Diana Krall / Live In Paris
2004年8月30日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================
ライブ盤が好きだ。
スタジオ録音盤では味わえない独特の雰囲気とノリがあるからだ。
しかし残念ながらライブ盤には宿命的な問題が付いて回る。それは録音のレベル。スタジオ録音盤と比べると、どうしても音質が劣ってしまう。
さて、ダイアナ・クラールの『Live In Paris / ライブ・イン・パリ』。このアルバムは例外的と言えるほど録音状態が良い。音楽とそれを取り巻くライブ会場の空気感が見事に捉えられているのだから、好きにならない訳がない。
バンドの基本ユニットは、オーケストラが加わっている曲が二曲あるが、ダイアナ・クラール(ヴォーカル・ピアノ)にギター、ベース、ドラムのカルテット編成。ダイアナのハスキーでシルキーな歌声だけではなく、彼女のピアノや他のメンバーのさりげないアドリブも充分楽しめる。
ライブで歌われている曲は《Let's Fall in Love》《The Look of Love》《East of the Sun (and West of the Moon)》《I've Got You Under My Skin》《'S Wonderful》《Fly Me to the Moon》など、スタンダート・ナンバーを中心に合計11曲。ダイアナ・クラールの選曲センスの良さが光る。また控え目ではあるが、ツボを押さえたバックバンドのサポートも素晴らしい。
中でもオーケストラをバックに、スローテンポでしっとり歌い上げるコール・ポーター作の《I've Got You Under My Skin / あなたはしっかり私のもの》は絶品で、こんな曲を聴かされると、「You've Got Me Under Your Skin / 私はしっかりあなたのもの」と言わざるを得ない。
最後の曲はダイアナ・クラールと同じくカナダ出身のジョニ・ミッチェルの名曲《A Case of You》。自分で弾くピアノだけをバックに、まるで語り掛けるように切々と歌い上げる。
ここでライブ盤は終わるはずなのだが、どういう訳か、最後にスタジオで収録されたビリー・ジョエルの《Just the Way You Are》がオマケ(?)として収められている。この曲でダイアナ・クラールは珍しくフェンダー・ローズ(エレクトリック・ピアノ)を弾いている。オマケとしてはあまりにも贅沢すぎる一曲だ。これはメインディッシュ後のデザートなのだろうか?
ダイアナ・クラール。名前だけで”くら~っ”とくるが、こんなアルバムを聴くと、更に”くら~っ”とくる。
こんなつまらないギャグが出るほど、このアルバムでのダイアナ・クラールの ”くら~っ”度指数は高い。
And More...
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