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Uriah Heep / Look at Yourself

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Look at Yourself / 1971

2004年7月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

ユーライア・ヒープ、実に妙なバンド名だ。

1970年の秋頃、当時私が愛読していた音楽雑誌にユーライア・ヒープのデビューアルバムの広告が掲載されていた。

まず、そのおどろおどろしいホラー映画のようなジャケットに驚いた。

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そして当時中学3年生だった私は、「ユーライア・ヒープ」は文字校正ミスで、本当のバンド名は「ユーライア・チープ」だと思い込んでいた。

バンド名の由来:
ブロンズ・レコードの社長兼ユーライア・ヒープのマネージャー、ジェリー・ブロンの提案によるもので、1970年はチャールズ・ディケンズ没後100周年でイギリス国内がディケンズ・ブームだったため、この名前が目に留まったという(「ユーライア・ヒープ」は、ディケンズの小説『デイヴィッド・コパフィールド』の登場人物)

そしてユーライア・ヒープは私の記憶から次第に消えていった。

それから約1年後、突然ユーライア・ヒープの曲がラジオのヒットチャートを賑わすようになった。その曲はユーライア・ヒープ三作目のアルバムのタイトル曲であり、アルバムの冒頭を飾る《Look at Yourself / 対自核》。

当時、絶大な人気を誇ったギタリスト、成毛滋はユーライア・ヒープのサウンドについて、以下のように述べていた。

「ディープ・ パープルとヴァニラ・ファッジを足して割り、ブリティッシュ風に仕上げてたもの」

ヴァニラ・ファッジのサウンドをご存知なら、これほど的確で分かり易い説明はない。

ユーライア・ヒープのサウンドの特徴を形成するのは、ロック風の派手なギターではなく、ケン・ヘンズ レーのキーボードとデビット・バイロンのヴォーカルとコーラスによるものだ。

バンドのギタリストはそれ程腕が立たず(失礼)、またバンド編成に於けるギタリストの役割が、一時的ではあるが、少しばかり低下していた時代だったのも関係しているように思ええる。

時代はハー ド・ロックもそろそろ最終章に突入しようとしていた頃で、バンド編成ではギターだけではなく、キーボードも多用されるようになっていた。これは多分プログレッシブ・ロックの隆盛も影響していたのだろう。当時はEL&Pのキース・エマーソンやイエスのリック・ウェイクマンが脚光を浴びていた。

またサウンドに厚みを持たせるため、コーラスを多用したのもユーライア・ヒープの特徴の一つ。

ユーライア・ヒープは、ディープ・パープルやブラック・サバスと並んで、ヘビーメタルの教科書となる。しかしその後は凡百のメタルバンドと同じように、悪魔や魔女が登場するつまらんバンドに堕落した、と個人的には思う。

ところでこのアルバムの邦題『Look at Yourself / 対自核』(たいじかく)はピンク・フロイドの『Atom Heart Mother / 原子心母』(げんししんぼ)と並ぶ名邦題ではないだろうか。

また当時のレコード・シャケットでは、中央の正方形部分が切り取られ、中面にアルミ製の鏡らしきものが貼り付けられた、自分自身を見つめられる、”Look at Myself” 仕様だった。

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