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終身雇用制が終わらない理由


 「日本はまだ終身雇用制なんかやってるのか」「学歴社会は古い」そんな言葉が飛び交う中、日本は今だにそのシステムから抜け出せていない。VUCAの時代だというのに...。しかし、企業側にも「人材の流動化」を後押しできない理由がある。その一つとして、自社の秘密情報の漏洩に対する心配が挙げられる。
 
 9月29日の読売新聞にて、以下のような記事が掲載された。

 大手総合商社「双日」(東京都千代田区)の元社員が、以前に勤務していた競合他社「兼松」(神戸市)の営業秘密を不正に取得していたとして、警視庁は28日、双日元社員の真鍋晶奨容疑者(32)(江東区豊洲)を不正競争防止法違反(管理侵害行為)容疑で逮捕したと発表した。警視庁は、真鍋容疑者が兼松から持ち出した情報を転職先の双日で利用しようとしたとみている。

 以前にも同じような事件が起きている。6月1日の日本経済新聞では以下のような記事が掲載された。

 ライバル企業への転職時に営業秘密を持ち出したなどして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の罪に問われた「かっぱ寿司」運営のカッパ・クリエイト元社長、田辺公己被告(47)に東京地裁は31日、懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の有罪判決を言い渡した。

 同じく6月には、産総研に配属されていた中国籍の研究員が、産総研の情報を中国企業に流していたという事件もあった。

 情報漏洩に対する懸念は、大企業や高い技術力を持っている企業にとって大きな問題点となる。実際に不正競争防止法違反をされたと気づいても証拠不十分であったり、裁判の資金や時間を考えると不利益を被る可能性もある。だから裁判に持ち込まれるケースは稀だ。その大半がうやむやにされたり、企業と個人間で対応することになる。ただ、今回のようなケースは、再犯の抑止力になってくれる。

 既存の文化を壊すのは困難だ。それならば、やはりスタートアップの支援をしてゼロから新しい文化を作っていくべきなのか。

 今の日本にとって、人材の流動化は、「終身雇用制」という日本経済の停滞を招いた風習を壊すためには欠かせない。失われた30年を取り戻すためにも、法整備の強化、政府の支援策を軸に、柔軟に対応を進めてもらいたい。 
 
参考文献:
 読売新聞(9月29日)
 日本経済新聞(6月1日)

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