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【令和2年度 試験Ⅰ問題8・異文化適応過程】日本語教育能力検定試験まとめ

#日本語教育能力検定試験 #独学合格 #日本語教師 #日本語教育

みなさん、こんにちは。大根です。この記事は、以下の動画の原稿を公開しているものです。(全7386文字)

動画を見ただけじゃ学習が進まない!という方は、以下の原稿をご活用ください。マインドマップの画像も貼っています。

大根クイズ


大根クイ〜ズ!

「自文化と異文化の間で葛藤している状態」とは、ベリーの文化受容態度の4分類(統合、同化、分離、周辺化)のうち、どれに該当するでしょうか?

ベリーの文化受容態度は過去何度も出題されていますよ。すぐにわかるようになってくださいね〜。

今日の研究対象は、「令和2年度試験Ⅰ問題8」です。

メインテーマ

この問題のメインテーマは、「異文化適応過程」です。

来日する外国人の方々は、日本という慣れない土地で、カルチャーショックを受けたりしながら次第に日本文化に適応していきます。そういった外国人の方々の精神面や行動面の変化を理解できるようになることは、日本語教師として必要なスキルの一つです。

そのため、「異文化適応」に関連する問題が毎年のように検定試験で出題されます。

今回の動画では、異文化適応に関する基礎的な知識を多くご紹介します。また、試験に頻出のベリーの文化受容態度について、過去4回の検定試験から徹底研究します!

問1・問2

まずは問1・問2を一緒に研究しますが、問2から研究します。

異文化適応過程を説明するモデルは複数あります。そのうちの一つが、問2で問われた「Uカーブモデル」です。「Uカーブモデル」は「U字型曲線モデル」とも言われます。みなさんは、Uカーブモデルについてきちんと説明できますか? 

Uカーブモデルとは、リスガードが提唱したもので、異文化環境に入った後の時間の経過に伴う適応プロセスを説明したモデルです。赤本によれば、縦軸に「心理的適応度」、横軸に「時間」をおいたグラフの中で、線がUの字を描いています。なので、Uカーブモデルです。赤本ではUの字の中に「①ハネムーン期、②ショック期、③回復期、④安定期」の4段階があると説明していますが、平成28年度の検定試験では「①ハネムーン期、②不適応期、③適応期」の3段階であると説明されていました。

Uカーブについて、ちょっとイメージしてみましょう。

例えば、あなたは念願のイギリス留学が決まったとします。現地に着いたあなたは、あこがれのイギリスで心躍るはずです。「あんなことをしたい、あんな場所に行きたい、あんなものが食べたい」と希望に溢れ、全てが輝いて見えます。それがハネムーン期です。

次第に心が落ち着いてきて毎日の日課も決まり、全てが「日常」になると、様々な面での文化の違いに気づき、とまどったり嫌な気持ちになったりします。このいやーな気持ちが続き、場合によっては、精神面や身体面での不調が出るのが不適応期です。この後説明しますが、不適応期に起きるのが「カルチャーショック」です。

ですが、あなたはマイナスの面での文化の違いにもいつしか慣れ、それが当たり前になります。すると、本当の意味での心穏やかな「日常」が始まります。これが適応期です。リスガードは、この3段階を経て人は異文化適応すると述べたのです。

ここで、問2の選択肢を研究します。問2は「Uカーブモデルに関する記述として適当なものを選べ」という問題でした。問2を参考に選択肢4つ用意しましたので、どれがUカーブモデルに関する記述か考えてみてください。

1. 出国から帰国直前までの期間の“精神的満足度の変化”で、異文化適応を説明したものである。
2. 「自分への配慮」と「他人への配慮」の2軸で異文化適応を説明したものである。
3. 「異文化への適応」と「自文化への再適応」という2つの過程を説明したものである。
4. 「ストレス、適応、成長のダイナミクス」が異文化適応だと説明したものである。

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