【ティア小話ワンドロ】ある夏の独奏会。
「あいよ、頼まれてたのあがったよ~スガやん」
「ああ、いつもありがとう」
ここはヴェリナードの街の一角、整備屋の店内。
店主のウェディ、マルグレテはカスガへにこやかに注文品を渡してきた。
「いつも贔屓にしてくれてありがとね~。今回はどしたのさ、珍しいもの持ち込んだよね」
「珍しいかい?」
「ん~、珍しいはちょっと違うか。スガやんぽくないというか」
「そうかい?」
そう言いながらカスガが掲げるのは、一抱えはある大きな楽器のケースである。
音楽を愛する種族であるウェディなら