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【日焼け止めの塗り直しは2時間おきにすべきじゃない】現役の化粧品開発者が解説

みなさんこんにちは、こんばんは。
現役の化粧品開発者 みついだいすけです。

みなさん、日焼け止めの塗り直しって普段していますか?
している方、していない方、半々くらいでしょうか。
製品のパッケージやホームページに「2~3時間おきに塗り直してください」と書いてあったりしますし、一般的にも「2~3時間おきにこまめに塗り直しましょう」と言われていたりもしますよね。
果たしてこの「2~3時間おきに塗り直す」という意味、そして本当にそこまでする必要があるのかについて、解説します。

今回のテーマは「日焼け止めを2時間おきに塗り直さなくていい理由」です。


日焼け止めの塗り直しが2時間おきと言われている理由

まず、商品メーカーさんが「2~3時間おき」という風に言っているのは、なぜなのでしょうか。

あくまで私の推測になってしまうのですが、おそらく、日焼け止めを使うユーザーの中で一番過酷な状況で使う人が日焼けしないために、保険として追加している文言なのではないかと思います。

メーカーさんの「紫外線ダメージによる被害を防ごう」というスタンスは、とても理解できます。

ただ、現実問題としてそれが本当に可能なのか、それが肌に対してどうなのかと言うことに対しては、すごく疑問が残ります。

2時間おきに塗り直すことへの弊害

2~3時間おきに塗り直してくださいと言われていますが、例えば朝の9時から夕方5時まで出かけるとすると、紫外線を受ける時間は8時間ですね。
この間、2時間おきに塗り直すと、合計4回も日焼け止めを塗り直すことになりますね。
顔面への塗布量はだいたい1回あたり0.8gと言われているので、4回塗るということは1日で3.2g使うことになります。

1日あたり3.2gで1本の日焼け止めを何日で使い切るかを考えてみると、仮に1本60gだとすると、1本を18日くらいで使い切る計算になります。

これをさらに年間で計算してみると、365日÷18で20本、年間20本になります。
これは結構多いのではないかなと思います。

こんな感じで2時間おきに塗り重ねていたら、肌への負担も塗る手間もすごいですし、そしてコスパも非常に悪いですね。

体も塗り直すととんでもない使用量になる

この年間20本という数字は「顔だけで」です。
顔だけでなく体にも塗る人がほとんどだと思うので、使用量としては3倍くらいになりますよね。

さっきの計算を3倍にしてみると1日当たり9.6gになるので、1本60gの製品だと6. 25日間で使い切ります。

1週間足らずで1本使い切ってしまうんです。現実的ではないですね。

年間使用量とコスト

さらに年間使用量で計算してみると、365÷6. 25で58. 458本になります。
ドラッグストアで売っているような価格帯のの1本1500円の日焼け止めだとしても、年間87,000円のコストになります。

私から言わせてもらうと、そんなに塗り直す必要は無い!です

時間じゃない!塗り直すべき理由

塗り直す頻度が「2~3時間おき」でなくていいかを解説していきます。

そもそもなぜ塗り直さなくてはいけないか、というところに立ち返ると、効果が落ちてしまうからです。

ただ、効果が落ちてしまうシチュエーションとはどんな時なのかということを理解していれば、時間で区切られるものではないなと分かって頂けると思います。

日焼け止めの効果が落ちる4つのシチュエーション

①汗や水で濡れた時

海やプールで濡れたり、たくさん汗をかいたときには、日焼け止めは落ちてしまいます。
耐水性が高くない日焼けではもちろんのこと、耐水性の高い日焼け止めでも全く落ちないということはないので、そういったシチュエーションの時には、塗り直す必要があります。

