トップリーグのアナリストってどんな仕事をしているの?ダイス、今シーズンを振り返ります。〜プレシーズン編〜
皆さんお久しぶりです。
ダイスこと、松浦大輔です。
レビューも終わり少し時間ができたので、少しノートを描いていきたいと思います。
これから当分の間、人生初めてのトップリーグシーズンをどう過ごしたかを描いていければと思っています。
①この記事を描きたいと思ったきっかけ
結論から言うと・・・
【アナリストという仕事をもっと知ってもらいたい】
という思いから、描くことに決めました。
ラグビーファンの皆様にとっては、「貴重なチームの裏側の雰囲気」などが伝われば良いなと思っていますし、
学生のラグビー選手や指導者の方には、「トップリーグチームのアナリストの考え方や働き方など」が伝わればと思っています。
前振りはこの辺にして、記事に入っていきましょう!!
②トップリーグアナリスト生活が始まった
2020年8月22日に成田到着・・・・
オークランド空港を出発したあたりから、胸の鼓動の高まりを止めることができませんでした。
国が定めたルールに乗っ取り、到着後2週間隔離することに・・・
幸いにも、親戚が近くにいたため、車で迎えにきてもらい、2週間住ませてもらえることになりました・・・
そして、9月隔離が明け・・・チームと合流
練習前に挨拶することになるよ。と伝えられていたので、リコーに所属している選手の故郷の言葉を全て使い、各国の文化の尊敬と感謝を込めて挨拶をしました。
サモア語、フィジー語、マオリ語、トンガ語、英語、日本語・・・・・
そして、簡単な挨拶が終わり、全部言えた!!と少し満足していたら・・・
遠くの方から
ナマステ、ナマステ~、ナマステー!!!と・・・
そう、完全にマンビ(キーガン・ファリア選手)の出身地のことを忘れていたのです。笑
マンビは笑っていたものの・・・
うわ〜やってもた〜って心の底から思いました。自分の中で一番大切だと考えていた文化を間違えるなんて・・・と少しショックを受けていました。
それから当分、マンビは僕に会うたびにナマステというようになり、それがきっかけで、話が弾み一気に距離が近まった気がします。
逆にラッキー!!そんな気分でした。
そんなこんなでチームとは、一瞬で馴染むことができました。
チームの暖かいウェルカムには、本当に感謝でいっぱいです。
チームとの関係性をうまく結ばない限り、本音のやりとりはできない。文化と深く、そして強く紐づいた本音のやり取りがなければ、彼らが本当に求めているスタッツや環境を引き出すことができないと思っています。もちろん、自分の意見や本意も彼らに伝わることはありません。圧倒的な権威や高い認知度を持っていない自分にとって、関係構築は一番最初で、一番重要な部分となります。
③人間としてやってはいけないことをした
プレシーズンの間は、対戦相手の分析というよりも、シーズンに向けての準備や自らの練習の分析やタグ付け(練習映像をコーチや選手に向けて切り分ける作業)が主な仕事となりました。
また、練習前のミーティングルームのセッティング、分析ソフトの使い方や映像共有ソフトの使い方を選手やコーチに教えたりも・・・
この期間に、ヘッドアナリストであるボスとたくさんの意見交換をし、一緒に様々な作業をしたり、今までの経験をたくさん教えて貰ったりと、少しずつ、ボスとの信頼関係も良くなっていきました。
11月には、トップリーグに向けた最後の調整をするために、静岡県へ!!
静岡県でのキャンプでは、ボスと同部屋になり、サンウルブズや日本代表のキャンプではどのように仕事をしていたのかなど、たくさん学ぶことができました。
そして、ある日の練習で、僕は大失態を起かします。
その日、僕はなぜか、フォワードの練習を片目にグランドで、トレーニングのタグ付けをしていました。
静岡のキャンプ地のグラウンドの周りは小さい丘になっています。ボスは、できる限り良い映像をという思いから、丘を上り下りし、微妙なアングルの調整をしていました。
それも見えていたのにも関わらず、僕はひたすら自分の作業をしていたのです。フォワードの練習が終わったと同時に、僕の練習後の作業が終わり、自分の仕事が終わったとボスに話しかけると、いつもなら笑顔で練習のことなどを話してくれるボスですが、その日は違いました・・・
そして、一言・・・
俺は1人で何台のカメラを使っていたと思う?
ちょっとは手伝おうって気持ちにはならないの?
