Free / Fire and Water
2004年5月30日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
フリーは元祖・正統派ブリティッシュロックバンドだ。
R&B系から発展したブリテッシュ・ロックの一群の中でも、一番オーソドックスにそれを自分のものにしたのが、フリーだと思う。タイトでシンプルながら十分に重みを備えたサウンドはベテランの域ともいえるが、このアルバムを制作した当時、メンバーは二十歳そこそこだったのだから驚く。
サム・クックやオーティ ス・レディングから影響を受けたポール・ロジャースのソウルっぽいヴォーカル、ポール・コゾフの見事なギター・カッティング、自在にリズムを刻むアン ディー・フレーザーのベース、そして引き締まって、どっしりとしたサイモン・カークのドラム。
このアルバムから聴こえてくるのは、派手でノリノリのロックではなく、ある種の静謐感さえ漂うサウンド。
ツボを押さえたリズム感と絶妙な “間” の取り方が素晴らしい。余白部分を表現として見事に使った構成とでも言うべきか。
また「ロックは技や手数じゃねぇんだよ~!」とでも言っているようなシンプルな曲が多く、絵に例えると、色数を抑えた作品とも言える。
スタジオでの録音技術が発達しても、無暗にサウンドエフェクトを加えたり、テクに頼らない姿勢も良し。
このアルバムに収められている《All Right Now》は全英チャートNo.1に登りつめ、フリーの人気を決定づける。この曲以外も佳曲ぞろいで、捨て曲は一切ナシ。見事な完成度を誇るアルバムだ。
ノリのいい名曲《All Right Now》は正座して拝聴すべし。
しかし成功の直後、フリーは1971年に突然解散する。その後73年には山内テツ(bass)が加入し、新生フリーとして再スタートする。だがそれも長続きせず、ポール・ロジャースとサイモン・カークはバッド・カンパニーを結成するに到る。
And More...
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