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現役大学生が佐藤正午『Y』を読んだ。

一言「佐藤正午に出会えて良かった」

導入

佐藤正午の『Y』を読んだ。
個人的に、知る人ぞ知る名作家だと思っている。ちなみに佐藤正午作品を読むのは今回が初めてである。
読むきっかけは大学の教員から勧められたから。

あらすじ

ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。北川健と名乗るその男は、かつて私=秋間文夫の親友だったというが、私には全く覚えがなかった。それから数日後、その男の秘書を通じて、貸金庫に預けられていた一枚のフロッピー・ディスクと、五百万の現金を受け取ることになった私はフロッピーに入っていた、その奇妙な物語を読むうちにやがて、彼の「人生」に引き込まれていってしまう。この物語は本当の話なのだろうか?時間を超えた究極のラブ・ストーリー。
内容(「BOOK」データベースより)

感想

2001年に書かれた小説とは思えないほど、内容とアイデアが斬新であった。そもそも古い小説=古いという考え自体が誤っていると思うが。何十年前も書かれた小説が何年も読み続けられることもある。
物語はやや難解で、私は2回読む必要があった。タイムトラベルを取り扱った作品で、SFっぽさもありながら、家族や恋人が登場する為、無機質な感じがしなかった。読んだ後に癒しのような感覚を抱いた。
重松清の『流星ワゴン』もタイムトラベルを取り扱った作品だが『Y』とは若干異なる。こちらも面白いので読んで欲しい。
この作品の舞台は1998年と1980年の二つだ。私は1999年生まれでまだ産まれていないが、当時の日本がどのような雰囲気だったのかが描かれており、イメージが簡単に出来た。

難解に感じた点

主人公視点では体験した人生は一つだが、タイムトラベルをした友人、北側健視点では、体験した人生は二つであり、主人公の人生も二通りになる点だ。
つまり、主人公が知らないもう一つの世界線の自分を友人は知っていることになる。
北川健によって書かれたフロッピーディスクの手紙では、もう一つの世界線のことも書かれており混乱した。

まとめ

佐藤正午『Y』は2001年に書かれた小説で、タイムトラベルを取り扱った作品だ。
重松清『流星ワゴン』と同様に読んだ後、癒しのような感覚を与えてくれる作品は、知る人ぞ知る名作になると思う。

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