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Malo / Malo

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Malo / 1972

2011年5月12日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

70年代のラテン・ロック黄金期を体感できる熱~い1枚。

Maloの意味はスペイン語で「悪」。“ワル”みたいなバンド名だ。しかし、このバンドのラテン・ロックはノリノリで、全然「悪」くない。

マロはカルロス・サンタナの実弟、ホルヘ・サンタナが参加しているバンドとして、サンタナの弟分的のように紹介されていたが、サンタナとはかなり異なったタイプのバンドだ。

サンタナは最初、サンタナ・ブルース・バンドとして活躍を始めた。バンド名に “ブルース” が入っているだけに、サンタナはブルース・ロック的なものにラテン色を加えて、音作りを始めたようだ。

マロにはサンタナのようなブルース色はないし、“泣きのギター” もない。

しかしマロにはサンタナにはないストリート感溢れる熱いラテン・リズムがある。分厚いブラス・サウンドにサポートされた、生々しくうねるようなグルーヴ感と、時には糖質過多の甘過ぎるメロディ・ラインがマロの売りだ。

またソウルフルなアルセリオ・ガルシアJr.のヴォーカルも、サンタナにはない魅力の一つ。

70年代にウェスト・コーストから生まれたラテン・ロックは、サンフランシスコのフィルモア・ウェストから発信されたロックとメキシコから移住してきたチカノス系コミュニティの音楽的ルーツとが混ざり合い、生まれるべくして生まれてきたタイプの音楽だと思う。

90年代のチカーノラップの源流の一つして聴いてみるのも面白い。

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