権威と権力

世の中には権威と権力があります。少し乱暴にこの二つに分けてみます。権威は抽象的で、権力は具体的です。権威は示唆し、権力は決断します。権威は与えられ、権力は勝ち取ります。

権威タイプのリーダーは人々から愛されやすいです。理想を語り、分断を埋め、人の心を癒します。権威タイプのリーダーは示唆しそうしたくなるように仕向けます。批判をすることは少なく、あちらと向こうを分けるようなことをしません。裏を返すと権威タイプのリーダーは厳しい決断をしません。意見が真っ二つに分かれるような重大なことを決断をすることができません。そしてそのような問題をテーブルにあげること自体をしません。人の意見をよく聞くが、一方で誰がなんと言おうともやるというところがありません。

権力タイプのリーダーは一部の人には熱烈に嫌われ、一部の人に熱烈に愛されます。権力タイプのリーダーは、決断し、行動し、具体的に変えます。議論も、言葉も手段であり、一番重要なことは決断し実行し現実を変えることだと信じています。しかし、権力タイプは命令はできても促すことが苦手です。批判をし、分断も起こします。現実を変えますが、人の心を変えることは苦手なので本当は納得していないという不満を抱かせることもよくあります。人の話を聞いてもしょうがないと思っています。個人の力よりルールや構造を信じています。

権威タイプのリーダーの力の源泉は感情にあり、権力タイプのリーダーの力の源泉は利得にあります。双方、使う言語が違います。権威タイプのリーダーは歴史に言葉を残します。権力タイプのリーダーは歴史に変革を残します。権威は理想を語り、権力は現実を語ります。権威タイプばかりであれば美しくはありますが何も決められず何も変わりません。権力タイプのリーダーばかりであれば闘争が激しくなりたくさんの分断が生まれます。

権威タイプは決断力がないと批判され、権力タイプは強引だと批判されます。権威タイプが権力に手を伸ばせばギラギラしてきたと言われ、権力タイプが権威を求めればおこがましいと言われます。権威は安定に強く、権力は変革に強いです。