ウィンナー 2024/6/1

 目覚ましが鳴るよりも早く目覚めました。
 部屋は一つも電気が点いていないにも関わらず、とても明るかったです。まだ眠い私には鬱陶しく感じましたが、この光がなければ私達は生きていけないんだ、と感じさせるような前向きな抗えなさもありました。
 観念して身を起こした私は、壁を背もたれにして、しばらく呆然としていました。今日は何をしようかと考えても何も浮かばず、とりあえず顔を洗うことにしました。

 冷水で顔を洗いました。少し前まで温水を使うこともありましたが、今ではすっかり冷水に固定されていました。季節が変わった事に気付くのはいつも些細な事からです。
 夏の水で洗った顔は、眠気と火照りでだるい私の顔に心地よく、生活するのに必要な正気を与えてくれました。

 しばらく何もせず、椅子に座っていました。
 カーテンを開けると、遮っていた光が私の部屋に雪崩れ込んできました。もう一度椅子に座って、ぼんやりと外を眺めていました。差し込む光が眩しくて、部屋にいることが間違いのような気がしてきました。

 今日は燃えるゴミの日でした。私の住んでいる場所は収集時間が8時となっているのですが、実際には10時前後に収集されます。しかし収集時間は日によってまばらで、8時を過ぎると落ち着かない気持ちになりました。
 8時40分頃、ゴミをまとめてマンションの収集場まで行きました。既に4個ほど大きなゴミ袋が置いてありました。私の住んでいるマンションの住民はしっかりしているな、と感心し、安心しました。

 せっかく外に出たので車に乗り込みました。しばらく何もせずラジオを聞いていました。
 向かいのマンションの軒下に燕が巣を作っているようで、忙しそうに巣を出入りしていました。私のマンションにも去年燕が巣を作っていましたが、いつの間にかいなくなっていました。燕はどこか、目指す場所があるのでしょうか。このマンションに定住している私は、そのときはなんだか取り残された気分でした。
 パーソナリティの話がひと段落して、車を走らせました。

 少し車を走らせ、商業施設の大きな駐車場に車を留めました。店はまだ開店していないため、がらんとしていました。何台か入ってきた車から出てきた人は、みんなお店の方に歩いていきました。

 スーパーの開店時間になりました。朝ごはんを抜いたので、お昼ごはんは何か美味しいものを食べたいと思いました。普段食べないのに、無性に冷凍食品が食べたくなりました。
 再び車を走らせ、別のスーパーへ向かいました。
 普段注目しない冷凍食品売り場の商品は、どれも美味しそうでした。迷った挙句、ジャージャー麺を選びました。ジャージャー麺がどういうものなのかもよく分かっていませんでしたが、美味しそうなパッケージと「もちもち食感」の文字で選びました。人も冷凍食品も、第一印象は大事なんだなと思いました。

 買い物を終えて家に帰ると、急に眠くなりました。適当にYouTubeで動画を流し、ソファーでうとうとしていると、いつの間にか寝ていました。

 目が覚めると、16時になっていました。
 昼寝の後は朝目覚めたときのようなだるさがないのはなぜでしょうか。だるさはないものの、一日のほとんどを寝て過ごしてしまったことで少し後ろめたい気持ちになりました。それを振り払うために、お風呂に入りました。
 まだ外が明るいうちにお風呂に入ることで、休日を有意義に過ごしている気持ちになりました。

 消費できていなかったウィンナーを食べることにしました。
 1週間前に買ったウィンナーでした。
 そのときは食べたいと思ったウィンナーだったのに、1週間も放置していました。
 私の食に対する意識は、刹那的で薄情だなと思いました。
 ジャージャー麺はいつ消費されるんだろう、と思いながら、お酒を飲み始めました。

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