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僕が完全成果報酬のマーケティングコンサルをやめた理由

どうもこんにちは。デジタルマーケターの前大信です。久しぶりの投稿になります。今回は、タイトルの通り、僕が完全成果報酬のマーケティングコンサル(一部マーケティング代行を含む)をやめた理由について書いていこうと思います。

やめた、ということは、完全成果報酬の仕事を受けていた、ということです。僕自身、経営を続けていく中でお金に困ったことは何度もあります。30代の頃には支払いが遅延してしまい、担当者に電話越しに怒鳴られたことも・・。そんな経験から、少しでも小規模事業者の金銭的負担を減らしてあげたい、との思いから、完全成果報酬の仕事を受けるようになりました。

完全成果報酬の契約としてはこんな感じです。売上が上がるまではこちらから様々なマーケティングの施策の提案をし、時にはツールの設定作業やコピーライティングなどもしてあげます。そして、月末で締めて翌月10日までに証拠を付けて売上報告をしてもらい、そのうちの何%かを報酬として請求させてもらう、といった流れでした。

でも、実際にやってみると、想定していなかったことが次々と起こりました。これはきっと、今後成果報酬での仕事を受けたいと思っている人に参考になるのではないかと思い、成果報酬がうまくいかなかったケースについて話したいと思います。ちなみに、完全成果報酬は簡単に契約が取れます。どれくらい簡単かというと、10人規模の経営者のランチ会に一回行くだけで一件は取れました(時には2件)。そのくらい簡単です。では以下に、完全成果報酬をやめた理由を書いていきますね。

やめた理由①:楽して儲けたい

残念ながら、無料(※もちろんホントは無料ではない)に飛びつく経営者の大半は、楽して儲けたい、という考えの人でした。契約の際に内容を確認してもらっているにも関わらず、契約を超えた期待をしてくる人ばかりでした。

一番多かったのが、自分が何もしなくてもいい、と思っているパターンです。契約では、僕の方で制作できるものはやり、それ以外は提案だけして外注するかどうかの判断は契約者、としていました。そうすると、僕の方で制作できるものしか基本的にやりません。どんなに提案内容がよくても、前払いになることは絶対にしたくない、というのです。

そのあたりは成果報酬に釣られてやってくる人たちなので、ある程度しょうがないとは思いますが、やはり意識としては『やり方がわからないからコンサルしてほしい。提案が良さそうならチャレンジしたい』という人でないと、なかなか成果につながりません。

実際に、ある経営者の場合、お金がかかる提案は全却下、お金になるかわからない微妙な線(SNS運用など)もやらず、できた施策はほんのわずかでした。こういう顧客に関しては、こちらも成果報酬の契約なので、事情を説明して契約は前倒しで打ち切りにしていました。契約終了の際に、『もっといろいろやってほしかった』と言われて衝撃を受けたのを覚えています。こちらであらゆる支払いをして成果につなげてくれると思っていたんでしょうかね(こちらからの契約の内容説明にもハイハイ言って捺印したのにこれです)。

また、ある経営者は対応が遅く、こちらの稼働の4割ほどがリマインドという状況でした。

じゃあなんで契約したかというと、最初はやる気があるアピールをしてくるからです。やる気はあるけどどうしていいかわからないから助けて、というスタンスなのでこちらも受けていました。しかし、人は、たくさん前払いをした方が元を取ろうとしてやる気を出すものです。成果報酬ではそのような危機感が働かず、こちらがリマインドしないとどんどんモチベーションが下がる経営者もいました。成果報酬ではそのあたりの人の見極めが難しく、どうしても意識の低い経営者が寄ってきてしまうため、僕には非常に難しいと感じました。

