"Tri Stacking Stool"のリファレンス
2017年に作った最小限の3面だけで構成されたスタッキングスツールとトロリーです。これをデザインする際に参考にしていた資料の一部を公開します。ちょうど先週事務所用にもいくつか作ってみました。
トロリーはホームランボールを飾る3本脚のバットのような構造になっていて、ネフ社のおもちゃのようにスツールを彫刻的にスタックすることができます。今までひっくり返すしてスタックするトロリータイプと、ひっくり返さないスタック方式の2種類をデザインしています。元々、僕たちの事務所happaで使っていた3本脚の自作のプランターが原型で、そこから派生したプロジェクトです。設計当時参考にした作品や考え方を公開します。下の写真が事務所のプランターです。
Kurt Naef: Der Spielzeugmacher / The Toymaker
このプロジェクトのきっかけは、ネフ社の作るおもちゃのように「スタッキングされている様子が彫刻的に見える」プロダクトを作ろうというところからスタートしています。効率的に片付けることだけが主体ではなく、片付けたあとも主体として捉えられるような状態を目指しました。当時この本を穴があくまで見ていた記憶があります。
Max Bill / Unit in Three Equal Volumes
トロリーとプランターの脚の構造は、マックス・ビルの作品集をパラパラとめくっていたときにこの彫刻を見て思いつきました。建築家であり、グラフィックデザイナーでもあり、プロダクトデザイナー、彫刻家といった多様な顔をもつマックス・ビルのジャンルレスな創作は憧れ。
Donald Judd / Plywood chair series
名作ジャッドのプライウッド家具のシリーズ。Juddは45度に加工した材をつなぎ合わせる「トメ」の納まりをほとんど使わないのですが、面の部分を染色した上の写真のシリーズでも木口が切りっぱなしのように表現されていて、90度に裁ち落としているのがより強調されたデザインになっています。ちなみにですがJuddが45度にカットした材を使うときは、全体が45度のひし形に変形したりするので、「切断方法」にかなり意識的だったことが伺いしれます。実はDDAAではあまりトメの納まりを使わないのですが、これは完全にJuddの影響ですね。
Werk Magazine No.13 / Jan de Cock
フロムシンガポールの超イケてる雑誌WERK magazineのJAN DE COCKの特集号。Juddとは違いJAN DE COCKは練り付けのカラーポリ合板(内部はパーティクルボードぽい)を切りっぱなしで使っています。Juddのように合板の表面だけ色を変えると、木口にマスキングをして、表面だけ綺麗に染めて、、、という意外と工程が多くかかるのでJuddと比べると非常に手数が少ないかつラフな作り方、仕上げとしては全然違うものですが、トム・サックスにも通じるDIYの精神を感じます。
Hunting Chair / NORMARK
ホームランボールを飾る3本脚のバットのような構造、最小限の部材で自立する一つのお手本のようなスツール。もともとは狩りに行く際に持ち運びと組立が容易にできる構造だったようです。スツールをスタックしていないときのトロリーの参考になめるように観察しましたが、特に何も関連したアイデアは思いつきませんでした笑
本当はもっとたくさんあるんですがあとは秘密。
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