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良いイシューとは何か


この問いは、仕事や事業に向き合う人であれば、何度も考え、頭を悩ませたことがある問いだと思います。私自身も、「イシューの質」が、顧客やユーザーに価値提供するために、そして事業を成長するために、つまりは価値ある仕事をするために、最も重要な変数であると気づいてから、「良いイシューとは何か」という問いに向き合ってきました。

イシューの良し悪しは、後から振り返ることが難しく、イシューの質が悪かったのか、もしくは解の質が悪かったのかの答え合わせをすることは難しいからこそ、イシューという概念についての解像度は少しでもあげておくべきだ、と考え、現状の思考を整理するために言語化したものが少しでも誰かのお役に立てると嬉しいなと思い、noteに残しておきます。(下記から常体で失礼します)

どのイシューと向き合うかが9割

個人として価値ある仕事をするために、もしくは組織で事業を成長させていくためには、どのイシューと向き合うのか、というイシュー設定が非常に重要である。課題を設定し、課題を解くという2つのプロセスをまとめて、課題解決とよび、課題解決の数や質に価値が内包されている。この価値に(マネタイズ方法が紐付き)売上が生まれる。つまり、価値を創出できるかどうかは、どのイシューと向き合うのか、というスタートラインが間違っていれば、どれだけ努力して、どれだけ時間を費やしても、価値は生み出せない(or小さくなる) 

しかし、課題解決は不可逆で、あとからイシュー設定プロセスか解決プロセスのどちらが結果に起因する割合が大きかったかを正確に振り返ることが難しい。また、組織における課題解決の場合は、イシュー設定者と課題解決者が分かれていることが多いため、他責になることも少なくない。しかし、価値を生み出すためにはイシューの質という問いから逃げてはいけない。とにかくやってみようも大事だが、どの課題と向き合うのか、という見極めも十分に思考する必要がある。


イシューと課題の違い

イシューと課題の違いとは何か、(基本的には大きく意味は違わないが)個人的に課題とイシューは分けて定義している。「課題は現状の延長戦上の改善において取り組むべき事柄」という定義で使い、「イシューは理想から逆算した時に向き合うべき事柄」という定義で使用している。

少し前までは「課題」という言葉をどちらの意味合いでも使用していた。しかし、常に理想からの逆算で思考することの重要性に気づいたり、ゴールへの道筋が現状の要因仮説を潰し込むこと以外の直線的な経路以外も存在することに気づいてからは、明確に言葉自体を分けて活用するようになった。

課題は現状の延長戦上に常に生み出し続けることができるものだが、本当にその課題を解決すべきか、そもそもどこを目指すべきだったのか、その課題と向き合わずとも別のイシューに向き合うことで、今の課題すらも解決されることはないか、と自問自答するための定義分けである。

イシューの質の最大変数は順序である

良いイシューを構成する要素、つまりイシューの質にかかる最大変数は何か、と聞かれたら、間違えなく「順序」であると答える。理由は主に2つである。

1つ目は、順序を誤ると課題解決が不可能なケースが存在するこということである。つまり、Aというイシューを解決しないと、Bというイシューが解決不可能なケースがある、Aイシューの答えの一つや、解決段階で得られるファクトが、Bイシューの解決における重要な要素となるケースが往々にある。

2つ目は、マーケット環境や組織状況などのその他変数を鑑みた時に、そのタイミングでしか解決できないイシューが存在するからである。コロナでマーケットが変化したからこそ解決できる可能性が生まれたり、マーケット変化によって施策を実行できる状態になるイシューなども存在するが、何より重要なのは組織状態の変数である。ありがちなのは、最高の戦略を決めたと自分たちの組織状態や組織レベルを度外視したまま、イシュー順序を決めることで解決可能性を自ら下げることである。過去の反省の中で、もっとも多いのはこの組織状態を加味しないイシュー選定(戦略策定)である。

だからこそ、イシューを選択した後に、イシューの順序は本当にこれで良いか?イシュー同士の関連性はないか、マーケットや組織状況を鑑みたときにこのタイミングで取り組むべきか?という問いと向き合う必要がある。

良いイシュー見極めの因数分解

良いイシューを見極める上で重要な因数分解が、インパクト×対象の広さ×解決可能性=価値貢献の期待値である。なお、インパクトや対象の広さは、現状の点ではなく、未来の時間軸の変化も見越した上で、線で捉えて見極める必要がある。現状は小さなインパクトだが、将来にわたって重要性が変化するものもある。

そして何より忘れてはいけないのは、インパクトや対象が大きいイシューでも解決可能性が低ければ、解決されないまま時間だけがすぎていくことになるということである。インパクトや対象が小さいイシューに向き合っていても大きな価値や非連続な成長は生まれない。つまり、ここにセンスが問われる。組織状態やモメンタム、マーケット状況などを見極め、ここぞというときにインパクトが大きくて、解決可能性が低いイシューに向き合う。上記のバランスをどう見極め、どのイシューから向き合うかは、会社のカルチャーや、どのような成長曲線を描きたいかに依存する。ただ、常にイシューに対しては、価値貢献の期待値を因数分解して、見極める必要がある。

良いイシューは深部に存在する

良いイシューは、深部に存在する。つまり、表面的なイシューではなく、向き合うことで、得たい結果の根本的な因子となっている本質的な課題を解決することができるのが、良いイシューである。イシューは、whyで繋がっているので、理論上はどれだけでも因数分解することができる。分解できるからこそ、表面的なイシューではなく、深層部にある本質的なイシューを解決することが、事業を大きく前に進める。イシュー選定するときに、正しく分解できているのか、それぞれのイシューは最上位概念ではどのような事業成長要素に紐づいているのかは、常に具体と抽象を行き来した上で、取り組むべき順序を見極める必要がある。ルートコーズ分析などが有用である。


最後に

イシューと向き合うことは、フォーカスするべき要素を見極めることでもある。戦略とは何かを捨てて、何かにフォーカスすることであり、そのフォーカスするイシューの選定こそ戦略決定における醍醐味である。だからこそ、イシュー選定こそ事業成長の肝であり、経営者や事業責任者は向き合うイシュー選定に魂を込めないといけない。スタートアップは、スピードが命である。スピードが命であるからこそ、イシュー選定を投げやりなスピード感で決めてはいけない。早いように見えて圧倒的な遠回りになることを肝に銘じ続けないといけない。


自分自身で思考しながら、取り組んできた内容を簡単に抽象化してまとめました。何度も参考にさせていただいている「イシューから始めよ」がどちらかというと、分析のためのイシューについて書かれた本だったので、より事業よりに、そしてスタートアップよりに、少しでも日々事業に向き合う方々にとって価値あるコンテンツになると嬉しいなと思い、noteに書きました。

本当は書きたいコンテンツがたくさんあり、1週間に1本は書きたいと思いますので、面白いと思ったらぜひTwitterでシェアお願いします!(もしシェアが多ければ、頑張って来週は近いテーマでもう1本書きたいと思います!!)

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Daisuke Ueki
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