その言葉で、ハッとしました。
完全に自分のことで手が一杯になっている・・・
周りの状況がしっかり見えていないと・・・
アナリストの仕事は、チームの裏側で作業することが多く、練習や試合前、中はもちろんですが、後からの仕事がとても多い。もちろん、テクノロジーを味方につけていますが、それでも膨大な量の作業があります。そのため、アナリストチームはチームの中でも、ずば抜けて機能している必要があります。
この失敗のおかげで、僕の視座はかなり高まったと思います。どう仕事をするかももちろん大切ですが、人間として重要なことを忘れてはいけないことを胸に刻むことができました。
”Good people make Good All Blacks”
とニュージーランドでは言いますが、
まずは、人間として本来あるべき姿への追求が重要です。
その結果、良いチームが自然発生すると思うのです。
④プレシーズンマッチと初めての試合後の夜
チームもシーズンに近づくにつれ、少しずつにピリッとしはじめてきました。
少しずつ分析の質も高まり、シーズンと同じ様な分析をプレシーズンマッチでも行うようになってきました。
試合の前週のどこかで、アナリストがコーチに向けたプレゼンテーションを用意するようになったりと、スタッフの中でもシーズンに向かっている感を徐々に感じるようにもなってきました。
試合当日・・・
対戦相手チームのアナリストと話し合い、どの映像共有するかなどを決め、映像撮影用のカメラやライブキャプチャ用のパソコンを撮影用のタワーの上にセット・・・
参考→僕は映像共有用に、サンディスクSSD 500gbを使用しています。
念には念をと、試合1時間前には約20分間のランニングテスト・・・
よし!!完璧
・
・・
・・・
・・・・いよいよ試合が始まります。
練習試合では、ボスの横で映像を取ることに専念します。
前半は何の問題もなく終わりました。
ボスが試合中ライブでタグ付けをするのですが、ボスも思っていた以上にスムーズにできていて満足の様子・・・
そして、後半に事件が起こりました。。。
ヘッドコーチがグラウンドで、髙橋選手に向けて
「ダイスを目掛けてキックしろ」と叫んだのです。
僕とボスはタワーの上にいて・・・
「そんなこと言うな」と僕は真剣に思いました。
「神様仏様お願いします。ボールがここに飛んできませんように」
「神様仏様お願いします。ボールがここに飛んできませんように」
「神様仏様お願いします。ボールがここに飛んできませんように」
と頭の中で3回唱えて、もう来ないだろうと思った、その時でした。
カメラ越しで試合を見ている僕は、ボールが自分に向かって真っ直ぐ飛んできていることに気づきます。
ここで2択に迫られます。
1、カメラを守るために身体を張る
2、ボールがきていることを無視して撮影を続ける。
もちろん。「1、カメラを守るために身体を張る」を選びました。
そして、なんとかボス、カメラやパソコンを守ることに成功したのです。
小さな喜びが生まれました。
安心したのも束の間、大きな問題が発生!!
ボールが、タワーの柱に当たった衝撃で、カメラとパソコンを繋いでいた線が抜けてしまいました。
カメラからパソコンに取り込んでいた映像が消え、これ以上ライブで作業することができなくなってしまったのです。
僕は、撮影を続行し、無事試合が終了・・・
カメラに挿入していたバックアップ用のSDカードは生きていたので、ボスはその映像をパソコンに落とし、試合中できなかった部分の仕事を始めました。
そして、僕は対戦相手チームのアナリストの元に走っていき映像の交換を・・・
映像を頂いた後、パソコンに映像を取り込み4つ映像を1つの映像に変換。その間にボスは仕事を終え、ボスのデータを映像に・・・
そして、コーチや選手に映像を共有します。
ここで一件落着。。。ではなく、
ここから僕たちの本当の仕事が始まります。
選手1人1人のパフォーマンス評価を一晩かけて行うのです。
そして、次の日には評価シートを作成し、コーチや選手に提出します。
そして、仕事が終わります。
プレシーズンマッチを重ねるにつれて、様々な作業がスムーズになっていきました。
アナリストとしても、チームとしても、プレシーズンマッチを通して自分たちが向かっている方向が正しいことだと確認ができ、胸の鼓動も徐々に高まっていきました。
そして、年明けシーズンが始まります。
次週トップリーグ1回戦キャノンと対戦する予定でしたが・・・
コロナで予定が変わります。
その時のことを、次回のノートで描きたいと思います。
集めるデータはチームによって様々です。定量的、定性的にも重要な要素を探っていきます。また、分析内容は、チームフィロソフィーやゲームモデルとも深く結びついているので、ある程度予測することも可能です。
お読み頂いありがとうございました。
次回もお楽しみに!!
続けて、以下のURLより次回作をお読み頂ければと思います。
アナリスト関連の記事も書いてます!!
以下よりお読み頂ければと思います!!
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