話し手か聞き手か
まず初めにはっきりさせておきたいことは、どちらかが正しく(良い)、どちらかが間違っている(悪い)ということを言いたいわけではなく、両方の視点を持っておくと良いですよという話です。
人の話は最後までしっかり聞きなさいと教えられ育った日本人の僕は、何度も頬を叩きながら眠気をこらえ、つまらない授業を聞く努力をしました。
が、一つも脳には入ってきません。。。
そんな経験をしたことがある読者も多いはず。
日本では、話を聞く側の責任ってかなり大きいよね。
じゃあグローバルに働く際に、話を聞かない奴が悪い!といった感じで仕事をして、果たして上手くいくのだろうか?
日本以外の国の人たちは、そもそも僕私の話を聞くの?
といったところのヒントが、前回も紹介した森本作也さんの”SonyとマッキンゼーとDENAとシリコンバレーで学んだグローバル・リーダーの流儀“という本の中に書かれていたので、シャアしたいと思います。
日本では、メッセージが伝わるか伝わらないかの責任は聞き手にあるとまず教えられます。
話し手の言いたいことを、聞き手がいかに正しく読み取れるかが大切で、話す側の質には問題は?という議論にはあまりなりません。
もし聞き手にメッセージが伝わっていない場合、それは聞く側の問題(理解力、集中力)になってしまう、それが日本やその周辺国のコミュニケーションの特徴です。
例えばスピーチやプレゼン、または僕たちの世界ではコーチングや戦術に関して選手たちに話をした後、
「質問ある人います!?」
の問いに手はなかなか挙がりません。(僕が小学生の時に、一番に手を挙げないさいと親から教えられ、答えがわかっていないにも関わらず、一番に手をあげ、わかりません!と答える珍事を犯してしまいました。素直ですね。)
そこにはある種の恐怖というか、特に偉い人や目上の人に対して質問や意見をし、人前で笑われたくない、恥ずかしい思いをしたくないという気持ちがあるのだろうと思います。
一方欧米では、メッセージを伝える責任は明らかに話し手にあり、話し手の意図が伝わっていない場合、話が下手となります。
もし聞き手がわからなければ、質問するをする、そして話す側はまた伝えるというサイクルです。
なのでスピーチ力というのは、非常に重要視されているようで、自分の意見をしっかり持って話すという訓練を小さい時から訓練するそうです。
これが意見・主張というやつですね。(日本の子どもたちも、かくいう僕の娘たちも2〜3歳から意見・主張してきますけどね。どこかで押さえつけられるのでしょう。自戒を込めて。。)
聞き手か話し手か、ここに日本と欧米ではコミュニケーションの違いが存在しているのです。
じゃあグローバルに活躍したい日本人指導者が、選手を引きつけつために何が必要かというと、ちょっと横文字でごめんなさい、
”Acting”
引きつける何かを持って振舞う、ということが必要になってきます。
ーオンライン授業ー
Zoomミーティングを使った子どものオンライン授業を横で聞いていて改めて感じたのは、日本の教育は話は聞いて当たり前。
それはオンラインでも同様でした。
基本的に生徒は自宅で授業を受けるため、周りには誘惑のおもちゃがたくさん、横にはお母さんが居る環境。
どうしても気が散って席を外す場面が出てきます。
オンライン授業やる先生たちは、聞いて当たり前だという感覚でいるから、普段教室で子供たちを前にして出すテンションと声のトーン、それをパソコンを通すとなおさら聞こえないし、見にくい。
だから普通やってる2倍出さなきゃだめで、子どもたちを引きつける何かを提供しないと、オンラインではやっていけないと思いました。。
でもある先生とオンライン授業について話をした時には、オフライン授業に戻った時に先生の話をちゃんと聞けるように、普段の感じで授業をやってくださいと指示が出ているそうな。
良いか悪いかはひとまず置いておいて、これも一つのコミュニケーションの価値観(話は聞くものだ)だよね。
ー海外サッカー指導者ー
ヨーロッパや南米の指導者が育成年代の選手を情熱溢れる口調や日本語ではちょっと恥ずかしくなるような言葉、大袈裟な身振り手振りで鼓舞する姿がSNS上にあがっているのをよく見かけるよね?
なぜ彼らは大袈裟な身振り手振りで、選手たちにこちらの意図を伝える必要があるのだろうか?
これはさっき話した、意図が伝わる責任が話し手にあるか、聞き手にあるかというところに関係していて、この場合、選手は基本的にコーチの話は聞かないという前提があるから、あれだけの熱の入った、子供たちがこの人は僕たちに何を伝えたいんだろう?と引きつけられるような話し方に自然とそうなっているんだと思う。
良いことを言っていても、それが伝わらなかったら意味がないし、それは発信者の自己満足でしかないので、その国の文化(ここでいう文化はコミュニケーションの違い)を踏まえた上で、Actingしていきましょう!
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