学校創っちゃった物語⑨‐真の意味での名医が立ち上げた順天堂大学。ドラマの仁が創った医学所のモデルの可能性あり。
テレビ番組で、仁、というのを観ていた。人気番組だったので、今さらストーリーを言っても仕方ないが。要は、現代の医師が幕末にタイムスリップして活躍するといった内容だ。
その中で、主人公が起こす医学教育機関兼病院が仁友堂という。もちろん、こういう名前の医学所は当時は存在していない。が、実は、そのモデルがどうやら順天堂大学のようだ。この順天堂は、当時でも最高の医療を施したと言われている。基礎を築いたのは佐藤泰然という人物だ。あの高野長英の弟子であり、江戸に出たのちに両国に塾を開いた。その後に、下総の佐倉藩主・堀田正睦に招聘され赴任し佐倉順天堂を開く。病院兼医学教育機関である。当時の高弟が書き残したものを見ても、順天堂では乳癌手術を行うなど、驚異的な術例を残した。この功績により、当初は町医者扱いであった佐藤泰然は、藩医に取り立てられた。その後は、養子の佐藤尚中に家督を譲る。で、この尚中が泰然に負けず劣らずに天賦の才に恵まれていたようであった。彼は東大に医学部の創設のおりには明治政府に出仕。さらに、1875年に東京に順天堂医院を開く。
ちなみに、仁、というドラマの原作となる漫画では、主人公の南方仁の分身的な存在は、現代に戻らずに幕末から明治に残り、東大に出仕し仁友堂を医学教育機関兼病院として発展させる。どうも、順天堂の佐藤泰然と養子の尚中、この二人の事績が南方仁に仮託されたような気がする。ちなみに、順天堂の学是は「仁」である。
その仁の精神をもって、同校は大学になり、医学部のほかにスポーツ健康科学部、国際教養学部などを設ける。多くのアスリートなども輩出。三浦百恵、友和夫妻の次男である俳優の三浦貴大氏なども卒業生だ。
一人の天才的な医師が創設、同じく俊敏な養子が創った順天堂大学。この天才的な能力は、何も医師としての能力だけではない。経営の才能だったり、教育者としての才能だったりする。
真の意味での名医が創った順天堂大学なのだ。
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