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ここ最近は毎日同じ夢をみていた。
その夢はいつもこうだ。

霧がかかっている、真っ直ぐの道を、特に目的もなく、ただフラフラと歩いている。
霧は、どんどんと濃くなっていく。
すると、霧の奥に突如、とてつもなく大きな壁が立ち現れてくる。
初めは壁とも思えないほど、大きな壁だ。
天空を貫いていて、どこまでも続いているような、壁。
その壁に到達すると、夢は終わる。

しかし、今日は少し様子が違った。
無論、壁に到達するまでは全く同じ夢である。
だが、壁をよくみると、少し隙間が空いていることに気がついた。

そうか、壁ではなく、扉だったのだ。
そう気がつくと、なんだか覗きたくなっていた。
しかし、向こう側は真っ白でよくわからない。
霧はまだ続くのだろうか、そう夢の中で思ったところで、目覚めた。



この夢を見ることはいつのまにか習慣になっていた。


ある日、さて、天井はどこまで続くのだろうかと疑問を抱いたので、大きな梯子をかけて登ってみることにした。
しばらく登っていると、真っ白な隙間に終わりがあることに気がついた。
上の方で扉を覗くと、その隙間は黒色になっていたのだ。
困ったもんだ、向こう側は白いかと思いきや、上に登り、覗くと黒色になっている。
向こう側は一体なにがあるのだろうか。
そう思ったところで夢から追い出されてしまった。


次こそは扉の向こう側を解明してやる!
と、心に願い、また、眠りについた。


その日の作戦は、
扉の上まで登れるまで登り、
そして向こう側を上から覗く、そんな単純な計画だった。
白いエリアから黒色のエリアへ、そこからさらにぐんぐんと登ってゆく。
すると、扉の隙間は黒色から白色に戻った。
なぜ、下の方は白く、途中から黒色になり、そして上へ行くとまた白色に戻ったのだろうか。

そこで初めて気がついた。
僕はずっとみられていたのだ。

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