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大豆的旅行記#1北海道編1-3札幌の夜は長い①

友人たちが宿へと集結する夕方6時

少しずつ日が傾いているのが東へ来たことを思い知らされる。

夜の予定は7時から、みんなで昔話をしてるだけであっという間にその時はやってくる。

タクシーに3人ずつ乗り込み宿から食事会場へと向かう。今日の夕食はジンギスカン。生まれてこのかた、記憶を記録し始めてから、なんだかんだジンギスカンを食べるのは初めてである。物心つく前に北海道へ行った時にも食べたかもしれないが、全くの記憶がございません。

大人になってから食べたことのある友人たちは、全員してジンギスカンのハードルを上げていく。『ビールとこの世で1番合うのはジンギスカン』『焼肉とは全くの別物』『これを食べるために生きてる』おいおいそれは言い過ぎだと思う。そこまで言われちゃジンギスカンも大変だろうなと同情も挟んでみる。

しがない一般社会人のわれわれは高級店に行くでもなく、大人数予約のめんどくささから飲み放題食べ放題のコースを予約してある。ここで人生変えられてしまったらこれまでの人生は一体何だったんだろうかという話である。

そんな話はさておき、ジンギスカンの肉盛り、山盛りのキャベツともやしを横目に、七輪をあたためながらサッポロクラシックの到着を待つ。何も考えなくてもサッポロクラシックが出てくる北海道の飲食店は素晴らしい。

ぞろぞろとドリンクが集まっていく。

数ヶ月から数年ぶりの同期が14人も集まっているのである。皆ソワソワした面持ちでグラスを片手に握る。乾杯の音頭の言葉なんぞ忘れてしまったが、ついに夜が始まっていく。乾杯でグラスをぶつけ口へと運ぶ。サッポロクラシックの強いようで刺激の少ない炭酸が喉とお腹にゴングを鳴らす。くぅ〜北海道に来た!!とりあえずグラス半分を一気に飲み、次々に肉を七輪へと運ぶ。独特な丘型の網に肉と野菜の火の丸印が出来上がる。

肉が焼き上がってくる頃、もうビールを2杯も飲み終えている。友人との会話に花を咲かせている間に、いつもみんなの世話をしてくれている隣の彼はすでに肉を分け始めている。彼は昔からお酒が強い方ではなくみんなと話しながらいろんな世話を焼いてくれる。学生時代とても迷惑をかけお世話になったうちの1人だ。今も変わらず世話を焼いてくれているが今回はすでにビールを一杯飲んでいる。彼曰くすでに北海道が楽しすぎるとのこと。いつもより少し陽気にさせてしまう街、それが札幌なのかもしれない。

肝心のジンギスカンには衝撃だった。

なぜなら食べ放題の時間が終わってもまだ食べれそうだっからだ。この歳になると食べ放題も半分過ぎた後はお酒とおつまみを頼むくらいで、メインをずっと食べることはほぼなくなってしまった。自分の中にも余裕ができてきて、調整することを覚え、すぐ満足できるような体になってしまっているのである。

今回のジンギスカンはその常識を打ち破ってきた。ラストオーダーまでずっと食べてた。ラムとかマトンとかもうずっと食べれるのである。油がしつこくないとかよくわからないけどずっと食べれるのである。合わせてサッポロクラシックの炭酸もお腹に溜まるなか最後まで食べて飲むことができた。

友人たちの言葉通りビールとの相性も良く、飲んで食べ飲んで食べを繰り返すマシンと化している。

酒のお供にジンギスカン、ここ最近何をやっているかを聞くと、彼らはきちんと日本を支える仕事を行なっている。教育にインフラ、製薬に研究。皆仕事に対して意義を見出し、前向きに取り組んでいる。やはり自分にとってきちんとやりがいを見出した仕事に就くのは素晴らしいことなのだ。彼らの話を聞いているだけで誇り高い、とても素敵な友人たちである。彼らにとって私もお荷物にならないような人生にしていきたいと少し襟を正す。

お店を出るとすでに真っ暗で街は夜の熱気を帯び始めている。その中で浴びる北の涼風はとてもとても心地よい。

次の日は結婚式なのであまり夜更かしはできないと思いつつ、アルコールを含んだ大脳にはブレーキが錆び始めている。

学生時代の若き自分を思い出してしまった人たちで2件目へと繰り出す。

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