やめた理由②:経営者としての認識が乏しい

人のことを偉そうに言えるほど立派な経営者ではありませんが、とはいえ経営者としての認識が乏しい方が多くいました。

まず、最初の契約書の内容をちゃんと読んでいません。ある経営者は、月の最終日に解約の連絡を入れて、その日で解約を希望してきました。一年契約で、さらに契約書には『やむを得ない理由で解約を希望する場合でも一ヶ月前には連絡する』必要があることを明記していました。それでも、そんなことはお構いなしです。

また、ある経営者は、事前に了承をもらった上でこちらが作った制作物が稼働しないうちに解約を申し出てきました。契約書には『了承を得た上で作った制作物を使用しなかった場合は、制作料をいただく』旨を書いてありました。その契約では、別件で成果報酬がすでに発生していたため、結局話し合いでその後2ヶ月の成果報酬支払いで解約としました(割に合っていなかったですが)。

また、支払いの遅延を頻繁にやらかしたり、売上の報告の期限を守らない契約者もいました。

やめた理由③:成果報酬を理解していない

これは一番大きな理由かもしれません。成果報酬というのは、成果に対しての報酬であるため、成果につながらない仕事はしません。状況に応じてこちらから提案はしますが、提案を却下されるとやることがなくなってしまいます。

ある経営者の場合、経営者交流会に参加する際にチラシを配りたいとのことで、僕の方でチラシの原稿を作成しました。そのチラシで契約が取れたので、その分の成果報酬をいただいていました。それ以降、いくつか提案はしましたが、一向にそれが進まないため、こちらの稼働としては月に数時間程度という状況が3ヶ月ほど続きました。すると、契約を解除したいと言い出したのです。

どうも向こうの感覚では、たいして稼働していないのに毎月成果報酬を払う事に違和感を感じたようです。しかし、こちらとしては、一年間の契約期間の間にしっかりと成果を出して、こちらの稼働分を回収するからこその成果報酬の契約です。チラシは僕の長年のコピーライティングの技術があったから契約につながりました。当然ライティング料はそれ以降の成果報酬の毎月の支払で回収する想定での一年契約です。しかし、先方には僕が働いていないのにお金を払い続けている、というような感覚に至ったようです。

これは、時給労働の感覚が抜けていない証拠です。日本人特有のまじめさが関係しているようにも感じます。例えば、月額の契約の場合、仕事をしていることを証明するために毎月のレポートを提出します。お金を払った分の仕事をしてほしい、と考えるのが契約者側の理屈で、それは間違っていませんが、本来お金を払った分の仕事というのは『どれだけ時間を使ったか』ではなく『どれだけ売上につながったか』のはずです。月額契約でも成果報酬でもゴールは同じはずです。しかしながら、お金に対しての目に見える形での実働を求めてしまうのです。これは本当に無意味な行為です。

そのため僕は、提案はしてもOKをもらわなかったことに関しては一切に何もしませんでしたし、成果につながらないと感じたことは、理由を説明してやりませんでした。成果報酬は雑用係として雇われることではないからです。

本当は続けたかった成果報酬

こちらの気持ちとしては成果報酬の仕事は今後も受けてあげたいです。実際にやる気のある店舗に関しては、しっかり成果も出ていたし、稼働時間も短いのでこちらとしても魅力的です。しかし、成果報酬の契約においては、かなりの割合で何かしらの問題が起きました。その労力を考えると、続ける意味は無いと感じました。

こちらの反省点としては、事前にもっと厳しく審査をすべきたった、ということと、やる気のない人に関してはもっと早く契約を切ればよかった、ということです。また、少額でも固定額をもらいながら、別途成果報酬をもらう契約なら、もっとうまくいった気がします。

成果報酬という契約は、成果を出す出さない以外の、人を見る能力だったり、やる気を出させる能力も必要だということを痛感しました。つまり、僕の器の問題も大きかったということです。

※ちなみに、成果報酬での契約は9件、うち1件は無報酬での契約解除、という結果でした。最初の3ヶ月ほどで9件の契約が取れ、年内で全ての契約が終了予定です。



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