな袋に入れ替えるかは自由にやってくださいとの事」。(モヤモヤ…。)

このような事から、弊社では無地の袋やJAから30kg袋を購入して入れ替えを行っております。等級印は押せない仕組みですので、お客様にはフレコン〇等品を入れ替えたものですという事でご理解していただくしかありません。

今後生産者さんのフレコン出荷が進んでいくと等級印の無い袋が増えていくので、先述のような理由からとご理解いただけますと幸いでございます。

入れ替えは張り切って行ってまいります!


※フレコンには等級検査の紙がついてくるので、等級が気になる方はこちらの検査証のコピーをお渡しできます。遠慮なくおっしゃってくださいね。