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外国人社員を活かして”シナジー”を巻き起こす!

 企業規模に関わらず、外国人社員の雇用が増えています。企業側の優秀外国人材へのニーズは言うに及ばず、求職者の日本企業への関心も熱いものがあります。

筆者は数年にわたり、経済産業省主催の「国際化促進インターンシップ事業」に携わり日本のビジネス文化を講じましたが、ハイチ、モルドバ、スーダンといった遠方の国々に加えて、アジア太平洋から応募が殺到し、相当の倍率だったと聞きました。 

 外国人を採用した職場のこれからの課題は、職場と求職者の双方が中長期的に相思相愛の関係を作っていくことですが、そこがなかなかうまくいきません。殆どの場合、数年で退職するか、日本人と彼らの間で業務分担はあるもののプロ同士がぶつかって新しいものを創造する「コラボレーション」の光景が伝わってきません。

 これは本来の採用目的の大きな部分であったはずの「内なる国際化」が起きていないことを意味します。コラボの成果物であるシナジー(相乗効果)を手にして、外国人社員からひとりでも多くの「課長」を排出するーーそれが外国人採用の価値が発揮されたひとつの証明にならないでしょうか。

 そこで、まず国内企業をイメージしてその根本的な対応法を考えたいと思います。

アクション❶ 自社の魅力をはっきり自覚する 

 まず私たち自身が自社の魅力を明快に自覚しましょう。実は有名な日本の会社に就職できて嬉々として仕事を始めたけれど、日本人の働き方を見たらどうも生き生きと働いている人が少ない、みんな疲れた表情をしている、という外国人は稀ではありません。

創業者の理念、他社にはない自社の圧倒的な優位性、社風、名物技術者の伝説….。

 それらをまず日本人社員がはっきりと自覚しているでしょうか。自社の良い所をはっきりと自信を持って押し出しましょう。自社への愛着と誇りを取り戻すのです。

これこそが人の心を打つ国際経営の原点なのです。自尊心のない人に他人を尊重するゆとりが生まれないのと同じように、日本人社員に愛社精神が薄ければ外国人は職場を去って行くばかりです。

アクション❷ 自社流の仕事の仕方(型)で相手を感服させる

 自社流の仕事の仕方(型)で相手を感服させましょう。「効率が悪いのになぜこのようにするのですか」と聞かれて「う~ん、それがウチのやり方だからね.....」では外国人だけでなく日本人でも若手は納得しないでしょう。

日頃無自覚に行っている仕事のやり方。実は、これは先達の無限の試行錯誤を経た型の賜物であるはずです。世界最先端の技術やノウハウを生み出してきた自社流の仕事の仕方にこそ、国際競争力が詰まっています。

これを論理的に分解して、その意味や凄さを現場で指導して外国人社員を自社のファンにしてしまおうとの気構えを持ちましょう。

アクション❸ 夢を語り発展空間を描く

 夢を語り発展への道筋を描きましょう。日本人と外国人の職業観の一番の違いはその時間軸の違いにあります。日本人は長期雇用が前提ですから将来への道筋を語らなくても気持ちが離れることはありません。

ところが海外では転職が普通ですから四半期など短期間に、あるいは、業務ごとに目標や道筋を言葉で示すことが欠かせない経営行動となっているのです。植民地化から独立して50年~70年しか経っていないアジア新興国ではこの傾向が強いのも当然です。

ですから彼らの体内時計に合わせて、この職場にはこういったやりがいのある発展空間があるのですよということを公に示すことが大変重要なのです。

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では、海外で働く場合はどうだろう?

 海外赴任や出張で海外へ赴く場合はどうなのでしょうか。海外の日系企業が双方にとって快適な職場であるための基本行動は国内と変わりません。ただし、社員の考え方が日本以上に幅がありますから、より意識して明快な言語化が必要になってきます。

❶の自社の魅力は日本人が率先して体現して欲しいものですが、❷の自社流の仕事の仕方の説明になると、現地流とのすり合わせを心がけて下さい。

その場合でもまずは日本人の方から雛形を示して構いません。その際、業務の効果や社員の成長と結びつけながら説明するスタンスさえ忘れなければ決して日本流の押しつけと取られることはありません。

❸の将来への夢と道筋についても、赴任期間の間で言えるところまでを日本人が語れば大丈夫です。3年から5年の赴任期間を越えてさらに先のことまで気にする人は普通いないものです。

外国人と一緒に働くと彼らは日本人には思いもつかない質問をしてきます。日本人には感じにくい違和感や疑問を感じる外国人社員は疎ましいどころか、日本型経営を国際的にも通じる強靭な身体に成長させてくれる大変有難い存在なのです。どうか両手を広げて彼らを歓迎してあげて下さい。

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