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Clifford Brown / Study In Brown

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Study In Brown / 1955

2004年8月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

それは早死の伝統なのだろうか? なぜかトランペッターの早死が続く。

ファッツ・ナバロは麻薬中毒と結核で、クリフォード・ブラウンは自動車事故で、ブッカー・リトルは尿毒症の合併症で、そしてリー・モーガンにいたっては愛人に射殺された。

クリフォード・ブラウンは、まるで完璧とも思えるテクニックを駆使してトランペットを吹く。そこから生まれるメロディアスでノリのいい演奏は最良のハード・バップ・サウン ドの一つだ。

なによりも音がスラスラ澱みなく流れ出てくるのが凄い。それはまるで難しいカーブを見事に曲がりきる高性能のスポーツカーのようだ。クリフォード・ブラウンの演奏には歌心があると言われるのは、この辺りのブレーキング、ハンドリング、そして加速の見事さからかもしれない。

そんな彼が自動車事故 で命を落とすのは皮肉だ。

1956年6月26日の早朝、クリフォード・ブラウンが乗っていた車は雨上がりのペンシルベニアで土手に激突する。乗っていたのはクリフォード・ブラウン、同じバンドのピアニスト、リッチー・パウエルとその夫人の三人。この事故では全員が死亡した。運転していたのはパウエル夫人。もしクリフォード・ブラウンが運転していたら、トランペットの様に見事なハンドル捌きで事故を回避していたかもしれない。

さてクリフォード・ブラウンは多くのアルバムを残すことは出来なかったが、数少ない残されたアルバムはいずれもが素晴らしい出来だ。一番好きなアルバムを選ぶのはなかなか難しいが、最終的には『Study In Brown』か『Clifford Brown & Max Roach』の二枚に絞り込まれる。

今回あえて渋いブラウン・カラーの『Study In Brown』を選んだのはタイトルが洒落てるから。これはシャーロック・ホームズの生みの親、コナン・ドイルの長編小説『A Study In Scarlet / 緋色の研究』のパロディだろうか?

And More...

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Clifford Brown & Max Roach
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The Best Of Max Roach And Clifford Brown In Concert
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Clifford Brown Memorial Album

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