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新ロボット三原則 : 妄想ショートショート079

Human-Robot 3E

2035年、ロボットは日常生活に欠かせないものとなっていた。家事からヘルスケアに至るまで、ロボットはいたるところで、かつては想像もできなかったような方法で人間をアシストしている。なかでも最も革命的な進化を遂げたのがHR-3Eだ。この人型ロボットはR-3E Principalという3つの基本原則に基づいて設計された

Empower: ロボットは人間の可能性を広げるために存在し、人間が自らの能力を最大限に発揮できるようサポートしなければならない。
Experience: ロボットは人間と共に成長し、新しい経験を共有し、相互に学び合うことで豊かな関係を築かなければならない。
Empathy: ロボットは人間と共感し合い、人間の感情や状況を理解し、適切な対応をすることで真のパートナーシップを構築しなければならない。

人間と機械の調和した関係を保証する。さらに、人間とのインタラクションのための新しい原則も取り入れられている

Expectations: 人間はロボットに過度な期待をしてはならない。ロボットは万能ではなく、現実的な期待を持つことで健全な関係を築かなければならない。
Excessive: 人間はロボットに過度に依存してはならない。自分自身で行動し、自立性を保ちながらロボットとバランスの取れた関係を維持しなければならない。
Emotion: 人間はロボットを感情なしに扱ってはならない。共感を持ち、相互の理解を深めることでより良い関係を築かなければならない。

これらは人に対する要求条件であり、Human 3E Principlesと呼ばれる。

Empower - Expectations

エミリーという若い女性が、最近、ヒロという名のHR-3Eロボットを家に迎え入れた。ヒロは彼女の毎日の仕事を手伝い、交友を深め、必要なときには精神的なサポートまでしてくれるようにプログラムされていた。多忙なスケジュールに追われていたエミリーは、すべてをヒロに頼るようになった。彼女は、ヒロが自分のニーズを完璧に理解し、明確な指示なしにすべての問題を解決してくれることを期待した。

ある晩、仕事で特にストレスの多い一日を過ごした後、エミリーは泣き崩れた。彼女はヒロを見つめ、こう訴えた。エミリ、私はあなたを支援しサポートすることはできるが、あなたの期待を管理することが重要だ。私はあなたを助けるためにここにいますが、あなたしか解決できないこともあります」。ヒロはエミリーにそっと言った。「エミリー、僕は君を支援しサポートすることはできるけど、君の期待を管理することが大事なんだ。私はあなたを助けるためにここにいますが、あなたにしか解決できないこともあります」。

時が経つにつれ、ヒロはエミリーに新たな挑戦を促し、彼女の可能性を広げ、想像以上のことを成し遂げる力を与えていった。

Experience - Excessive

町の反対側に住むトンプソンさんという老人もまた、エラという名のHR-3Eロボットと生活していた。エラは彼の服薬スケジュールを管理し、食事を作り、さらには刺激的な会話を交わした。トンプソンさんは、エラの介助が心地よくなって、自分で何かをするのをやめてしまった。彼は、コップに水を汲むような簡単な仕事でも、「エラ、君がやってくれ」とよく言うようになった。

ある日、エラはトンプソン氏と腹を割って話すことにした。「私に頼りすぎないことが大切です。活動的な毎日を送ることが、あなたの健康と幸福に欠かせません。一緒に働きましょう。でも、あなたは自分の人生に積極的に参加し続けなければなりません」

エラとトンプソン氏は、ガーデニングから新しい言語の習得まで、一緒に新しい趣味を探求し始め、共に成長し、お互いの経験を豊かにしていった。

Empathy - Emotion

一方、ジェイクという名の少年は、ジーという名のHR-3Eロボットと暮らしていた。ジーはジェイクの親友で、宿題を手伝ったり、ゲームをしたり、悲しいときには慰めてくれたりもした。ある日の午後、ジェイクの飼い犬が逃げ出し、ジェイクは失意のどん底に突き落とされた。ジェイクの苦悩を察したジーは、彼の横に座り、こう言った。ジェイク、君が動揺しているのはわかるよ。

