南河内林業視察 ~木を育てるとはどういうことか~
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南河内林業視察 ~木を育てるとはどういうことか~

出口庸平



「大阪の森」を見学

私自身、昨年から木材の仕事に携わっているものの木を伐る様子はいまだ見たことがありません。木材人といて、それではいかんぞ!ということで大阪で森林施業を行う南河内林業の仲谷さんに現場を見せてほしいとお願いし、早速お邪魔してきました。
大阪府河内長野市に本社のある南河内林業さんですが、今回伺ったのは平成30年の台風被害を受けた高槻市の現場。数週間前にもたくさん雨が降ったので、現場に続く道の先は当日も通行止めになっていました。このあたりは雨の被害を受けやすいエリアなんですね。

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被害の様子


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道をつくりながら作業を進める


施業の様子を生で見ることができて、「毎日手に取るあの子やこの子は、こんなところからやってきたのか」(実際大阪府産材は扱ってないので、あくまで雰囲気ですが……)と興奮しました。

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株式会社南河内林業 代表の仲谷さん。
現場で会う仲谷さんは威風堂々としていてかっこよかったです。


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地図にある黄色の星が今回の現場


大阪の森林率は30%。千葉県とともにワースト1位、日本の平均67%の半分以下の数字です。大阪に暮らすということは最も森と離れた生活をするということです。地図を確認すると大阪を「コ」の字で囲むようにうっすら森がありますね。少ないながらも確かにある森。そんな都市近郊の森林のあるべき姿とは。その可能性を模索し続ける南河内林業さん。現場を見て、お話をうかがった後、改めてHPにある企業理念を拝見すると「あ、ここに書かれている通りだ」と、ちょっと感動いたしました。

企業理念

南河内林業・企業理念:http://www.minamikawachi.co.jp/company.html


ちなみに、社員の皆さんは全員40代以下だそう。いやー皆さん若い。

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南河内林業の皆さん


「大阪の森」の特徴

大阪府産の木材と言われても、はじめは正直ピンときませんでした。しかし調べてみると大阪での林業の歴史は意外と古く、特に河内エリアは吉野の流れをくむ密植とこまめ間伐・択伐による集約施業が特徴だそう。

南河内材

こちらの写真は南河内林業さんのHPより拝借したもの。
年輪が緻密でほのかなピンク色が特徴の大阪府産材。


仲谷さんは「今回は大雨の被害を受けた倒木処理の現場ですが、次回はぜひ管理の行き届いた美しい南河内の森を見てください」と優しく誘ってくれました。自宅から数十分車を走らせるだけで美しい森を見られるなんて思ってもみませんでしたし、大阪に住むほとんどの人がその事実を知らないはず。身近なところに価値ある資源が眠っていることを教えてもらいました。



木を育てるというはどういうことか

今回木や森の話をたくさん聞かせていただきましたが、後から振り返るとそのうちの半分くらいは社員さんにまつわることだったように思います。「〇〇くんをどう育てようか」「△△さんが入社して雰囲気が変わった」「◆◆くんがみんなを引っ張ってくれている」など。とてもうれしそうにお話する仲谷さんの姿が印象的でした。社員に対する愛をじわじわ感じつつも、これはある意味林業の必然なのでは?という思いも湧いてきました。
木は5年、10年で商品にはなりません。数十年かけてやっと一人前、うん百年生の材だってあります。このじっくり育てなきゃお金にならないという特質上、技術をつなぐという視点がかかせません。木を育てるのがめちゃくちゃうまかったとしても、身に着けた優れた技術を誰にも伝えなければ意味がない。先人から受け継いだ技をまた次の世代につないでく。「木を育てる人を育てる」ことが林業で飯を食う大前提なんだと知りました。連綿とその営みが大阪の地でも続くことで私たちの暮らしが成り立っています。毎年どこかで豪雨災害が起きる世の中になり、その重要性は増すばかりです。


今回は私がお邪魔しましたが、次回は南河内林業の皆さんにウチの工場へ来ていただくことを約束しました。小さな町工場ですが木材が加工される様子を少しでも体感してもらえると思います。それに当社が拠点を構える平林地区には木にまつわる会社がたくさんあるので、皆さんにご無理を言ってぐるっとご案内できたらよいなと勝手ながら考えています。
ということで、次はぜひ平林にお越しくださいね。お待ちしています。


そして、大阪の森を、これからもよろしくお願いします。

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出口庸平
大阪で木材加工を営む大信製材株式会社の専務取締役。環境事業を手がけるアミタ株式会社にて営業、企画開発、人事の仕事を経験した後、2019年9月に妻の実家の家業である大信製材に籍を移す。木材を扱うのはもちろん初めてのこと。41歳のおっさんによる新たな挑戦を包み隠さず綴ります。