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後で効く 冷酒と 彫刻家の独り言

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彫刻家大黒貴之のオピニオンや独り言をまとめています
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2021年3月の記事一覧

抽象表現とはなんぞや?ジャクソン・ポロックのアクション・ペインティング

彫刻家の大黒貴之です。 今回はアメリカ抽象表現の旗手として活躍したジャクソン・ポロックのストーリーを中心に抽象表現主義のお話をします。 第二次世界大戦後、世界のアートの中心はパリからニューヨークに移りました。抽象表現主義は、戦後から1950年代にかけて台頭した動向で
アメリカ戦後美術の流れが構築されていく基盤的役割を持つことになります。 ドリッピングからアクション・ペインティングへポロックは人の夢や深層心理を表現するシュールレアリスムの作家たちに
大きな影響を受けます。

なんで便器がアートになるの?コペルニクス的転回・デュシャンの「泉」

今回は、現代アートの父ともいわれている マルセル・デュシャンのお話をします。 彼は、現代アート界に衝撃を与え、その後のアートワールドにも多大な影響与えました。デュシャンは、アート界にある問いを投げかけました。 その装置として、彼は便器を選びました。 どうしてその便器がアート界に多大な影響を与えたのでしょうか。 最初は全く見向きをされなかったデュシャンの便器 今からさかのぼること、100年前の1917年、
ニューヨークのアンデパンダン展という
誰でも参加できる公募展が開催

あなたのモノやコトが後世に残るためのたった1つの必要なこと

彫刻家の大黒貴之です。 僕は「何十年、何百年と長い時間の圧力に耐えて
残っていくものが本物である」と考えています。ですので、現時点で、それが「本物」がどうかは、実のところわからないというのが正しいのだと思います。 マーケット上でまるで株券のように
アート作品を売買す様子や100万円単位で値段が吊り上がっていく
オークションの様子には確かに違和感がありますが、
マーケットとは、何千万円、何億円もする作品が
売買されてる市場のことだけではありません。 アートマーケットという

本物とはどういうものだろうか?消費されず時代を超えて残っていくもの

「流行」という言葉がありますが流行とはその時代の「ハヤリ廃り」です。 一方で時代を超える本物が世の中には存在しています。 例えば、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロ、ボッテチェリ。
モネやゴッホ、セザンヌなどの印象派の巨匠。ピカソにマチス、ポロック、マルセル・デュシャンなどの20世紀の巨匠など。
葛飾北斎や伊藤若冲、日本や世界に昔から伝わる仏像や画。 上に挙げた例は、一例にしか過ぎないのですが
これらは「本物」だと思うのです。 なぜなら、それらは多大な「時間の圧力

なぜ現代アートはよくわからないのに、ファッションや音楽、漫才などのことはよくわかるのだろうか?

彫刻家の大黒貴之です。 なぜ自分の確固たる肩書きを持った方がいいでしょうか。 それは自分ではっきりとした肩書きを 名乗らないと人は勝手にその人のことを 位置づけしてしまうからです。 例えば、ぼくのことでいうならば 自分のことをちゃんと「彫刻家」と言わないと 「造形家」とか「立体の作家」とか言われてしまうからです。 芸術家には、試験も免許も資格もありません。 あるのは、作家本体と作品と実績のみです。 だから、まず作品がなければどうしようもありません。 後は、芸術家

【信用と信頼】 アーティストにとっての「信用」とは何だろうか

彫刻家の大黒貴之です。 アーティストというと
好き勝手に振る舞う世間離れした人のように
思われることも時にあるかと思います。 確かに、世間を見渡すといろいろな人がいます。 あの人は信用できる人だ。

 あの人のいうことは信頼できるので間違いない。 浮世離れしているようなイメージの作家(アーティスト)の活動にも
この信用と信頼というものが大きく関係しているように映ります。 「信用」と「信頼」の違いはどういうものでしょうか? 「信用」とはその人がこれまでに培ってきた