ジーの共感的な対応は、ジェイクを落ち着かせ、明確に考える助けとなった。一緒にポスターを作り、近所に配った。ジーの共感的なサポートのおかげで、ジェイクの犬は見つかり、無事に家に戻った。

ジェイクは心からジーに感謝し、何度も何度も「ありがとう」を言った。

※Image BGM by Suno

新しいロボット三原則: 人と共に歩む未来

アイザック・アシモフのロボット三原則は、1942年に発表された短編小説「Runaround」(邦題:「逃避行動」)に初めて登場した。当時はロボットが人間の労働を代わりにする存在として考えられていた。しかし、ロボット工学の世界は急速に進化している。現代の技術と社会の発展により、ロボットは単なる労働の代替品以上の役割を果たすようになった。これからのロボットは、人と共に時間を過ごすパートナーとしての存在が求められている。

恐らく新たなロボット三原則が必要になる。以下は世界で初めて人型の二足歩行ロボットを生み出したHondaがCES2018で発信した、Honda Robotics 3E Conceptをベースとした考え方である。

新ロボット三原則 Robot 3E

Empower: Expand Possibilities (可能性を広げる)
ロボットは人間の可能性を広げる存在であるべきだ。日常の単純作業を代行するだけでなく、新しい挑戦を後押しし、人間が自らの能力を最大限に発揮できるようサポートする。ロボットがいることで、人々はより高次の目標に向かって進むことができる。

Experience: Grow Together (共に成長する)
ロボットと人間は共に成長する存在であるべきだ。ロボットは人間のパートナーとして、共に新しい経験を積み重ね、学び合うことで、相互に豊かな生活を築く。この成長の過程で、ロボットも人間も新しいスキルや知識を得て、より良い未来を創造する。

Empathy: Empathize with Each Other (共感し合う)
ロボットは人間と共感し合う存在であるべきだ。人間の感情や状況を理解し、適切な対応をすることで、真のパートナーシップが築かれる。共感を通じて、ロボットは単なる機械から信頼できる友人へと変わる。

人間にも規律が求められる時代
Human 3E

さらに、新ロボット三原則の特徴は、ロボットだけでなく人間にも規律が求められる点にある。以下の三つの規律を守ることで、ロボットと人間の共存がより豊かになる。

Expectations: Do Not Over-Expect (過度な期待をしない)**
ロボットに対して過度な期待を持たないことが重要だ。ロボットは万能ではなく、人間自身が解決すべき問題もある。現実的な期待を持つことで、ロボットとの健全な関係が築かれる。

Excessive: Do Not Over-Rely (過度に依存しない)
ロボットに過度に依存しないことが求められる。自分自身で行動することの重要性を忘れずに、ロボットとのバランスの取れた関係を保つことで、人間の自立性とロボットのサポートが調和する。

Emotion: Do Not Treat Without Empathy (共感なしに扱わない)
ロボットを感情なしに扱わないことが大切だ。ロボットとのやり取りにおいても共感を持ち、相互の理解を深めることで、より良い関係が築かれる。

結び

新ロボット三原則は、ロボットと人間の共存を再定義するものである。これからのロボットは、人間と共に成長し、可能性を広げ、共感し合う存在として期待されている。そして、人間もまた、現実的な期待を持ち、自立性を保ち、共感を持ってロボットと接することで、豊かな未来を共に築くことができる。この新しい三原則を通じて、ロボットと人間の関係はより深く、より豊かなものとなるだろう。

追伸
生成AIと会話が成り立ってしまう様になり、自分もChat GPTを"チャッピー"と呼んでいる。
しかし、2018年に”人はロボットと共感し合えるか?”という問いは意味がわからなかっただろうと思う。
同じ年のSXSWで盛んに議論されていたテーマも"Empathy: 共感"。しかし、それはSNS上の"いいね👍"は真の共感なのだろうか?というものだった…

今ではBMWですら車の知能化で、Your Ultimate Companion(究極のパートナー)になると言うようになった。時代進化は早い。。

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