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上司と部下が仕事でゲーム!?eスポーツ部創設で得られた驚くべき効果

株式会社大倉 代表取締役の木村です。大倉では2022年にeスポーツ部を立ち上げ、コミュニケーションツールとして活用を始めました。今年で創部2年目を迎えたところですが、導入当初に思い描いていた以上のメリットを得られています。

そもそもeスポーツは若い世代に人気のスポーツですが、大倉で働く社員の平均年齢は40代と高め。なぜそんな私たちがeスポーツを取り入れたのか、今回は導入した背景と実感している効果についてご紹介します。


「見えない壁を取り払える」eスポーツ導入の経緯

「eスポーツ」とは、コンピューターゲームやビデオゲーム、モバイルゲームを使ったスポーツ対戦競技のことです。大倉ではeスポーツ部の創設にあたり、各拠点に専用のパソコンを2台用意し、全社員が就業時間内の業務の一貫として取り組んでいます。

eスポーツを導入するきっかけとなったのは、知人の経営者が営むeスポーツルームの見学に行ったときのことでした。当日、私はゲーム好きな20代の若手社員と一緒に現地を訪れたのですが、その場で社員とチームを組み、シューティングゲームをすることになったのです。プレイ中はペアとのコミュニケーションが求められ、私たちは声を掛け合いながらゲームを進めていきました。

「社長、右側から敵が来てます!」
「左側から回るから、そっちから攻めてもらえる?」

eスポーツは初心者でもある程度プレイできるよう設計されており、初体験だった私でも、かなり楽しめました。また、ペアを組んだ社員とはそれまであまり会話をしたことがなかったのですが、ゲームが終わった頃には気軽にコミュニケーションが取れるようになっていたのです。

そして翌朝、社長室で仕事の準備をしていたところ、前日に一緒にゲームをした若手社員が笑顔で訪ねてきました。

「社長、昨日はどうもありがとうございました!eスポーツ体験がすごく楽しかったので、SNSで発信してもいいでしょうか?」

「もちろんいいよ」と答えたとき、ハッと気がつきました。以前、ほかの社員から「社長室に来るのはどうも緊張する」という話を耳にしていました。けれど、その若手社員からはそんな雰囲気は一切感じられず、むしろ足取りも軽く社長室に入ってきたように思えたのです。

「eスポーツのおかげで、見えない壁が取り払われた」

私にはそう感じられました。同時に思い浮かんだのは、事業所で働く社員たちの様子でした。社長室以外にも部門内で、あるいはチーム内のあちらこちらで、見えない壁があるように私には感じられました。そこで、「eスポーツを取り入れたら、社内のコミュニケーションが活性化できるのでは……!」と直感し、導入を決断したのです。

すぐさま「社内にeスポーツ部を作る」と宣言したところ、役員をはじめとした多くの社員は「なぜゲームを?」と抵抗感を示しました。しかし、そんな声にもめげずに導入してみたところ、以前の私と同じく、体験した社員みんなが「いざやってみたら楽しかった!」とポジティブな反応を見せてくれたのです。


ゲーム中だけでなく、普段のコミュニケーションが円滑に

eスポーツ導入後に私が感じた最大の効果は、想定通り、社員同士のコミュニケーションが活性化したことでした。

eスポーツ部では2人1組でチームを作り、全社員でトーナメント戦を行っています。基本的には同じ部門内のメンバーでチームを組むのですが、どれほどの効果が生まれるのかを確かめるため、とある実験をしたことがあります。それは、まだ親密な人間関係が築かれていない上司と部下をあえて同じチームにし、ゲームをプレイしてもらうことでした。

いざゲームが始まると、普段あまり会話をしない二人が、びっくりするほど多くのコミュニケーションを取っていました。そのうえ、相手チームに勝ったときには、最後にハイタッチをするほど、親密さが増していたのです。ゲームが終了するとみな業務に戻るのですが、その二人は打ち解けた雰囲気のまま、担当案件の相談を始めていました。また、ある事業所では、試合前に入念に作戦会議をするチームもあるようです(笑)

「eスポーツを通してコミュニケーションの総量が増え、社員同士がカジュアルに・円滑に対話できる環境が整いつつある」

そう実感していた私ですが、驚くことに、波及効果はこれだけに留まりませんでした。


予想だにしなかった、社内外への驚くべき波及効果

eスポーツを導入後、私自身もまったく予期していなかった効果が3つもありました。

一つ目は、「新たなことへの抵抗感を減らせた」ことです。

前回もお伝えしましたが、以前の大倉には「現状維持のムード」がはびこっていました。私は数多くの新規事業を立ち上げることで、強制的に「新しいことを立ち上げる楽しさ」を社員に体感してもらいましたが、eスポーツもその一助となったのです。

その後、大倉では新たにドローン事業を立ち上げましたが、その際は「面白そうですね!やりましょう!」と多くの社員が賛同してくれました。今や、新しいことへの挑戦ハードルが低くなっているなと微笑ましく感じています。


二つ目は、「求職者の応募が増えた」ことです。

採用媒体の担当者に聞いた話ですが、昨今の学生にとって、社名がすべて漢字表記の企業は、「雰囲気が古そう・固そう」という印象を持たれ、検討すらされないのだそうです。大倉はまさに「すべて漢字表記の企業」なわけですが、簡単に社名変更ができるわけでもありません。

そこで、少しでも会社の魅力が伝わるようにと、「社内にeスポーツ部あり」と掲載するようにしました。すると、「面白い会社」「柔軟な考えの会社」という印象を持っていただけたようで、求職者からの応募が以前と比べて急増したのです。これには当社の採用担当も舌を巻いていました。


三つ目は、「新しい出会いが生まれた」ことです。

eスポーツを導入した当時、大阪界隈の経営者の間で、「大倉がeスポーツを始めたらしい」と口コミが広がりました。すると、興味を持っていただいた多くの方から、「ぜひ一度お会いしたい」と連絡が来るようになったのです。おかげさまで新たな人脈が生まれたほか、今ではパートナー企業として提携させてもらっている経営者の方もいらっしゃいます。

社員向けに導入したeスポーツでしたが、まさか社内外にこんなにも効果が波及するとは、私自身も思ってもみないことでした。


eスポーツがもたらした、変化を恐れないマインド

正直なところ、eスポーツを導入する際、「就業時間内に取り組むか・就業時間外に取り組むか」について、ものすごく悩みました。けれど、社員全員に業務として取り組んでもらったことで、想像以上の効果が得られていると感じています。今となっては、「思い切って決断してよかったな」と、つくづく思います。

eスポーツの導入にあたり、新しいことへのマインドブロックが外された大倉。これからも挑戦姿勢を緩めず、変化を恐れず、着実に一歩ずつ歩みを続けていきます!


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