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田舎論

今回は田舎の生活についてお伝えしようと思います。 「東京の人は東京 23 区だけが東京だと思っているらしいわよ。」 これは私の母が 25 年くらい前に言っていた言葉です。 「東京の人は東京だけで世界が完結しているから。」 これは知人のお母さまが仰った言葉です。 都民の方は気分が悪くなってしまうかもしれないのですが、今日は、東京と地方の格差、また、東京内、地方内での格差に関してお伝えしたいと思います。 地理で言えば、南北問題、南南問題に少し似ていますかね。 私は上京して渋谷のスクランブル交差点の人の多さには驚きましたね。 とはいえ、一番、驚いたのは、大学の同級生に、 「東京に来て思ったんだけれど、凄く便利だね。」 と言ったら、 「地方に行ったら不便だったから、東京は便利なんだろうね」 と返されたことです。 その時、私は思ったんですよね。 都民にとって、『東京』=『日本』なのだと。 その都民でも、調布あたりは OK と言う人、23 区は OK という人、山手線の中だけは OK と言う人と色々いて、都内でも別れていますけどね。 港区や千代田区のタワマンに住んでいる人と、八王子に一戸建てを持っている人では、生活水準が違うので、都民の中でも格差はあるでしょう。 ただ、一つの基準として、東京 23 区だけは特別というのがあるでしょうね。 東日本大震災の折、都心部で輪番停電がありました。 しかし、国は様々な理由をつけて、23 区はほぼ全ての区を輪番停電の対象外としましたから。 というように、これはいわば、北の中の格差、世界に例えれば先進国の中の格差の問題ですね。さて、地方はどうかというと、都民が豊かな暮らしをしている中で、地方は下支えをしている感じですね。 例えば、電力発電所は基本的に地方にあります。 田舎のほうですね。 農作物を作っているのも基本的に田舎。 食料自給率を上げろと言っても、東京で農作物を作ろうとはしませんからね。 田舎というのはいわば、東京によって収奪されている場所なのですね。 今は貴重な若者も東京に出て行ってしまい、集落が消滅するところも今後増えるでしょう。 私の生家の字(あざ)もあと 20 年すれば、家は 10 軒になるかもしれないと祖母が言っていました。 私が生まれたときは50 軒ありましたけどね。 まあ、それは本当の田舎なのですが、政令指定都市のようなところは地方と言ってもまた違いますよね。その都市だけで大企業もありますし、それなりに回っていきます。これはまあ、地理で言えば、南の中では栄えている国でしょうかね。 私の生まれた県などは南の中でも最貧国に近いのではないでしょうかね。そして、私の生まれた町は最貧国の中でも離島や村を除けば上位の貧しい町ですね。 私の出身県の町村部と大阪などの大都市は南南問題で言えば、南のトップと南の下位争いをしているような地域です。 私は田舎の山の中腹に生まれ、保育園のころに田舎町の平野に引っ越し、高校で県庁所在地の高校に進学して、浪人で大阪に出て、大学で東京に出てきました。山の平野の町の人にも、「佐藤くんのうちは山の上だよね」 という嫌みを言われましたからね。 そういう風に見てみると、格差は凄いですね。それこそ同じ日本とは思えないです。田舎はもう老人ばかりですよ。 以前、北海道の文化資本のtweet が話題になっていましたが、私の街に初めてローソンができたのは私が高校生の時です。映画館なんてないし、カラオケボックスも高校生の時にできたかな?とかそのレベル です。書店も個人の小さいものがあるだけ。電車は30 分に1本、バスは30分に1本。車がないと何もできない。 喫茶店ができたのもほんの数年前ですね。 パチンコ屋はかなり昔からありますが笑、というところですね。 まあ、田舎者の愚痴ではないのですが、特に医学部で地方に行く人は、「卒業したら東京に戻りますか?」と聞かれて、「はい」 と答える人はいないでしょうが、その土地のこと及びその医学部をなぜ受験するかは考えておきましょうね。 大学ホームページと県庁ホームページは必ずチェックしましょう。 慶應などで小論文を書く際は格差社会論で地方にも言及することになるでしょう。 地方のことを考えてみるのもいいかもしれません。 グーグルストリートビューで地方の景色を見てみるとかですかね。また、私の田舎では、猪が出る、蛇が出る、狸が出る、家の蜘蛛は掌より大きい。など、何でもありですからね。 猟友会の人が猪を撃って、猪肉なんて食べたこともありましたが。また、田舎民にとっては、落ち葉の絨毯を踏みしめるというのは当たり前のことですが、東京生まれ、東京育ちの方は多くの方がその経験はないですよね。 落ち葉を踏むのではなく、落ち葉の『絨毯』を踏みしめるのです。 落ち葉が何層にも重なっており、そこをあるくと、ミシッと音がします。 そこを踏みしめて楽しんでいましたね。 そして、山のほうに行くと、クマに注意の立て看板。 山に入ると、池があり、落ちたら危ない、という立て看板。 これが田舎ですね。観光には良いと思います。数日、自然を堪能できるでしょう。しかし、一生住めと言われたら、ほとんどの都民は嫌だと思うでしょう。 田舎の村社会というのはよそ者には厳しい。 噂話はデマばかり流される。 高卒が多く、地元のどの高校を出たかで派閥ができる。 また、田舎は官尊民卑なので私立の進学実績が良い高校より、旧制一中の公立高校 が評価されます。 さて、田舎論が長くなりましたが、田舎はどんなところかわかってもらえましたか? 田舎の人は聞かなくてもわかっているよ。 という話でしょうが、東京生まれ、東京育ちで田舎なんて知らない。 という人は東京と地方、そして地方でも更に田舎について考えてみてくださいね。

※2020年に受験生向けに団体内部で配信したものをそのまま転載したものです。

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