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木本大介の二流のプロフェッショナル「XPAND株式会社代表取締役CXO 南木徹さん」

サマリ

【媒体】

【トークテーマ】

  • 南木さんを紐解く

  • 就職後、デザインを求めて独立

  • 10月にイベントを主催!

  • XPANDコードって何?

  • アートとビジネスの違い

  • エンディング

概要

5人目のゲストは、XPAND株式会社代表取締役CXOの南木徹さん
前回のゲスト「浅野卓さん」からの紹介だ。

南木さんの肩書は「CXO」。
「CXO」の「X」は、XPANDコードの「X」だそうだ。
こんなところにも南木さんのこだわりが顔を見せる。

アートxデザインxテクノロジーの世界を旅した南木さんの生き様を暴いていく。

トークテーマ

南木さんを紐解く

南木さんは、子供の頃からアートxデザインxテクノロジーに関心があったそうだ。

そのきっかけはロボットアニメの名作「マジンガーシリーズ」。
物心がついた頃にひと目見て「こんなものをデザイン・開発したい」と思ったとか。

僕のロボットアニメ人生は「ガンダム」から始まったが、僕はそんな気持ちにならなかった。
早くも南木さんの人となりが分かるエピソードだ。

小学生の頃の得意科目は図工。
わかりやすいアウトプットが出るところが好きだったらしい。

いわゆるテクノロジーとの出会いは、中学生になってから。
工業高校に努めていた父親のきっかけで、当時高価だったPC(MZシリーズ(SHARP))を入手して、ゲームを作っていた。

大学生になって、法学部を選択。
新らしもの好きの南木さんの心には、当時の新領域だった知的財産法に惹かれていったとか。

それでも、デザインの世界に強く惹かれた南木さんは、大学に通う傍ら、デザインの勉強を進めていく。
法律とデザインの同時履修をする人がいるなんて想像がつかない。

そんな南木さんは自分を評して、「ずっと同じことをやているのは許せない。新しいものが好き。」と語ってくれた。

就職後、デザインを求めて独立

とはいえ、デザイン実務のことが分からない南木さんは、まず社会人経験を積むために企業に就職する。

3年目を迎えたところで、二部大学の建築学科で意匠系の講座を受講する。
御本人は「たまたま」と受け流すものの、自分の置かれた環境に関わらず、関心領域へのアクセスを欠かさない生き様は、なかなか真似できるものではないだろう。

10月にイベントを主催!

話は少し変わるが、南木さんは、この番組の配信直後にイベントを主催する。

イベント概要

  • イベント名:Digital Arts and Creatives Festa Ginza

  • 開催日時:2023年10月7日(土)~2023年10月8日(日) 11:00-20:00

  • 開催場所:キラリトギンザ(2F)

  • イベント概要

    • XPANDコードのユースケースの1つであるNFTアート(公募)のリアル展示

    • Web3 x NFTの領域のクリエイタが集まる。

    • XPANDコードのプロダクトも展示予定

  • イベントページ

  • チケット購入ページ

NFTアートとは?

「NFTアート」の対義語を言うならば「リアルアート」となるだろう。
では、「NFTアート」とはいったい何なのか?

南木さんの言葉を借りると、「NFTアート」と言うと、次の2種類のものを指すらしい。

  • 資金調達のプロジェクト

  • デジタル化により流通促進を狙った作品

今回のイベントでは、このうち「デジタル化により流通促進を狙った作品」が展示される。

僕もNFTはそこまで深くはまっていないが、デジタルアートには興味がある。
きっと、NFTというテクノロジーとデジタルアートが融合した世界がそこに広がっているのだろう。
登壇の合間にその世界に浸ってみたいと思う。

XPANDコードって何?

XPANDコード。
南木さんと知り合うまで聞いたことがない名前だった。

には、次のように紹介されている。

空間やモノと情報をつなぐ。それが超非接触空間リンク「XPANDコード」。

【出典】XPANDコード公式サイト

「空間」や「モノ」は、物理オブジェクト(いわゆる有体物)を指しているのだろう。
そして「情報」はいわずとしれた仮想オブジェクト(いわゆる無体物)だ。

物理オブジェクトと仮想オブジェクトをリンクするもの。
それが「XPANDコード」ということになる。

この定義だけで終えれば「QRコード」と何が違うのだろう?
そこに「XPANDコード」の提供価値があるはずだ。

XPANDコードの開発秘話

この問いに対して、南木さんは、XPANDコードの開発秘話を丁寧に説明してくれた。

歴史を紐解くと、鉄道会社との連携からXPANDコードが産声を上げる。
「駅の案内板にXPANDコードを表示する」というプロジェクトが始まりだ。

ちょうど東京オリンピックの誘致が決まった頃。
「スマホにありとあらゆるものを繋げる」という潮流が生まれ始めていた。

鉄道会社の方から「東京オリンピックで訪れるであろうたくさんの外国人のために、駅の案内板からスマホに誘導するサービスをしたい」と伝えられた。
勘の良い方はお気づきだろうが、当時、既に普及していたQRコードでも実現できそうなサービスだ。

