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コロナ終了2

2020年2月半ばに100席以上の『大型』店舗を開店した。
大きめの店舗は得意では無い、これが3度目の挑戦となる。
『EDOX』という店で4台のコンテナを改装し、屋根を付けた。下が地下街となっている為、柱は建てれない。建築許可が取れない。
コンテナならば撤去も楽であろうという構想からのスタート。
コンテナリース会社と組み、”毎日がお祭り”というコンセプトでスタート。
カウンター周りは炉端焼き風にし、お客様が選んだ食材を炭火で焼く。
櫓を中央に建て、和太鼓で来客を迎える。スタッフは法被で接客。
が、しかし。。。ご存知、コロナ襲来!
4月頭より「店内飲食禁止」のコロナ規制が始まり過去最短の1月半で閉店を余儀なくされた。
”新店舗”で”大型”。  最悪である。
常連さんもまだ皆無であり、多数の従業員を抱えている為、ランニングコストがかかりすぎる。止む無しである。
とはいえ、コンテナリース会社にはリース契約が残っている。
店を続けることが出来ない旨を伝え、この状況故、リース契約の見直し、契約破棄を依頼するも先方としてはふざけるな!である。
ふざけてません。
「見損ないました」とも言われたが、頭を下げるより他はなく、平謝りを繰り返す。 固執したら”会社”自体が存続できない。残りのリース料は分割で必ずお返ししますと約束し、何とか納まった。

1度目の「全従業員自宅待機期間」は約3ヶ月続き、会社からの給与保証は基本給の半分。
この期間に会社の復活を見限った社員は退社していった。
この期間に4店舗を閉店した。

何か”飯の種”は無いものか。持ち帰りの弁当、冷凍ピザ、宅配すし、思いつく事は何でもやってみた。が、給与補填すら危うい。。
メイドをクビにしているお金持ちの家などにクリーニングサービスを手の空いている従業員とやろう!とかも考えた。
しかし、餅は餅屋である。世界中の人間が頭を捻っているはずで、他業種に手を出し、元来本業としている方々に敵うわけもないのだ。

昔読んだ百田尚樹さんの「海賊と呼ばれた男」を思い出す。店主国岡の苦悩。食べる為なら何でもやった。タンカーの底の原油の掃除までやった。
というくだりである。
将来どうやって生きていくべきかと悩んでいた少年時代を思いだす。
社会で如何に食べていこうか、不向きな仕事を選んだら一生楽しくないであろう、しかも出世もしないであろう。
色んな業界でバイトをしてみて思った事だが、代わりのすぐ見つかる人間になってはならない、目先の金を追う仕事には先がない、嫌いな事は続かない、少ない選択肢の中から”職人”の道を選んだ。
大工も魅力だったが「図工」の時間に自分が作った「折りたたみ椅子」は呆れるほどの出来栄えだった事を思い出し、”料理人”の道を選んだ。
その時に向いてない事はやらない、勝てないからやらない。と決めた。

前回の記事で何でサラリーマンを選んでなかったかと後悔したと書いたが、元来無理なのだ。 そもそも、上司が居るという環境が嫌だ。”命令”されるのが嫌。指示を待つとか嫌。全て自分で決めたい!
これはもう治らないであろう。幼少の頃よりこの性格である。
「竜の尾より蛇の頭」貧しくても良い、向いてない事をして生きていくのだけは嫌だった。人の為になる我慢なら出来るが、自分の為になんか我慢する気は毛頭ない。

漸く規制は徐々に緩和されていく。
店内飲食は18時まで可能となった。
16時スタートの宴会、昼からの宴会が可能である。
変わらず外出を控えて居る人も多く、繁盛とはいかないまでも、今後段階的に緩和されていくであろう事は、他の先進国のニュースを観ていれば予想ができた。一筋の明かりが見え始めた瞬間である。
恐怖に”洗脳”されきった人以外は最早この状況に飽き飽きしていた。
”風邪”だったね。という考えの人が増えてきたが、公言は憚れた。

ワクチンは3回接種した。というのも地方都市からのフランチャイズ出店要請も数件あり、飛行機に乗らなくてはならないからである。
この機会は絶対に手に入れなければならないと思った。
幸い3回とも副反応ゼロである。無神経な体に産んでくれた親に感謝した。

このコロナ期間で4店舗の閉店、4店舗の移転を終え、徐々に乾ききった軽石に少しずつ水が浸みてきた。通常なら有り得ない好条件で直営店は5店舗開店できた。家賃タダ、歩合での家賃翌月払い、居抜きでの無償譲渡などである。この危機に大きく学んだ事は「金など無い!」と潔く言い切る事だ。
無い奴から取れるのは”技術”と”経験””ノウハウ”である。

規制完全撤廃は2022年12月30日となった。
マスク着用の義務、ワクチン接種証明の提示、モールなどへの入場時のアプリ提示、営業時間規制など全てが解除された。
漸く”生き延びれた”と実感できるようになった。

が、しかし、まだまだジャカルタ市内はマスクマンが多い。
世の中から”恐怖”が完全に抜けるまでにはもう少しかかるであろう。
収穫期はこれから始まるはず。



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