粟津潔の凝ったデザインに包まれた『谷川俊太郎詩集』。谷川の過去七冊の単行本詩集と未刊詩篇から成ります。
まず、その函が、いまだかつて他に見たことのない作りです。一枚の厚紙を函になるように折りたたんであります。本体の表紙も厚いマーメイド紙を三方折り(いわゆるフランス装に近いもの)にして小口側の折り込みをノドのところギリギリまで伸ばしています。
あとは、緑の円をふたつ重ねた雪だるま形の栞、そして一般的なリボンではなく綿の荷造り紐のようなしおり紐、これも他所では見た覚えがありません。
版面も詩集を中央から下に組んでいます。ページの下部が大きく空いた詩集はあたりまえですが、上部がこんなに空白なのもちょっと珍しいのではないでしょうか。
とにかく粟津潔が好き放題アイデアを詰め込んだ稀に見る一冊だと思います。
谷川さんは昭和六年生まれですから、この全詩集の時点で三十四歳。今年の十二月十五日で満九十三歳。すごいですね。書物が出ている詩「お伽話」から1と2だけ引用しておきます。