②何かに触れた時

服で擦れたり、腕や顔などを触った時にも日焼け止めは落ちてしまいます。
そういった時には効果が落ちてしまうので、塗り直す必要があります。

③動いて日焼け止めがヨレた時

日焼け止めは塗った時に膜ができるので、笑った時や眉間にしわを寄せたりしたときなど、動くことでこの膜がヨレてしまいます。
体も同じで、手の関節や節などに日焼け止めは溜まりやすいですよね。
ヨレたり溜まるということは、他の部分の日焼け止めの塗布膜が薄くなっているということなので、日焼け止めの効果が落ちる要因の一つです。

④紫外線吸収剤が光分解して効果が落ちた時

これについては、実はほとんど気にしなくて大丈夫です
なぜかというと、現在日本で売られているような日焼け止めで、紫外線でどんどん分解していくような紫外線吸収剤を使っているような製品は少ないからです。

ごくまれにそういった製品もありますが、ある成分だけ気を付けていればそこまで気にしなくて大丈夫です。
その成分は、T‐ブチルメトキシジベンゾイルメタン(通称:アボベンゾン)と呼ばれている紫外線吸収剤なのですが、紫外線が当たると分解しやすい成分なので注意が必要です。

厳密に言えば他の成分も紫外線によって分解しやすいのですが、分解しないための処方技術が搭載されているので、ほとんど気にしなくて大丈夫です。

実生活での塗り直す場面

①汗や水で落ちるということだけ気を付けて頂ければ、ほぼ大丈夫かなと思います。

②何かに触れた時とか③の動いて日焼け止めがヨレた時も、もちろん日焼け止めの効果は落ちてしまうのですが、効果が激減するレベルになることはなかなか無いです。

日焼け止めを塗り直すタイミングは時間ではなく、水に濡れたり汗をかいた時です。

朝出勤の前に塗ったとして、午前中にちょっと汗をかいた時に効果が少し落ちているので、お昼休みに外に出るのであれば塗り直す、それくらいでいいと思います。
全然汗をかいていなかったり、お昼休みに外に出ないのであれば、塗り直す必要はそんなに無いです。

1日に塗り直す回数というのは、実はオフィス勤務の方にとっては1回で済むかもしれませんし、シチュエーションによっては2回3回塗り直す必要がある方もいると思います。
いずれにせよ、汗をかく場面というところを意識して、塗り直しをして頂きたいです。

最も過酷なシチュエーションで使うべき日焼け止め

海やプールではかなり過酷な条件になるのですが、オイルベースの日焼け止めを使えば塗り直す必要はあまりないです。


もしジェルタイプの日焼け止めを使っていたら、水にぬれるたびに塗り直す必要があるので、注意していただきたいです。

そして日焼け止めに対して最も過酷なシチュエーションというのが、1つあります。
それが夏フェスです。

夏フェスほど日焼け止めにとって過酷な状況は、この世に存在しないと思っています。

汗だくで日光を浴び続けたり、会場で人と肌が触れたり擦れたり、タオルで汗を拭ったり、人の腕が顔に当たったりもしますよね。
こんな過酷な条件、他にないと思います。

このように過酷な条件の夏フェスでも、海やプールと同じようにオイルベースの日焼け止めを使えば、少なくとも汗に対する耐水性は非常に高いです。
オイルベースの日焼け止めを使った上で、何かに触れた時やタオルで汗を拭ったときに塗り直すということを意識して頂ければ良いんじゃないかなと思います。

まとめ

日焼け止めはなぜ塗り直さなくてはいけないか理由を理解していれば、2時間おきに塗り直す必要なんてないのです。
日焼け止めを塗り直すタイミングは時間ではなく、水に濡れたり汗をかいた時です。
ぜひこのタイミングを意識して、夏のアクティビティを楽しんでくださいね。

このブログの内容は、YouTube動画でもご覧いただくことができます。
また、他の動画で、生活スタイルやレジャーに応じた日焼け止めの選び方や、日焼け止めの効果的な塗り方、日焼け止めに配合されている紫外線散乱材の1つ「酸化亜鉛」等についても詳しく解説しています。
紫外線や紫外線対策、日焼け止めについての知識をまるっと得ることができるので、
気になった方はそちらもあわせてご覧ください。
 
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