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暗殺の森のドレス(1)前編

カバー写真は、ベルトリッチの「暗殺の森」の、ヒロインの女性二人のダンスシーン。1970年につくられた映画です。

ベルエポックなドレスはいずれもキトン風、キトンというのは古代ギリシアの衣装のことで、水が流れるような生地の造形が特徴です。

とくにシャンパン色のこのドレスは、シャンパンゴールドの色使いといいクレープサテン生地の柔らかさといい、とてもローマ的です。

同デザインコンセプトのギリシア的ライン

パターンデザインが左右非対称、アシメトリーであることも、ギリシア=ローマ風デザインの大きな一つの特徴です。

ローマというのは地名ですが、Romanであるというのはデザインイメージのことです。
たとえばこれは英国の画家の近代に描かれた絵ですが、"A Roman beauty" というタイトルです。この女性の美がローマンであるということが、ドレスデザインによって決定されるのだといえます。

逆説的に、衣服、ドレスのデザインが、土地や国名を表すこともあるといえます。

ブロンドヘアのヒロインのドレスは、アクセサリー使いもしているところから、ギリシアというよりもローマ帝国風、彼女にはイタリアという国をおぼえますが、

映画の中で子ども達にバレエを教えたりもしているので、ギリシアからロシア、ビザンティンまでを含む西欧としてのローマを、このヒロインは表しているといえるかもしれません。


もう一人の黒髪のヒロインは、主人公の妻です。
映画の冒頭で初めて登場する際にも、白黒の衣装で登場します。

西欧人にとってモノトーンの服は、日本をイメージさせる色合いであることが少なくありません。

故ダイアナ妃が来日の折によくモノトーンのドレスアップをしていました。
保守的、コンサバティブなデザインです。

パール、真珠使いというのも日本的なイメージです。
もともと白黒色使いというのは、フォーマルな色の組み合わせです。


((1)後半に続く。)

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