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言語化できなかったこと#5

2020年6月19日

前回は「直感」による意思決定について考えてみましたが、今回は「思想」に近づくために、「イデオロギー」(社会思想)について考えてみます。

吉本隆明いわく、
「イデオロギー」=「思想」×「集団」であるらしい。有り体に言えば、同じような考え方を持った人たちの考えと言える。

afterコロナ(withコロナ)を考えることは、「思想」に近づくことになるのですが、ひとまず、最近読んだセルジュ・ラトゥーシュ著の「〈脱成長〉は、世界を変えられるか?」について考えてみる。
と言っても、本書の中身に触れたいわけでもなく、「思想」を持つ、それを考える癖をつけるには、どうしたらいいんだろうという問いに対するヒントを得たいわけだ。

従って、この著者が本書で掲げるコンセプト「脱成長」を思い付いた過程が分かれば良いわけです。
これまで、いや、今も、企業や世間は、資本主義=経済成長が錦の御旗となり、第一優先に考えられています。何でもかんでも成長です。
確かに、経営者に対して、成長しなくてもいいよ、来期はマイナス予算でOKとか、社員や子供に対して成長しなくても(頑張らなくても)いいよ、なんてなかなか言いづらいです。
まあ、多くの人は多少の違和感があっても、成長することが大切だよねと、うなづくはずです。

しかし、昔々は違っていたはずです。ずーっと昔。アリストテレスなどの哲学者が活躍していた時代は、きっと存在とか、認識って何ってことを考え、それを披露し、そう言ったことを考えることが良しとされていたはずだ。そう言った考えに基づき、社会も動いてきたはず。つまり、哲学が幅を利かせていたはずだ。

次に自然科学みたいなものが出てきて、航海するのに天文学が役立つとか、農業するのに気象学が役立つとかになり、哲学より自然科学だよね的な世界になったはず。だから、みんな、科学者のお話には真摯に耳を傾けていたと思います。科学者は大切なお話をしてくれるから、みんな、静かに聞こう的な。

そして、産業革命が起こり、いよいよ、資本主義の世界に。効率化、生産性、成長が大切。だから、先進国は植民地政策を進めたとか。土地(領土)での拡大が限界になってくると、金融というバーチャル上の世界を拡大するとか。
途中、資本主義ってヤバいよねってなり、マルクス主義も出てきたものの、資本主義の座には座れず。残念。。。しかし、当時はすごい画期的だったのでしょう。そんなこんなもあり、今は資本家、有り体に言えば、社長の話には耳を傾ける世界に。彼が自然科学的に間違っていたことを言っていても問題なしの世界が実現されてしまいました。

現在の兆候としては、資本主義であり、かつ、IT技術至上主義だと思います。なぜなら、IT系技術は生産性を著しく向上させることができるから。
個人的には遺伝子工学といった自然科学に頑張って欲しいが、そんな時代でないのかもしれない。

さてさて、話は長くなりましたが、この著者はどのようにして、脱成長を思い付いたのだろうか。

確かに今も資本主義って、なんかおかしいよね?って思うわけだが、それに変わる主義を考えようとはあんまり思いません。

以前から「足るを知る」は自分の中での1つのキーワードですが、思想かな?まあ、思想なんかな。

きっと著者の問題意識として、

資本主義による大きな格差が生じている
環境がもたない(資源は有限である)

があり、そこから直感か、何かで、脱成長というコンセプトを創り上げたのだろう。

その具体策と掲げてある8つの再生プログラムや10個の政策案もあるが、確かにと思うところもあるが、疑問に思うこともあります。
まあ、それはさておき。
「思想」を持つ、「直感」を「思想」に昇華させるには、以下のようなことに気をつけたらいいのではないかと思います。

①問題意識を持つ

・意識を常に傾ける、普段から気に留める
・無意識から生まれる意識を大切にする
・対象を好きになる、愛する

②現状の構造(メカニズム)を把握する

・脱構造主義
・幽体離脱してぼんやりと外から俯瞰する

③直感を産む?

・内なる声に真摯に耳を傾ける
・違和感を大切にする、深掘りする、メモる
・自然と一体化する(危ない人?)

④表出化させる(まわりと共有化する)

・野中郁次郎先生の教え
・温める、殺さない、殺させない
・言語や絵で概念化する
・行ったり来たりする

⑤思想にする。仲間を集う?

・思想と呼ぶなら、論理的な裏付けが大切
・過去研究

プロセスを書いてみると、問題意識って大切だよなという身も蓋もないお話になってしまいました。また、様々な分野における知見も大切だと思います。アートの世界でもそうですが、新しいコンセプトを生み出している芸術家は基本物知りで研究家です。思い付きなようでそうではありません。

今回、ご紹介した書籍もそうですが、この手の本は、とにかく引用も多いように思います。それだけ、著者が物知りということを意味します。

ベースがなければ思考もできないのかというお話です(笑)

こんな感じでまとめてしまうのが、自分の悪い癖なんだろう。これはひとまず、置いておくとして、さらに「思考」することについて深めてみます。

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