孤独の克服 〜拘りの大人編〜
服がない
彼女が日常になる、いや、なりつつある段階のこと
遠い昔に経験した(妄想かもしれない)デートという儀式に久しぶりに出かける際、一番困ったのがこの服というやつだ。
私にはかなり遅めの反抗期を迎えた娘がいる。
その娘からよく言われるのが「ダサい」「ブス」
だった。
まぁ特段、しばらくは女性を意識することもなく過ごしてきたので「ダサい」というのは理解する。
が、「ブス」はやめてほしい。
仮にもあんたの親なんだし、私自身そんなにブスだとは思っていない。
そんなブスにも彼女が出来てしまったからには、ある程度デート用の服を持っておかないといけない。
昔はそれなりにオシャレに気を使っていたのに、一切何をどうしたものか思い出せない。
そこで、反抗期(遅)と彼女を連れて私の服を買いに出かけた。
彼女と反抗期()は、二人で素早く店内を回っていた。私はマネキンの前で意味もなく仁王立ちに徹することにした。
そこで何やら二人がヒソヒソと話している。
私はこの孤立はおじさんの宿命だと自分に言い聞かせ、仁王立ちから片足立ちに体制を変えた。
なんだかんだで服を買い、帰ってから彼女に聞いた。「なんの話してたの?」
「あぁ、娘ちゃんがパパがダサいんで何とかして下さいって。スーパーマリオのTシャツとかが特に最悪だって言ってた。」
私は(あいつは世代じゃないからなぁ)と思っていたが、それだけでは隠しきれない恥ずかしさが湧き上がってきた。
でも彼女はさりげなく
「私はマリオのシャツ好きだけど。」
なんて言っちゃう人である。
今日も得意げにマリオを着てコンビニに出掛ける私だった。(近所に限定した)
因みに仕事着は自由だが、私はスティーブジョブズ、若しくはザッカーバーグよろしくいつも同じデザインのシャツを色違いで着回している。
これは私なりの仕事に対する敬意であるから、反抗期(遅)には何も言わせるつもりはない。
たぶん言われたら気にしちゃうから。
因みにマリオのTシャツは、マリオ1のドット絵のやつだ。これが64以降のデザインなら私は買わなかっただろう。
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