しかし、QRコードでは解決できない問題があった。

そもそも、駅の案内板とは、多方向かつ多距離から不特定多数の人が同時に見るものだ。
したがって、駅の案内板には、どの方向からでも、どの距離からでも、見る人にとって見易い状態を形成することが要求仕様になるだろう。

「見易い状態」を僕なりに定義すると、人に対して「見る」という行為を促すものだと思う。
つまり、「見たくない」ものは、「見にくい状態」にある。

しかし、QRコードでこの要求仕様に応えようとすると、QRコードが「座布団みたいな大きさ」になってしまうらしい。
そんな巨大なQRコードは見た目にも美しくないし、表示領域に制限のある駅の案内板の大半を占有してしまうことは想像に難くない。

端的に言って「見たい」と思わないだろう。

この問題が「アートxデザインxテクノロジー」の融合カットによって浮き彫りになった。

つまり、XPANDコードとは、QRコードが抱える「美観性」と「利便性」のトレードオフ問題を両立させるものと言って良いだろう。

そんなXPANDコードを開発するXPANDコード株式会社は、6年目を迎えている。
紆余曲折を経て、社員を抱えずに、プロジェクトベースで事業を進めているそうだ。

経営者でもある南木さんは、誤解を恐れずに「経営は得意分野ではない」と添えた上で、「投資家からお金を預かっている以上、しっかりやらなければならない」という覚悟を語ってくれた。

XPANDコードの未来
XPANDコードには、QRコードと同様に、読み取った先にはいろんなアプリケーションが考えられる。

しかし、南木さんはアプリケーションにまで関与することは明確に否定した。

今は、「アート」というクリエイティブな領域が南木さんのターゲットになっている。
南木さんが子供の頃から浸っていた世界だ。

XPANDコードがアートとの親和性があるからか、南木さんがアートとの親和性があるからなのか。
この問いに結論を出すことに大きな意味はないかもしれないが、僕には、「なるべくしてなっている」と感じた。

こんなコメントを投げかけてみると、南木さんは「結局、自分で価値判断できる領域じゃないと駄目なんだと思う」と返してくれた。

言われてみると当たり前に感じるが、この「価値判断」という言葉には強い力が込められていたように思う。

価値判断の難しさは、知財もアートに劣らない。
この点を南木さんに聞いてみると「作る側は自分が「良い」と思ったものを作るしかない」と即答された。
僕には、この言葉が「創作者側のエゴ」を意味するものではなく、「難しく考えずに良いものを作ろう」というアーティストスピリットを表すものに感じた。

アートとビジネスの違い

アートとデザインの違いには議論の余地があるが、基本的には、投げたい球を投げるのがアートである。

南木さんのアートの定義はこれだ。

僕には、この表現で1つ気になったことがある。
「アート」と「デザイン」を区別された点だ。

そこに切り込んでみると、南木さんが僕にとって新い概念を投げ込んできた。

アートは表現自体が目的になっているもので、デザインは表現以外の目的になっているものである。

「表現」

この言葉にうなってしまったのだ。

目的軸で整理したときに、アートの目的を「表現」と置く。
すると、デザインの目的は「表現以外」になる。
このときのデザインは単なる「意匠」に留まらない(又は「意匠」の定義が単なる「外観」に留まらない)気がしてくる。

デザインの定義の新しい切り口を考えるきっかけになった。

むすび

最後に「XPANDコードをこれからどうしていきたいか?」を聞いてみた。

XPANDコードは、概念的にはQRコードと同様のシステムに置かれる。
しかし、南木さんのビジョンはQRコードのそれとは一線を画す。

物理空間と情報空間とが美しく繋がった世界。

これが、南木さんのビジョンだ。

最後までアートxデザインxテクノロジーの世界から球を投げられ続けた。
おそらく幼少期から眠っていた僕のアートxデザインのアンテナの再起動音が鳴った気がした。

次回予告

次回は、アートxデザインxテクノロジーの世界を南木さんにガイドしてもらう。

アートxデザインxテクノロジー

ひとつひとつはよく知る言葉だが、これら3つの領域の重なりは、大きな吸引力を持つ。

アートやデザインに無縁の方も、我こそはと思う方も必見の回になる。


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