父親の墓参り
まだ暑かった昨年9月の初旬、子どもと妻を連れて僕の父親の墓参りに行った。
父が死んだのは2001年9月10日。アメリカ同時多発テロ事件の前日だ。葬儀場の小さいテレビに、飛行機がビルに突っ込んでいく映像が映っていたのをよく覚えている。あの光景を見て、世界の終わりを感じた人が何億人いたのかわからないが、僕は僕で、初めての身近な人の死で世界に終りがあることを実感していた。
死因は心筋梗塞で、本当に突然のことだった。周りに知らせる余裕もなく、顔が広い人だったこともあり、あとで知った人たちがたくさん連絡してくれた。連絡をもらうたびに、「そう、あのテロでねえ……」と冗談で言っていたのだけど、あんまり身内の不幸を冗談にする人はいないらしく、「ダイクマんちの父親はアメリカのテロで死んだらしい」という噂が広まってしまった。あとで母親にこっぴどく怒られた。いい思い出だ。
そんな幼い日の失敗を経て(成人すぎてたけど)、僕も妻と子を連れて墓参りできるまでになった。親父、長男は六歳になったぞ。五歳まで育ててないけど。やらなかった分は妻のお腹にいる子でやってみるよ。
お金よりも大切なものがあるとは思いますが、お金の大切さがなくなるわけではありません。