シェア
竈猫
2023年9月28日 02:39
洗濯機の中から化粧品が出てきた。私は戦慄した。さっきまでげんきいっぱいで、寿命をもう少しで全うできそうだった赤い口紅が、無残にひび割れ、水に濡れ、ついでに柔軟剤のよい匂いを纏って現れたのだ。早々に見切りをつけ、私は街に繰り出した。電車内、でがたがた揺られていると、母からと七五三の写真が送られてきた。ぎこちなくポーズを取る幼少の私の口元には、着物と同じ、青みがかった赤色が塗られていて、ふ