全国35カ所の国立公園に高級リゾートホテル誘致に思うこと
お隣さんと立ち話で「国立公園に高級リゾートホテル誘致」の話題になりました。環境保全も並行し地域の理解を得ながら、2031年までに進めていく政策のようですが、
「それにしても、どこに建てるんだろうね?まさか、この大山寺エリアに作るなんてことはないよね~」
寿庵のあるこの場所はまさに国立公園内。環境省の定める大山寺宿舎事業エリアになります。古い建物を維持しながら、細々と運営を続ける小さい家族経営の宿がいくつかある大山寺。高速道路の発達のおかげで日帰り客が増加。宿泊が見込めるのは連休や週末、そして冬のスキーシーズンのみ。ただその稼ぎ時の冬に雪が降らないという年が徐々に増えてきています。
みんな商売どうするのかな?次の代が継がない宿が数軒。寿庵のお隣さんも元は宿でしたが、数年前に廃業されています。商売を継続するには難しくなってきている昨今。高級ホテルが出来て、どれだけ人が来るのか?もちろん、富裕層の外国人狙いで何とかなるのかもしれませんが、私たちのような小さい宿はどんどんつぶれていくかもしれません。
高級ホテル出来たら私もここは廃業して、そこに働きに行きますよ~。
半分冗談、半分本気。以前「大山寺の宿は古くって今のニーズに応えることができないから、全部取り壊して、大きなホテルを作って、そこで地域の人が従業員として働けばいいよ‥」と大真面目に言ったお客さんがいます。でも、この高級ホテル話を聞いて、そんな未来を想像してしまいました。
もちろん、この高級ホテル構想が急に出てきたわけではないはずです。すでに2020年のオリンピックイヤー前、それこそコロナになる以前から、国内外の観光客、特にインバウンドへ向け、国立公園を目的とした誘客促進をすべき!と観光会議などでも何度も話になっていたのですが、その時、ベースにあったのが環境省の満喫プロジェクトです。
環境省のHPをみると2016年から推し進めている事業。その後、事業(大山周辺の公共設備の改修工事や登山道整備など)としては進み、ハード面のことはそれなりに話題になったのですが、コロナになりソフト面、誘客や人材育成に関してはフェイドアウト気味に。でも、再びこの話題で掘り起こされた感じがしました。
大山が国立公園に制定されたのは、昭和11年。さかのぼって明治時代には、保全活動や国民保健の増進などの以外に、外国人誘致を行い外貨を稼ぐ‥という目的で国立公園制度を作るための様々な活動があったようです。つまり国の定義する国立公園には、自然保護だけではなく、観光客を呼び込むという意味が含まれているということです。
でも、なぜ高級ホテルを、しかも外資であろうホテルを建てないといけないのか??大山のふもとにあるリゾートホテルが今年外資に変わり運営をスタート。もともと大山の森の中に突如現れた大きなホテルで景観を損なうと当時反対があったと聞いています。今回も大型の高級リゾートホテルを新しく森を削り建設するのだろうか?それとも、すでにある建物を取り壊し、建て直すのか?まだ様子がわからないのですが、なんか政府だけが先走りしている感が否めない。同じようなホテルをあちこちに作り、同じサービスを提供。それが望まれることなのだろうか?いや?結局ハード面だけの整備で、中身が伴わずに、インバウンドブームが去ると遺構として残るのだろうか??
正直、大山は、静かなら静かなりにこれでいいんじゃないか?って気もします。観光地として盛り上げていかなくってもいいんじゃないか?環境保全や自然保護、静かな環境を残すことでいいんじゃないか?と思ったりします。
何とも悶々とするニュースでしたが、2031年なんて、世の中どうなってるかわからない。私もそこで制服着てコンシェルジュくらいしているかもしれない‥ん?いやいや年齢的にハウスキーピングか?
大山隠岐国立公園といっても、エリアは広い。大山にホテルとは限らない。案外、お隣島根の三瓶山かもしれないし、リゾートアイランド構想で、もしかしたら隠岐の島かもしれない。
と、そんな話題になったので、思うところをつらつら書き綴りました。
寿庵のHPはこちらをクリック!
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