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リズミカルな日々

住宅展示場で案内をしている、いわゆる制服をきた30代後半の女性は、当時まだわたしが20代前半だったこともあってだいぶ年上に思えた。赤羽の赤ちょうちんでだいぶ酔って、モノクロのトーンのビジネスホテルに泊まったのを覚えている。酔っているテンションを暴力的にカウンターの方に投げつけるような、今思うと申し訳ない気分になるそのシーンがあった。
当時、結婚するまでに遊ばなかった。かつ結婚してから子供がいない。ということで若い男の子と遊びたいと言っていた、和装が似合う30代後半だったか。何度か池袋の北口で待ち合わせをしていた。インナーのもつ色気のようなものを感じ、行為の時には特に感情がないのか、殺しているのか、終わるとそそくさとお酒も飲まずに終わる。
ふわついた感じのある人だった。
そういえば30代後半、すこし恰幅がいい女性もいた。新宿の大久保よりのホテルに入ったこともあった。新宿はあまり好きな街ではなかったが、そのあたりには人臭いが緑のある公園があって、印象に残っている。しかしまったく自然の匂いがない。
行為や関係に愛情があるのかないのか。どういう思いなのかの詮索が全くできない。酒の酔いというものがある場合でもない場合でもそうだった。だいたい長く続くわけではないし、行為自体をしたいとは思わなくなっていく。

意識しているわけではないが、ものすごく言葉に対して感受性が高いことが多い。そして動作や表情から感じ取ってしまうことがあり、気持ちはそれに連動してしまう。繊細な皺を埋めていくパウダーが、しっとりとした質感を生み出す夕方に、車の排気ガスや緑の匂い、コンクリートの持つ香り、雑多な通り過ぎる人たちの匂い。そういった能動的に、こちらは受動的になってしまう感覚を包み込むような球体を思い浮かべている。
相手のイメージだけで交流を持ってきた女性に、深夜3時に公園で行為に及ぶ。長い商店街はその先幹線道路に出るのだが、だんだんと商店街らしき雰囲気をなくしていく。その道すがらのお寺を左手にまがり回り込むと幼稚園があるのだが、その隣の公園で、監視カメラの位置を確認しながらに行為は始まった。すこし湿度がある季節だったと思うが、その時も白くしっとりとした太ももを強めにつかんでいたのだろうか。
翌日から連絡は取らなくなり、なんだか不思議な思いでその場所をまわってみたのだが、夢だったのではないかと思うような感覚がくるくると回転しながら心の中で混乱した。

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