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【文化財紹介】宇野薬局(国の登録有形文化財)

大阪歴史倶楽部です。

大阪市中央区にあります昭和初期の小さな街角の薬局をご紹介いたします。

宇野薬局(国の登録有形文化財)
大阪市中央区徳井町とくいちょう2丁目にある宇野うの薬局は、1933(昭和8)年に建てられた昔ながらの街角の小さな薬局です。いまも現役で営業をしています。

この建物は、いっけんコンクリート造りに見えますが、じつは木造3階建ての店舗兼住宅です。建物の外壁には大正時代の終わり頃から昭和のはじめ頃にかけてたいへん流行した、黄褐色おうかっしょくで細かい溝が入ったタイル(スクラッチタイル)が貼られています。また3階にある丸窓まるまども昭和のはじめ頃に大流行しました。小さいながらも当時の流行の最先端を取り入れた、お洒落でモダンな建物だと思います。

屋根には緑色のスペイン瓦を載せていて、黄褐色のタイルの外壁とあわせてどことなく南欧風の雰囲気を醸し出しているように思います。

この宇野薬局は、現在も残る(しかも現役の)大大阪時代だいおおさかじだいに建てられた街角のお店の貴重な一例となっています。国の登録有形文化財です。

建物の正面は西(松屋町筋)に面しています
北西から(建物の側面)
3階の丸窓がお洒落です
北東から(建物の後ろ側)
3階の裏側はベランダです

地域とともに90年
宇野薬局は、昭和初期(昭和8年)に建てられました。以来90年近くも(戦災からもまぬがれて)街角の薬局として営業を続けています。これは奇跡的なことだと思います。所有者さんにも街の人たちにも大切に護られてきたのだろうなと思います。地域の人たちに護られ、地域の人たちの健康を護り続けて90年ですね。

宇野薬局への行き方
宇野薬局へは、大阪メトロ堺筋さかいすじ線の「堺筋本町さかいすじほんまち」駅1号出口から徒歩約15分です。

1号出口を出て広い道(「中央大通ちゅうおうおおどおり[1]」という通りで頭上には高速道路があります)沿いにまっすぐ東へ進み、高速道路の東船場ひがしせんばジャンクションの下を通って川(東横堀川ひがしよこほりがわ)を渡ります。すると「農人橋のうにんばし」という大きな交差点がありますので、そこを左折して松屋町筋まつやまちすじ[2]に入り、そのまままっすぐ北へ進んで「内本町うちほんまち2」の交差点を過ぎ、さらに100mほど進むと右側に宇野薬局があります。

宇野薬局は、松屋町筋まつやまちすじを挟んで「大阪商工会議所おおさかしょうこうかいぎしょ」や「マイドームおおさか」のはす向かいです。

[1] 現在の大阪市内では、東西に走る道を「○○通」、南北に走る道を「○○筋」といいます。

[2] 松屋町筋のことを大阪の人は「まッちャまちすじ」と発音します。

文化財データ
宇野薬局
大阪市中央区徳井町2丁目3-3
1933(昭和8)年 竣工
日本国登録有形文化財
写真:2021年10月 大阪歴史倶楽部 撮影

おわりに
ここでご紹介いたしました建物などの文化財を見学したり写真や動画などを撮影されるときには、所有者さんや管理者さん、ご近所さんや周りの交通などにご迷惑がかからないよう、配慮しましょう。

許可なく他の人の敷地内に入ったりすることはだめです。またとくに建物内部の撮影はセキュリティの関係もありますので、必ず所有者さんや管理者さんなどの許可を得てくださいますようお願いいたします。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

(『大阪歴史倶楽部』第2巻 第4号 通巻14号 2022年1月22日)

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