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日焼け止めをわざわざ振らなくてはいけない理由

<動画の目次>
0:43 なぜ振らなきゃいけないのか
1:40 シャカシャカタイプの配合成分の特徴
4:11 何が分離しているのか
4:48 金属ボールが入っているパターン
5:31 何回振らないといけないか
7:23 毎日使うのに振る必要ある
11:08 お酒タイム
12:14 エンディング



みなさんは振るタイプの日焼け止めを使っていますか?
そして、毎回ボトルを振っていますか?

今回は、振るタイプの日焼け止めについて徹底解説していきます!


なぜ日焼け止めを振るの?

日焼け止めを毎日振ってはいるものの、何のために振っているか考えたことはありますか?

そうですね、中身を均一にするために振ります

ボトル以外にはチューブタイプやポンプタイプの日焼け止めが存在しますが、それらは振る必要なくそのまま使えるものばかりです。

ではなぜボトルタイプの日焼け止めのみシャカシャカと振らなければならないのでしょうか?

それは、内容物の粘度が低いからです。
シャバシャバな粘度の日焼け止めは中身が不均一になっているから振らなければならないのです。

ここまでは容易に想像がつく話ですよね。

なぜ不均一になるか?
なにがどう分離してしまっているのか?

ここからは、これらの話を解説していきます。

シャカシャカと振るタイプの日焼け止めの基本的な構成成分はいくつかあります。

<① 揮発性オイル>

肌に塗り広げる際にのばしやすくするための成分として油分が配合されます。
ただ、これは揮発成分でないと、肌に塗ったあとオイルがずっとビチャビチャと肌の上に残り、よれやすくなってしまいます。それを防ぐために、揮発性のオイルを配合して、塗り広げやすいけれども時間が経つと肌に密着するという処方設計になっているのです。

揮発性油分として、基本的にはシリコーン系のオイルが使われます。

中でも最もポピュラーな成分はシクロペンタシロキサンです。
最近なら、ジメチコンメチルトリメチコンという揮発性のシリコンを使う場合もあります。

<② 揮発しないオイル>

日焼け止めを肌に馴染ませて、揮発性オイルが飛んだ後に残る成分がありますよね。紫外線散乱剤などの日焼け止め成分がこれにあたりますが、これらだけが肌に残ってしまうと、肌が乾燥しているような感じを引き起こします。
それを防ぐために、揮発しない油分が配合されています。ほどよく肌に残る油分も大切なんです。

<③ 紫外線吸収剤>

紫外線吸収剤は、油溶性の成分・オイルのような成分なので、基本的には油側に入っています。水溶性の紫外線吸収剤も時々ありますが、基本的にはUV防御効果を示すほとんどの紫外線吸収剤は油側に存在します。

<④ 紫外線散乱剤>

酸化チタンや酸化亜鉛といわれるもので、粉末の成分です。
SPF50やPA++++などの強い防御効果を実現するには紫外線散乱剤をそれなりの量必要とします。

<⑤ 水/水溶性保湿剤>

他にも水や、BGやグリセリンといった水溶性の保湿成分も日焼け止めには入っています。

以上5つがシャカシャカ振るタイプの日焼け止めの大まかな構成成分となっています。

これらの中で、日焼け止めを振らなければならなくなる1番の成分は、紫外線散乱材です。粉の成分が沈降してしまうので、それを均一に分散させるために振る必要があるんです。
ですので、もし振らずに使うとなると、紫外線散乱材が底に溜まったまま、紫外線散乱剤がほとんど含まれていない上澄みを使うことになり、紫外線防御効果が非常に低くなってしまいます。

金属のボールが入っている理由

振って使うタイプの日焼け止めにも2種類あります。
振るとカシャカシャと音が鳴る金属ボールが入っているものと、入っていないもの。

この2種類の違いは何でしょうか?

球(=金属のボール)が入っていないタイプは、球がなくても中身が容易に混ざる性質のものです。

一方、球が入っているタイプは、成分が沈降しやすい処方となっており、底に溜まった紫外線散乱剤を分散させるために球が入れてあるんです。

日焼け止めを振る回数

振るタイプの日焼け止めですが、いったい何回振るのが正解なのか考えたことはありますか?

<金属のボールが入っていないタイプ>

実は、そこまで一生懸命振る必要はありません。7〜8回で十分です。
このタイプは沈殿しやすいものではないので、振る回数少なめで大丈夫なんです。

<金属のボールが入っているタイプ>

一方、金属ボールが入っているタイプは注意が必要です。

特に、振り始めには音が鳴らず、何回も振った後にようやく音が鳴り始める日焼け止め。
これは、ボトルの中で沈降した粉成分に球が埋まってしまい、振っても動かない状態になっています。
このようなものは、10回振るくらいでは足りません。20回も30回も振る必要があります

カシャカシャと音が鳴り始めてから撹拌が始まるので、音が鳴り始めてから10回ほど追加するというのが目安です。

逆に、振り始めの1回目から音が鳴る場合は、10回ほど振れば大丈夫です。

日焼け止めは毎日振るべき?

振るタイプの日焼け止めですが、中身を均一にするためとはいえ、毎日振る必要はあるのでしょうか?

実は、毎日振らなければいけない、ということはありません

振る理由として、成分が沈降するからと説明しましたが、それは長い間同じ姿勢で保管された日焼け止めに該当することなんです。

久しぶりに使うときや購入後初めて使うときなど、使わずに置かれていた期間が長いものは、沈降している度合いが高いため、念入りに振ってあげる必要があります。

しばらく置いておいた後の初回はよく振らなければいけませんが、2回目以降、例えば前日も使ったパターンになると、紫外線散乱剤はそんなに沈降していないので、5、6回振れば十分です。
もちろんたくさん振るに越したことはないのですが、毎日何十回も振るのは疲れますからね…笑

まとめ(+補足)

振る場合:初回と、久々に使うとき

振る回数:金属ボール入りのものは、音が鳴ってから10回が目安。入っていないものは、7〜8回でもOK。

今回は日焼け止めに関して解説していますが、日焼け止めに限らず、ファンデーションにも同じようなことが当てはまります。

ファンデーションの場合、紫外線散乱剤に加えて、肌をカバーするための酸化チタンやベージュ色を出すための酸化鉄なども含まれていて、これらが沈降するので振る必要が出てきます。
ファンデーションの振り方も日焼け止めと同じように考えてあげれば大丈夫ですよ。

また、なぜわざわざ振る手間が必要なシャバシャバな日焼け止めが存在するか?という疑問ですが、これは、伸び広げやすいからというのが最大の理由です。
クリーム状にしてしまうと、振る手間はなくなるものの、使用感が少し重くなってしまったり、塗り広げにくくなるというデメリットがついてきます。
手間と使用感を天秤にかけた結果、ユーザーに振ってもらうことを選んだのがこれらの商品になっているんです。


今回は、振るタイプの日焼け止めを振るべき理由や回数について解説しました。

今後も日焼け止めやメイクについてたくさん解説していく予定なので、YouTubeもぜひチェックしてみてください!

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