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傘はいらなかった

今日は、かなり個人的な、(と言ってもいつもだけれど)内容になってしまっているかも知れない。
noteを信じて、書いています。

  ・ ・ ・ ❄️   ・ ・ ・ ❄️   ・ ・ ・

朝、駅までの道を歩いていたら、思ったより上空の雲が分厚いことに気がついた。

しまった、昨日、天気予報ちゃんとチェックしてなかったな。
洗濯は早々に乾燥機能に頼ることにしていたけれど、家を出た時は朝日が差していたから、子どもたちには傘を持たせるかどうか、気にもかけていなかった。

しばらく歩いていると、パラパラ‥

雪だ!

近畿地方中部、大阪の平地でも、朝から雪。
雪のぱらつく通学路、ボーイズも学校までの道、喜んでるだろう。
傘はいらなかった。


〝真っ白に積もった雪の上で、雪合戦したり、ズボッて人型とったりして遊んでみたい〟と言うのが、数年前からの長男の夢である。

2年前の冬休み、いざ雪を見に!と福井県方面へ旅行を計画したが、残念ながらタイミング合わず、大阪に帰ってから寒波が訪れた。後日、真っ白な雪に覆われた恐竜博物館の映像を観て、長男は、「オレはこういうところで遊びたかったなー」と呟いていた。
寒がりでめんどくさがりの私には信じられないような夢だけれど、いつか叶えてあげたいな、と思っている。

雪国に住む人、大変なのはこれからだろうな。本当にお疲れ様です。


昨日も雪がちらついていた。

昨日は、高校時代からお世話になっている恩師と、若くして亡くなった友人の、お兄さんとで会う約束をしていたので、朝から実家のある和歌山まで出かけていた。

待ち合わせの場所に送ってもらった後、子どもたちは夫と近くの公園に移動して、そこで遊んで待っていてもらうことになった。
あまりにも寒かったので、最初は車の中で3人ゲームをして待っていたらしいのだが、帰りの時間を確認するため途中でラインしてみると、寒風吹き荒ぶなかで、鬼ごっこやらすべり台やらを満喫しているボーイズの写真が送られてきた。
外遊びに付き合ってくれている夫には申し訳ないけど、おかげで、ゆっくり静かな時間を過ごすことができた。

お兄さんは、友人の写真を持ってきてくれていた。
優しい顔をして笑っている。
彼は、もう歳をとらない。
どんな中年になっていってたか、見たかったよ、と先生が呟いた。
こうやって今も会いに来てくれて、あいつは幸せもんです、とお兄さんが言った。
会えなくなって10年以上が経っても、私の中ではまだ、後悔のようなものが残っている。
多分、先生も、お兄さんも。それ以上のことは言わなかったけれど。
その日の朝に降った雪が、日陰でまだ溶けきらずに、キラキラしていた。
また小さい雪の粒がパラパラ降ってきた。

帰り道の途中、それぞれの近況などを聞いた。

話の流れから、話題が、最近訪れた場所や、これから行けるとしたらぜひ行ってみたい国や街のことになった。
お兄さんは、ローマに行きたいです、と言っていた。
コロナの前にも行ったことがあるけれど、沢山の美術館や、教会などの建築、遺跡、また何度でも行きたいし、何度でも見たい。それだけ素晴らしくて、夢中になってしまったのだと。
ぼくはミーハーなんで、初めて訪れたのは、映画のワンシーンで有名な観光地ですよ、と笑いながら教えてくれた。

先生は、しばらく考えた後、ドイツかな、と答えた。
観光スポットのお城も見てみたいし、ベルリンの壁の跡地も訪れたい、
人間がどうしてあんなことをしてしまったのか、あそこにも行かないと と思っている、と言った。
固有名詞は出さなかったが、隣のポーランドにある、強制収容所のことだろうな、と思った。


私は、どこだろう。
海外に行くとしたら。コロナが落ち着いたら、ボーイズがもう少し大きくなったら、
40代になって、まだこれから、これから、と空想しているけれど、
今思う〝これから〟は無限に続いているわけではない。

人間はどうしてあんなことをしてしまうのだろう、
〝あんなこと〟の中に、いろんな言葉を入れては外し、入れては外してみる。

それからまたしばらくいろんな話をして、
次は来年ですね、
体に気をつけてくださいね、
よいお年を、とお互い交わし合って、別れた。
別れる前、夫と子どもたちも合流して、顔を見てもらうこともできた。
外遊びを終えてやってきた彼らの頬は、上気してほかほかのピンク色だった。

帰りの車の中で、夫が、次の冬には、家族でスノボー行ってみようか、と言った。ボーイズも滑れるんとちがうかな、六甲がいいって結構聞くよ。
じゃあ私は写真係でもしようかな、それか温泉かどっか入ってぬくぬくしておくのもいいなと言いながら、真っ白な景色の中で走り回っているボーイズの姿を想像した。
ボーイズは、後部座席でぐっすり眠っていた。


たくさん遊んで、たくさん食べて、たくさん寝て、たくさん笑ったり泣いたり怒ったりして、生きていてください。



ヘッダーの写真は、今朝母から送られてきた、実家近くの景色。
今はもう溶けているだろうな。

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