母の胎の中から出て 母の胎の中へ戻る

沖縄に亀甲墓というのがある
亀の甲羅のような形をしているが あれは妊娠した女の腹で
お墓の中は子宮の中という意味だ

沖縄の人は お盆になると その子宮の外側で酒盛りをする
沖縄 おそらくに縄文に繋がる人たちの 世界観には
死ぬということはまた母体の中には戻っていく
という世界観を持っている

ヨーロッパの方でも腹の大きな女をモチーフにしたヴィーナス像がある

妊娠した姿の女性というのは 神秘的だったのだろう

人は最終的に母体の中に戻りたいのである

オギャーと産まれてからは
いつもいつも不安がつきまとう
不安で不安で仕方なく その不安と戦っていくということが 生きるということでもある

完全に安心できるという場所は おそらく母の腹のなかにしかないのだろう

そんな不安な人々に
死んでからお母さんのおなかの中に戻れるよ
だから不安だけどがんばって生きなさい 最後は安心できる場所に行けるのだから 
と 沖縄の亀甲墓 伝えているのかもしれない
生きていて不安だということは ごくごく当たり前のことなのだ

金を集めたり
異性に愛されたり
強い権力を持ってみても 本当の不安は消し去れない

生まれてからの運命なのだ