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生産性と転職の関係

友人の北野くんとメッセンジャーでやり取りをして、こんな面白い資料を教えてもらいました。経産省の資料の抜粋で人材流動性と労働生産性には正の相関関係があるというものです。噛み砕けば「転職の多いと生産性が高いか、生産性が高いと転職が多い」ということだと理解しています。

転職が多いことと生産性が高くなることはなぜ関係するのでしょうか?私は時代背景の影響が大きいと感じています。その理由に

①テクノロジーによる劇的な産業構造の変化
②①に伴い求められるスキルの高度化
③①に伴い機械に置き換わる仕事が増える

があると思います。
これも北野くんに教えてもらったことですが生産性は産業ごとに十倍以上の開きがあるそうです。テクノロジーは産業構造を根本から変えますし、そもそも産業には賞味期限があると言われています。つまり、少し前に生産性が高かった産業は今ではずいぶん低くなっているということです。

また、生産性が低くなった産業は相対的に人件費の比率が高くなりそれを機械に置き換えるインセンティブが生まれます。もしかするとそもそも新しい産業というのは自動化する前提で産業が生まれているので、生産性が高いということなのかもしれません。

新しい産業はテクノロジーが活用されているものがほとんどでどんどんとスキルが高度化しています。アメリカ人の友人ももうついていけないと嘆いていましたから、世界中でこのハイクラス人材に入るための競争が激化しているのでしょう。入れば高額なサラリーを手にすることができるからです。

つまり、ものすごく乱暴に言うと
生産性の低くなった産業は給与が下がり人が余る
→生産性が高い産業は給与が高く人が必要
→転職が多ければ全体としては(個別では色々あるでしょうが)必要なところに人材が配置され最適化されやすくなる
→生産性が高まる
ということなのだと理解しています。

板の上に砂が乗っているのと泥が乗っている状態で、板が左が高い状態から右が高い状態に移行した時、砂であればさらさらと左に移行するのですが、ベトベトした泥だとなかなか左に移行しません。人材流動性が低い社会とはこの泥の社会だとイメージしています。必要とされるところに人が回りにくく、結果として生産性が高まらない。

起業が増えることと資金調達のやりやすさは関係していますから、直接金融が増えることは起業市場を活性化させます。要するに流動性が高まればマッチングが頻繁に行われ、自ずと最適なニーズが噛み合うところが見つかるだろうという、市場システムの力なのだろうと思います。

早期退職も、リカレント教育も、私の理解では人が変わらずに場所を変えるか、人自体が変わるかの違いでしかありません。そして実際のところは個人もスキルを変えつつ、場所も頻繁に変えていくというのが現実的な対処方法なのだろうと思います。

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